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王都でやることやれること2


東側のレストラン街に入るとさすがに正気に戻ったのか、それとも単純に腹が減っていたのを思い出したのかはしゃぎ出すマーリンと未だに少々実感が湧いていない小夜、そして一応鎧を魔法で清潔にし、念のためにと影の内部にある礼服を取り出せるようにセットしてできるだけドレスコードのない所を探すヒミツ。


傍目から見ると全身鎧に外套を纏ったヤバイ奴と眼以外が白すぎる近寄りがたい幼女、そしてあまりにも印象に残らなさすぎて逆に違和感がある見たこともない制服を着た少女、と言う取り合わせになる。


「お、こことかいいんじゃないか?」


「おー、宿屋を兼任していると言うことは酒があるな!確信するぞ!」


「取り敢えずお腹空いたので早く入りません?」


しかしそんなことを機にする様子もなく高級街にあったこの中では比較的庶民的に見える酒場兼宿屋のような建物に入っていった。


「いらっしゃいませ!三名様ですか?」


「はい、あれば個室がいいんですが・・・ありますか?」


中は広々とし、一見高級街にあるとはわからないが内装や床、調度品やテーブルなど、一つ一つが丁寧に作り込まれた素晴らしい逸品であり、清潔である。豪奢ではないが質素さと実用、そしてなんとも言えないゆったりとした空間がやはり高級街に、街の中心部にある事に疑問を持たせない雰囲気を醸し出していた。


「はい、ではご案内しますね!」


少し時間を外した昼間なので人気はあまりなく、酒場というよりは小洒落た喫茶店的にも見える。


「こちらになります。ご注文の際はこのベルを鳴らしてください。」


案内されたのはカーテンのようなもので区切られた角の席、ソファーも革製の上等なものだ。手渡されたベルとメニューを席に置き礼を言う。


「はい、ありが「取り敢えずメニューの端から端まで全部!」・・・・」


「ふぇ!?」


「はうあ!?」


のと同時にアホのマーリンが何を思ったかメニュー表を開かずにそんなことを言い放つ。おそらく払えるだろうが…食えるのだろうか?

しかもそんなオーダー聞いたことがなかったのか給仕の人は黒と白の落ち着いた給仕服のスカートを少し揺らし、小夜はさっきまで落ち着いていたのが嘘のように何故か取り乱している。


「・・・こほん、かしこまりました。」


(了承した!今までの事をなかった事にするために咳払いもどきをしつつ了承した!?)


取り敢えず呆然としている小夜をソファーに座らせ、マーリンは少しはしゃぎながらソファーの感触を楽しんでいる。俺も備え付けの椅子を引いて座ろうとすると、スーッと厨房の方へ消えていった給仕の人がお冷やを持って来くれた。


「ありがとうございます。」


「はい、当店では4品以上頼んでいただいた方には無料で提供しているのです。」


まあ、タダではないと思っていたが結構簡単に出すんだな。場所にもよるが水をメニューに乗せるところもあるくらいで、水はやはり貴重なのだ。たった4品頼めばいいと言うのは高級街にあるだけ儲かっているのか、それとも気前がいいかである。


「スー、ハー、まさか現実にこんな事になるなんて…思いませんでした。」


水を出されてようやく正気に戻ったのか小夜が言葉を発する。まあ俺もこんなアホな事をする事になるとは思わなかった。

ヒミツは久しぶりに兜を外す。しかし外套と鎧は着けたまま、あまりにも食事の場に相応しくないがこれにはそれなりの訳があった。


「・・・ッ、お前ら先に食ってろ、俺は用事を済ませてくる。」


「え、まあ、いいですけど?」


まだ動揺が残っているのかヒミツの表情の変化を見逃し、少し上の空気味で了承する小夜


「・・・・ふーん、いいよ〜、連絡は念話でね〜。」


そしておちゃらけていても仕事は仕事、ヒミツの監視を続けているマーリンは何かに気づいたが特に問題ないと判断したのか、それとも経過を見る事にしたのか、こちらも了承。


二人の了解を得てヒミツはサッと席を立ち店の出口へ向かう。


通路で給仕の人にすれ違う、少し呼び止めて先に代金を払っておく…


「まさか金貨100枚が食費で吹き飛ぶとはな…」


金貨100枚あれば質素ではあるが農家や町民としてそれなりの家で三度飯を食って一生過ごしていられる。



「ック、」


兜を外した状態で歩く彼はそれなりに整った顔つきをしている。それを時折顰めながらそれでも平静を装って歩くヒミツ。

時たま黒髪に黒目と言うのに少しだけ目を引かれ、ちょっと微イケメンを見たと喜ぶ町娘達にちょっと手を振り返しながら人混みの中に紛れていく。


工房のある西側の狭い路地、怪しげな魔法具や魔法薬、そんな裏通りを進んでいくヒミツ


「うむ?確か前来た時は・・・」


右手で頭を掻きながら周囲を見回す。そして路地に来てほとんど隠す気が無くなったのか左腕を力なく下げている。むしろ何故今まで気付かなかったのかわからないがよく見ればその左腕はただ付いているようにしか見えない


ぶらんぶらんと左腕を垂れ下げながら歩き回る事数分、ようやく目当ての店の看板を発見。


「お、あったあった。」


そういいながらヒミツが入っていったのは人形屋だった。

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