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放浪系騎士の様なナニカの冒険記的なサムシング  作者: 名状し難い魔王
狂気的な日常のその向こうはやっぱり非日常な俺氏
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燃える三眼、這い寄る混沌2


「あ・・・っガッは!?」


土煙を強制的に払い見えたのは紅い稲妻を放つ槍に貫かれ体のほとんどを欠損した状態の黒肌痩身の三眼男、だが・・・その目と口は笑ったままだ。しかしロンの名槍にあんな稲光の様な伝承はあっただろうか?

いや、今はそれどころじゃないか、


「モードレッド!」


火力ではなく継戦力が売りな俺はあらゆる分野についてそれぞれが突き抜けている彼らの様な特化型には決して追いつけない、


「王に指図とはいい度胸だなぁ!聖剣解放!束ねるは星の願い『理想王の星剣トゥルーエクスカリバー』!」


彼女はそう口では言いながらも少々焦った様子で大量の魔力を注いで聖剣解放をした。


今更だがもう少しクールに行くべきだった。いくら分霊でこちらに神や悪魔や龍殺しを揃えていても相手は神に連なる者、様々な可能性をこうりょすべきだった。

メダロックの基礎補助と『邪悪との戦闘』や『国を守りための戦い』などの条件クリアによって通常より強化された魔力収束砲が槍ごと消し飛ばすように邪神様を吹き飛ばす。だが・・・


「間に合わなかったか・・・」


気がつけば俺は一人、見覚えのない昼間だと言うのに暗闇に包まれた深い森の中にいるのであった。パーティーメンバーである特典の一つ、魔力による互いの位置把握はなんとか可能でおぼろげながらメンバーのいる位置を把握する。


「ッチ!遠いな。」


北欧神話のトリックスターと言えば悪名高いロキが有名だ。それと同じような役割としてクトゥルフ神話でのトリックスターはニャルラトホテップである。

両者に共通するのは強大な力、そして自由さ、何よりも混乱や混沌を望むことである。

そうは言ってもニャルラトホテップは悪辣にして陰湿、ラグナロクとか迷惑なロキと比べ人間に接する機会が多い、そしてその全てを破滅させているが、それでもなお封印されていないほぼ唯一の自由な邪神のごときモノだ。


彼の本来の役割はメッセンジャーであったり、盲目であり白痴である彼の創造主や他の封じられた旧主の代行者である。そしてその特性の一つとして偏在というものがある。曰く彼には千を超える貌が有りその一つ一つは各々自由に行動すると言うものだ。これの厄介なところはどれもが彼で有り、そのどれもが本体と同等の性能であるということ、そして此処は恐らく彼のホームグラウンドであるンガイの森、なればその力は飛躍的に上がる。


「しかも王都へ進出している可能性有り、か…モードレッドには申し訳ないが今日限りで滅んでしまうかもな」


少なくとも彼がその気になれば街中で突然現れ正体を現し周囲を巻き込んで巨大な混沌と恐慌を生み出せたはずだ。それをしなかったと言うことは彼が既になんらかの暗躍をしていたり、潜入に成功していたと言うことだろう。それが邪神教徒による王城侵入だったり、終末神の分霊召喚と汚染だったりすればいいのだが、あの程度では無いだろう。


周辺の地形探査をするものの全くもって探知できない、常にうねっているようなこの感覚からするに恐らく此処はかの邪精の心象か何かだろう。自身の体液を触媒にしたか、それとも俺やモードレッドを封じ込めるためだけに結界を発動させたのか・・・意図は掴めない、


思考に耽りつつ左肩に手を置きラインを確認する。すると左のほう、かなり遠くから巨大な爆発音と爆風が巻き起こり神性を持った者の心象であるが故に不壊にして不変であるはずのこの森が燃え上がった。


「天照・・・違う!コレは・・・!」


天高くうねるように燃え上がる火柱が森林を貪るように広がっていく。断言できる。その炎は生きていた。



強大な魔力というには同時に強大な歪みである。そして歪みは宇宙と多元世界の果てまでつながる高次のウィルスの様なモノである。

炎を司る赤き龍ウルシュドラゴンの化身にしてその祝福を受けたとも、その強さゆえか心臓を宿すとも言われた理想の王様、アーサー・ペンドラゴンとはそういう者で有りその魔力もまたそういった性質を持つのは自明の理であった。


這い寄る混沌の天敵、ある意味では人類側かもしれない旧主クトゥグアは機会を待っていた。うっかり神をも宿すような神降ろしの才能を持った人間の近くに自分とよく似た性質のものが寄る瞬間を、それが宿敵に刺さる瞬間を、


「『いあ!いあ!クトゥグア!いあ!いあ!クトゥグア!』」


その可能性は天文学的数字で有り、同時にコズミックホラーと名高い銀河系を股にかけるような神性の持ち主たちにとっては些細な数字だった。


運良く太陽神と言う炎に遠くない性質を持つ神を降ろした状態の少女の口を動かし自身の賛美を詠わせる。その度に炎をもえさかり眷属である生きた炎は一度は焼き払った宿敵の庭をもう一度焦土に変えようとしていた。


「ああああああああ゛ああ!?」


燃える様な痛みと苛烈に脳に刻まれて行く旧主の知識と高次の思考力、それは少女にとって異質で受け入れがたくその精神を削り蝕み、置換する。


悲痛な叫びを上げるのは一人ではない、自らの肉体が、天文学的数字のそのまたかなたにあるであろう自身の天敵の策略により燃えかすになろうとしているのだ。いくら分霊の分霊の様なデチューン版で、本体にさしたる影響がないといっても彼にはまだ恐怖が混沌が混乱が足りていなかった。


しかし、日本神話の主神の力の一部と豊富な魔力、高い神への親和性を持つ少女を媒介とした出力量はニャルラトホテップの再生能力を上回りその少女の身の様々な場所を灼きながら心象である暗い森をンガイの森を焼き尽くした。



(マーリン!アレを止めるにはどうすりゃいい!)


そのあまりにあっけない決着を感じながら俺は彼女から旧主を剥がす手立てを探していた。


「あ゛あ゛あ゛あ゛ああああああぁぁぁあああ!!」


「うお!?」


既に彼女の意思は感じられない、しかし旧主の意思も感じられない、彼女に寵愛をくれている日本神話系の神々や目をかけているであろう他の神話系の神々ならこうはならなかっただろうが、既に今の彼女は自然現象、精霊と同じ域に達しながらもその力を暴走させる災害となっていた。



神降ろし、と言う神事がある。詳細は省くが端的に説明するなら降霊術の神様ヴァージョンにしてより良い未来や将来を選ぶ為や神社の祭神を呼び込み意見を聞くなど占いの様な側面が大きい、しかし、彼女の場合神の思念や意思だけでなくその力を全てとは言わないが自らの身に宿すことができる。

しかし、それで引き起こされる現象は大雑把にして豪快な神の一撃、それ故に単騎での大規模殲滅戦などで位しか使いにくいと言うデメリットがあるのだが、その火力は強大で、魔力を用いない業だと言うのにそこらの極大魔法や戦略級魔法よりも威力があるのだから恐ろしい、


また、彼女自身や肉体への負荷が高く単騎での殲滅と言うのも夢物語であり、彼女に友好的な神々の降霊ですら暴走させる事があると聞いていたのだ。それが外部からの介入で歪み、そこらの神様よりもヤバイモノが乗り移ったおかげで暴走どころか自爆である。


「グッ!」


「aaaaaaaaaa!!」


権能のほとんどは二柱共律儀に引っ込めてくれた様だが、旧主の呼び出した魔物は未だ彼女の内包する自身の主人の魔力に従っているし、天照大御神様の炎熱系権能がまだ残っているし、このまま彼女をこの今にも燃えおちそうな結界から出せば軽く地図が書き換わってしまう。


魔物を斬り捨て、広範囲に小規模な魔力爆発を連続させて炎や熱を吹き飛ばすがどうにも不味い、


(ヒミツ!彼女を小夜を止めるには完全に彼女の体から神様の残滓を消しとばさないと・・・うえ!?)


やっと帰ってきた念話も要領を得ない、


(なんだってんだ!)


(まずいよ!小夜ちゃん魂と肉体が分離しちゃってる!)


・・・なんか邪神討伐より自爆しそうな味方の処理の方が手こずってるってどうなのだろうか、て言うか絶対まだアレは生きてるし、さっさと止めてサクッと此処を出ねえとやべえな。


(そっちはどうなってる?)


聖剣を一瞬実体化させ攻撃をそらし爆破によって安全を確保する。


(ジャンヌと私は今ブロントの回復中、モードレッドは結界を突き破って急いで王都に向かった。私たちも戻らないとやばく無い?)


「・・・うーん対応が行き当たりばったりすぎたな、ちょっと本気で行くか・・・」

(今からお前らを王城に直接送るからこっちは任せろ!『影縫い』!)


(・・・うわぁ…ちょっと早くきてね、マジで。)


「わーってるって、聖剣解放、『月光降臨』」


俺は剣を振り抜き、崩れ落ちた美少女をキャッチし、超解析で見つけた魂魄を叩き込んで息をしているのを確認してから結界を砕き、転移した。

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