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放浪系騎士の様なナニカの冒険記的なサムシング  作者: 名状し難い魔王
間章:寄り道ついでにやらかす俺氏
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早く王都に行きたい…1

だが、まだ行かない。


「ふむふむ…いやー財宝ってやっぱり良いね!」


「もうちょっとドラゴンとか悪い魔王とかそう言うのから巻き上げてそう言うこと言って欲しかったですね。」


「鬼畜の所業だよね。」


影に次々と財宝を押し込めていくヒミツ、そしてそれを見ながらさりげなく自分たちも盗賊団がかき集めて来た金銀財宝やらなんやらを見ていくマーリンと小夜であった。



ことはあの巨漢とかが攻めて来た日まで遡る。


「えー、重大発表です。」


「?」


「なんだい?」


ヒミツが広げたのは賞金首のリストとそいつらの起こした事件の被害などをまとめた手帳である。ヒミツはその中で最も多くの被害を出し今もなお増えている凶悪盗賊団『からあげ』の名を指す。


「ブフっ!」


小夜が名前を見てつい吹き出すがマーリンは少々渋い顔である。


「こいつらを全部捕まえて溜め込んでるものも貰っちゃいたいと思います。」


「・・・全部、ねぇ。」


基本的に盗賊団や山賊は絶えることがない、どこでもいつでも犯罪者というのは生まれてしまうし、滅ぼしたと思っても下部組織や上位組織が残って居てそこからまた復活したりする。

そういうこともあって根絶やし、または全てを捕まえるというのは不可能に近いのである。


「にしてもなんで唐突にそんなことを言い出すのさ?」


更に不可解なのはこのヒミツと言う男、金に困ってないどころかこの世界の常識で測るとそこらの貴族より全然金持ちだ。元衛兵としての義務感というのもあまり現実的ではない。


「さっき、尋問した時にそろそろこいつらの集まり?っぽいのがあるらしいというのを聞いたんだよ。それで俺は考えたわけだ。」


巨漢とは違う奴を尋問して手に入れた情報を元に少々芝居掛かった動きとセリフで説明をしていく。


「まず、なんでこいつらが集まるか、それは彼らの長か何かに宝物を納めるため、だと思う訳だよ、強烈に理不尽な縦社会だからね彼処。」


「まあ、そうだろうね、だがそれだけに数も多い、まあ脅威ではないだろうけど全て捕まえるっていうのは難しいと思うよ?」


するとヒミツは兜を脱いだ顔を歪め何処ぞのマフィアみたいな凶悪なオーラを漂わせて言う。


「集まるって言うことは何処かしらの閉鎖空間例えば・・・そう、洞窟、そう言うところは多少隠し通路があるだろうが出入り口っていうのは限られる。そこを塞ぐ。もし開けたところにいるんだったら結界で閉じ込める。一箇所に集まるっているのが重要なんだぜ?」


「ふむ・・・それは、確かにそうだね。」


「・・・あの、なんのためにこんなことを?」


小夜の問いにヒミツは答える。


「うむ、まず建て前として街道の安全を守ることは市民の安全を守ることと同義だし、俺としても悪人が跋扈して良い気分ではない。」


「で、本音は?」


「いや、あまり変わらないかもしれんが、この村、実は少しだけ生活した跡があるんだ。しかもごく最近の物だ。その痕跡を見てしまったのなら見過ごせないし、王都に行ったらちと高い買い物をするかもしれんから資金調達だな。」


ことも無さげに『資金調達』と言い切るヒミツだが、盗賊団や山賊、傭兵崩れの集まりなど無法者は長くあればあるほど強く強固になり、時には権力者とも繋がっていたりする。


「ま、別に俺が勝手の始めた旅だし、お前さんがたが付いて来てるのも勝手に付いて来てるだけだ。」


「まあ、それはそうですけど。」


「いや!私仕事だから!これで給料もらってるかね!?」


暗に一人でもいくという意思表示をするヒミツ、ぶっちゃけ一人の方が強いところがあるヒミツなので放っておいても良いのだが・・・


「わかりましたよ、付いて行きます。ああ、あと対人戦も経験がありますよ?何度か殺したこともあります。ほとんど人間辞めてる方々でしたけどね。」


「ふむ、じゃあ決まりだな。」


そう言いながら出来上がった特製ポトフを三等分して皿に盛り付けるヒミツに先ほどまでの狂気は既に無かった。



「あ?ビッグスの反応が消えた?」


「はい、あの脳筋にかけておいた追跡の魔法が何者かに壊されました。」


盗賊というのは大概が戦士や傭兵崩れひどい時は下級冒険者などが多いのだが、その一方で少なくない数の魔法使いが所属している。

この細身の男もその一人、本人的には研究のための素材を手取りばやく大量に手に入れるのに略奪というのが最も効率的だと思ったためにここにいる。実際学院や個人で研究していた時よりの機材の少なさ以外は全てが揃っていた。


「ふむ、大会合を遅らせるべきだろうか?」


「ですが、既に各組織への連絡は済んでしまっています。」


「・・・仕方がない、今回は警備を強化しての大会合としよう、各組織への連絡に追加できるか?」


「わかりました。ではまた何人か貰いますね?」


「ああ。」


去っていく細身の男を見て大柄な、見た目からは粗暴な雰囲気を感じる男は自身の得物である巨大な戦鎚の柄を撫でる。


「今回は荒れる気がするな。」


そして凶悪な魔力を噴出させる戦鎚を自身の闘気で屈服させ酒と肉を喰らう。


「きっと愉しいだろうな。」


月を眺め感慨深そうに、しかし少年のように目を煌めかせ強者の予感を感じていた。男にとって強者との戦いとその後の余韻が全てであり、部下も、略奪も全てが後ずけのものだった。

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