王都でやることやれること4
暇です。
「折角だから肩の方も強化しようか〜、あ、拒否権はないよ?」
「それは助かるな。」
結局壊れた腕を直すためにそれ以外の場所のグレードアップも必要になり、念話でマーリン達に宿を取って置くように指示して置く、何故かマーリンが「ちょ!お腹いっぱいすぎて死にそうなんだけど!?君が食べるのかと思って全部頼んだんだけど!?」とか叫んでいたが左腕が使えなくては食えるものも食えないので今回は料理の海に溺れてもらうとする。
で、昼間に来たはずが既に日が暮れ街の通りでは灯りがつき始めた頃だろう。アレは一応キャメロットにあったのと同型機だが、あそこのものよりもさらに効率化がされている最新モデルだろう、光量も高くこの薄暗い路地にある店の窓からも灯りが見える。
「はー、こっちもボロボロ…あ、意識飛ばさないでね〜?」
「・・・っ」
まあ灯りがどうとかそういうのは別に興味もないし知る必要もない、強いていえば肩の筋肉やら骨やら神経やらとの接合部をゆっくりと外していく。と言う拷問じみたその激痛をごまかすために他の事に意識を分散しているのだ。
「・・・!・・・・!」
何故かたぬ吉も瓶から出て励ましてくれているようだ。身を捻ったり、鎮痛系の魔法を放ったりしてくれる。
「へえ、随分物騒なのを使い魔にしたんだね〜」
「・・・ああ、まあな。道中拾ったんだよ。」
取り留めのない会話が続く。あまり会話が平凡だと思考力が落ち、最近あまり寝れていないのも相まって寝てしまう可能性がある。少しまた考え事でもしよう。
『神器』と言うものがある。俺の持つ『月光のエクスカリバー』はかなり例外的な存在だが、これも元は『聖剣エクスカリバー』と言う一本の剣であり、更に言うなら『光剣クラレント』の模造神器の一つである。
「魔力炉を増設するかな〜、でも元から魔力多いから別に無くても・・・でも構造的な問題とか超越して出力と耐久性がたりてないんだよね・・・ドラゴンの血肉があるんだから聖銀かな?でもやわこいから金剛鉱も欲しいし・・・けどどれも生体金属に持ってくのが辛い・・・ウググ・・・」
頭を抱えるホーエンハイム、きっと彼女も俺も今日は徹夜だろう。まあ予想できていたとはいえなかなかに辛い、
「・・・っく!ちょっとまってて、資料持ってくるから。」
「ああ、出来れば仮の義肢を「あんた用のなんてそうそうないよ!しばらく耐えて!」・・・わかった。」
まあ接合部まで外しているため変わりを付けても動かないだろう。
応急処置的に包帯と聖布で包まれた肩は少し血が滲んでいる。よく見ると付け根近くに月光の残滓が見える。どうやら女神と賢者は暇なようだ。
さて、続きだ。そもそも神器というのは神やそれと同等程度の力を持つ者が生み出した神の武具と、神話や伝承に存在した幻想の武具、その二種に分けられる。
エクスカリバーは幻想の現出した物の最たるものでその効果は絶大だ。持ち主に不老と不死を付与し、その鞘は持ち主の生命力を押し上げ不死を貫通されても肉体的損傷は回復され呪いや魔法的な効果も消し去ると言うチート具合である。
まあ、その剣のカケラである月光には軽い回復力の強化くらいしか無い、他の機能はほとんどが神様達との話し合いと悪ふざけの賜物である。まあそのおかげで聖剣と言う枠にすら嵌まらない謎剣に成った訳だが・・・
まあ、それはそれ、通常の神器の話をしよう、一応造ったものとは言ったがその多くは神の使った事がある物である事が多い、だいたい鍛治神や物を作る神様なんて全体から見たら少数なのだから大概は神の作品と言うよりかは持ち主が神だった物となる訳だ。
まあ、どんな神話や物語にも鍛治神はいるが雑然とした世界ゆえ数え出すときりが無い、今回は一例としてヘパイストスを出す。
有名なかの神作品といえばやはり『アイギス』若しくはその系譜にある『アキレウスの盾』がある。これは神話中に制作され使用者も主神であるゼウスとほぼ最高の防御系神器と言えるだろう。
その能力は変幻自在の形状と防御力、実際に見たわけでは無いので詳細は不明だが隕石を受け止めてはじき返したとか言う話も聞く。
・・・なんかスケールがおかしいな。確かその時の所持者は既に亡くなっていてその後行方が分からないとかなんとか、・・・話がとっ散らかってきたな、まあ何が言いたいかというと持ち主との相性や種族的な問題とかもあるので神器の性能というのは案外まちまちであり、純神製の物はある程度能力は固定値でどこの誰が使おうが最高水準な物が多いのである。
逆にエクスカリバーのような類は所持者の性能や相性というのがモロに出るため俺のように何処かを犠牲にしながらその使用権を手に入れた。なんて話は結構ザラだし、物によっては持ち主の適性が無ければ抜くことすらできないものなど持ち主が重視される物が多いのが幻想から編み上げられた神器なのである。
「あった、あった、てうおあ!?」
大量の紙と古本を抱えていたためかそれとも胸がデカすぎるのか、床に転がっていた何かの部品に躓いたホーエンハイム、
「ん?おあ!?」
そして、それを避けようと思い立とうとして左腕のぶんの重心調整を忘れていた俺は古本と硬い床を頭に受け意識を落としたのだった。




