説教は程々に、交渉は適当に
「てめーらは俺を、怒らせた。」
「「すいませんでしたー!!」」
結局極大魔法で有る擬似太陽でなんとかチリも残さず邪神もどきを焼き尽くし、本来ならもっとスマートに行った筈の戦闘に、そして何よりこんな戦場のど真ん中で青春アニメみたいな友情のようなナニカと決意を語っていた少女2名に苛立ち、伸びていた二人を叩き起こして土下座させていた。
「・・・あのさぁ、確かに俺が作戦とか立ててなかったのも悪かったとは思うけど、まず微少女は戦場で呆然とすんな、ぶち殺されてェのか?ああ゛?」
「ご、ごめんなさい。慣れていたと思っていたのだけど・・・ちょっと想像を超えてて。」
「言っておくけど言い訳は聞くが結果は変わらん、それだけはもう2度と言わせんな?わかったか?」
まず、現代日本?で超異能バトルしてたような巫女が化け物との戦闘中にボーっとするとか・・・アレか?『歴戦の人物が想定外の事象に会うと大体死ぬ』の法則か?訳わかんねえよ、そんなの歴戦でもなんでもねえよ!
「・・・後、マーリン、てめえは確かに超一流だし、今回の戦闘でも要だったが、なんで此奴に介入した?念話以前に俺とお前はお前の作った魔法的ラインで繋がってんだから状況も、イメージも伝わってたろ?」
「ご、ごめん、なさい。」
「はぁ…」
流れてくる感情的に申し訳ない感情はあるんだがどうにもからかい癖がすぎるな、そもそもの所非人間であり、魔法使いの彼女に知的好奇心を抑えるなど不可能な上根っからの悪戯好き、感情を汲み取るのを得意としているのを利用して他人を面白おかしくからかうが・・・
「今じゃねえだろ、今じゃ。軽く世界滅んでたぞ?わかってる?」
「うぅ・・・未来視で取り敢えずヒミツがいる限り大丈夫だって確信してたから・・・慢心、してました。」
・・・切れそうだ。久方ぶりに人間を血祭りにあげたくなった。が、もういい、確かに脅威はとり除けたし、だが・・・
「被害がでかすぎるんだよなぁ。」
「「うぐぅ!」」
先ず国内の戦力低下、王城の破損、損壊、近隣環境の破壊…etc、極め付けは王城の壁に空いた三箇所の大穴である。俺が一個、神の分霊が一個、モードレッドが一個、本当はこれくらいで済んだ筈なんだが、俺が飛んできた所為で、もっと言えばここで極大魔法を使うことになり無駄な損壊が増えた。小夜の神降し、いわゆる憑依なら局地的な破壊はあれど王城への被害はなかった筈である。
「お前らこれで金を請求されたらどうするつもりなんだよ・・・」
「い、依頼を沢山受ける・・・とか?」
「色々売る・・・とか?」
しかしどれも問題がある。先ず、国の象徴たるこの王城の修理と言うのは本当に莫大な資金が必要だ。俺の総資産を投げ打てばなんとかなる気もするが壁以外俺のせいではないし、モタモタグズグズとしていた此奴らの資産といえばマーリンはともかく、今回の戦犯である小夜のは恐らく請求される額と比べればチリのようなものだ。
「はぁー、頭いてえ」
「「・・・」」
さて、どうしよう。恐らく交渉相手であるモードレッド王と侍従長は資金ではないものを要求してくるだろう。
「マーリン、俺らってパーティー申請してたっけ?」
「え?ああ、確かしていなかったと思うけど?」
「だよなぁ…」
パーティーという一つのまとまりであるならば責任は全員が協力して果たせばどうにかなるのだが、俺らは個人個人の集まりのままここまできたので責任は個人個人にのしかかる。
「・・・分かった。取り敢えずもう立って謁見の間に行くぞ、邪教徒がまだいる筈だ。情報もいるし人でもいる。・・・言いたくはないがこの件でお前らの俺からの信用は地に堕ちている。まだついてくる気があるのならその価値を示せ。」
「ッ!はい!」
「分かった!」
俯き加減にしていたのが嘘のような切り替えに速さで顔を上げ飛び跳ねるような返事をする。残念な点をいえば顔とか服とかがぐしゃぐしゃに濡れていたり、ボロボロだったりすることぐらいだ。
「『洗浄』ほら、早く行くぞ。」
「「うん/はい!」」
彼にとって、仲間とは互いに利用価値のある者の集団であり、互いの短所を埋め合い互いの長所を活かす集団だ。決して守る対象などではなく、価値を示せなければそれは最早味方でも敵でもなくただの知り合いだ。少なくとも二人ともヒミツより優れた点はあるし、それになかなかに気のいい仲間である。
(あまり失望させてくれるなよ。)
外套と兜で見えやしないがその顔は確かに笑顔であった。
「・・・とりあえずよくやったとおもう。かんしゃを。」
「滅相もございません、騎士王閣下。」
さて、場所は変わって謁見の間、がれきなどは取り除かれいつの間にか再生されている壁や調度品に少々驚きながら今回の件について考える。
「今回の件、どう思う?」
「・・・うんめいのゆがみができている。いちがいにじゃきょうとのしわざとはいいにくい、ただ、かんよしているのはたしか。」
「私の知覚範囲にも突然現れた様な感じでした。まあ、月光の騎士様は化け物じみた直感で襲来を感知した様ですが?」
侍従長もといショゴスは今回の事件で複製体が大量に増えたためか侍従長が常に三人くらいいてステレオじみた敵意を向けてくる。いや、本当に俺なんかやったっけ?
「ただ、いいこともある。なぜかしらないけど、はいよるこんとんのしんこうがめにみえておそくなった。」
「ふむ・・・いい事なのだろうがイマイチ気が抜けないな。」
「それは・・・たしかにそうだけれど。」
むむむ、今回のもあの冒涜的な邪神の仕業なのか?だがそれにしては・・・
「些か狂気が足りていませんね、かの邪神にしては。」
そうなのだ。アレのやる事なす事全てに共通する狂気が、見るも悍ましい混沌が余りにも普通すぎるのだ。精霊の体を使っているからか?それともまだヴィヴィアンの本体が抵抗をしているのか?うーん、
「「「わからないな。/わかりませんねぇ?」」」
王様も侍従長も俺も何が要因で誰が後ろで糸を引いているのかいまいち掴めないでいるにだった。
「@うんせ、うんせ。」
「ぐごごご、魔法使いに肉体労働とか・・・間違っている!」
マーリンと小夜は城の修復を手伝ってもらっている。おそらく今日中に見た目は戻るだろう、が問題は蓄えてあった建材やぶっ壊れた魔法防御と再生機能の再付与である。先ほど終わった会議兼交渉では暫く俺はここに拘束され、いくつかの依頼をこなすことになり、マーリンと小夜はその魔法と結界術の腕を城の修復と来る決戦に向けての街全体の強化を依頼された。
「・・・いいのか?金取らなくて。」
「いいんだぜ?払っても、ただお前のやった反乱分子の抹殺、もとい暗殺依頼はかなりのクオリティで成功していた。むしろ街中に邪教徒入れていたのは俺の、俺ら王都の統治者の問題だ。」
俺は依頼を成功した報酬を全て突っ返し金の面での問題をごり押しで解決した。侍従長は顔を歪ませていたが大人モードになったモードレッドはそれが妥当だと言ってくれたので侍従長も引き下がり、結果俺らは暫くこの王都で仕事をする事になった。
「一週間か・・・難しいな。」
「なあに、聖剣使いが常に一人は防衛にいるんだ。そうそうたるメンバーじゃないか?」
俺の負担が大きいのは邪神の分霊が複数体いるかもしれないという懸念を潰すためにモードレッドを通してギルドに二つ名持ちの超上位冒険者を引き戻してくれる様頼んだからだ。
「ま、やるだけやってまた旅に出るかな。」
「・・・やっぱり近衛兵になら「無理だな。」・・・」
モードレッドは賛同してはくれたが事あるごとに俺に此処への就職を勧めてくる様になった。まあもう社畜は嫌なので断るがね。
「ココガアノバカノハウスカ…」
「ちげえから、ていうか今回の破壊神様の神託は彼奴との共闘だろ?」
「イマイマシイ…イクラシンタクトイエドハキケガスルワ…ハァ…」




