王都でやることやれること3
今更だがこの世界は神話や伝説、伝承といったものが複雑に絡み合った、というよりはかなり雑然とぐちゃぐちゃに詰め込まれた『複数神話世界』であり、その伝承やら伝説の元が地球から持ってこられていることは明白である。
だってこの世界にインドとか無いからね!
それにそもそも1日が24時間だったり、空気があったり、物理法則がそこはかとなく存在していたりするところからも地球やその周辺世界を骨子としているのだと伺える。
月の賢者曰く『創造神様』という存在が気まぐれに作った結構曖昧な世界であるらしいが、それにしたってカオスすぎである。冒険者やってった時アーサー王の護衛と聞いてさぞイケメンな王子だと思ってたら少女だったりとか、エクスカリバーが粉砕されたりとか、色々有ったが一番謎なのは『魔法』とそれに類する奇跡のような技術の多くである。
「おっと、ようやく来たねー青年、どれ、見せてみな?またふんだくってやろう。」
「勘弁してくれよ?ホーエンハイムさん、凄腕の錬金術士なんだろ?サクッと格安で頼むよ〜」
豊満な胸、長い金髪はまとめられポニーテールに、黒いタンクトップのような物をきて、ガテン系なズボンに大量の大きなポケットと薬品付きのベルト、今日もなんだか全身に煤が付いているこの人は道具製作や研究を重視する魔術師、その一部である工学と化学のような物を専門としている『錬金術師』である。
彼らは無限機関を作り出すというのを目標にしているものが多い、別に戦車に足の方ではない『無限に稼働、無限にエネルギーを生み出す機関』のことである。
「おりゃ!」
バキョン!
「逝ったー!」
まあそうは言っても副業なりなんなりして資金や技術の向上に努めなければならないわけで、彼女は人形と義肢、そして戦闘用の改造義肢を取り扱っている。今の音は俺の肩から半ば強引に義肢である左腕を引っこ抜いた音である。
「痛たたた・・・もう少し優しく取れないのかねえ?」
「普通に壊れてるなら普通に外すれるんだけど・・・って言うかこんな高性能な偽装とあんたの体の強度に完璧に合わせた生体魔導改造義肢をぶっ壊すとか普通にあり得ないんだよ!このアホめ!」
かたや腕のない左肩の半ば機械化されている接合面を撫で、痛みをこらえるヒミツ、かたや引っこ抜いた自分の作品の中でも上位に位置する出来の義肢の無残に壊れた姿に涙するホーエンハイム、手に持ったスパナで丁寧に分解していくがどこもかしこも過剰な熱によって融解していたり、擬似的な筋繊維の弾けた様を見てさらに表情をしかめる。
「ああ゛〜、あんた又聖剣をフルバーストさせたでしょう!あんな人外兵器を何度もブッパするとかほんと何処の修羅の国に住んでんだか・・・」
「す、すまない。」
そもそもここに来たきっかけも聖剣ブッパだった。まあそれはいいのだ。面白くもないのだから、本題に戻ろう。
「あー、あーあー、こんなトコも逝ってんのかよ…ウヘェ…」
『魔法』と、一口に言ってもその種類や効果は多岐にわたる。しかも混ざっている弊害なのか魔法の体系すら雑然としている。あるところは数式、あるところは神言、あるところは宗教的な詩や文書の一小節であったり、むしろ考えるな想像しろや!みたいなアバウトな感じだったりとか混沌としている。
「コレは・・・作り直しか、めんどい」
しかしその全ては言い方は多少変わるが『魔力』を代償とし、その量によって現実を大きく歪める事が出来るのだ。
そしてこの『魔力』と言うのもよくわからない、超高密度かつ高度なエネルギーなのはわかるのだが人間に必ず必要というわけでもなし、森羅万象あらゆるものに含まれているわけでもない、実際古代文明のうちの幾つかは馴染み深いと言うべきか、高度な科学によって成り立っていた物もあるし、やんわりとだが存在している地球同様に物理法則や物の成り立ち、そう言うものが存在していないわけではない。
まあ魔力が絡むと途端に無茶苦茶になるがな。
こう考えていくと魔法というのはこの世界と地球を分ける明確な相違として機能しているのかもしれない。魔法によって世界を歪める事でこの曖昧な世界のあり方を確固たるもにしようとしているのかも…
「ねえ、ドラゴンの肉とか血とか・・・あと、魔石くれない?代金から引くからさ〜」
思考が途切れる。
「うん?ああ、有るぞ……ほいっと。」
「・・・うーん、やっぱここで雇われない?給料も弾むし・・・そうだねえ、私もつけちゃうぞ?」
なんというか色々どストライクなので受け入れたい気持ちもあるが今のところは、というよりこの剣をどうにかするまでは・・・
「遠慮しとくよ。」
「えー、」
不満そうに方を膨らませるお姉さん・・・グッド!
「ハッ!今シリアスにこの世界について説明していたけど一緒にいる素敵なおねいさんに話しかけられて挙動不振になる中学生のような電波が!」
「・・・寵愛・・・か。僕も気をつけないとね〜」
女神様は何時も暇です。




