今!必殺の!俺氏キャノン!
中二力の爆発だ!(小規模)
持ち主の身の丈ほどの刀身は月明かりを凝固させたかの様な青白く、揺らめき、持ち主をより最適化しようと侵食してくる。
持ち主の手から腕にかけて刀身と同じ色の幾何学的な線が走り、今や首の手前まで伸び、ただひたすらに、しかし限りなく月明かりから生み出される膨大な魔力を持って肉体そのものを超強化して行く。その恩恵は鎧までも蝕み黒鉄の鎧の所々から青白い燐光を放つ。
「いや、だからなにそれ!?」
「エクスカリバーだ。」
マーリンは困惑する。代々受け継がれて来た知識から聖剣は持ち主の力を最も発揮できる形に歪み強化されるのは知っているが、加護の内容やそれの放つ独特の輝きは変わらないはずである。
「聖剣が弓になったりしてた事例はあっても色と加護が変わるなんて・・・」
「そいつは多分だが、別のエクスカリバーだよ、おそらくな。」
「そんな馬鹿・・・な・・・?」
戦闘は開始しているが、しかしヒミツの圧倒的な力で敵を粉砕されたり、蒼く輝く刀身を飛ばして遠方の敵を輪切りにしたりと、無双状態なのでマーリンはエルフ達の周辺に結界を張っているだけで暇なのもあり自身の知識を掘り起こしていた。
敵の首魁らしき魔導師を捕らえたはいいものの一向に減らない魔物の群れに突っ込むヒミツ。
「爆ぜよ月光!」
ドゴぉぉぉぉ
青白い刀身が膨らみ敵に当たるごとに爆発、敵はもちろん吹き飛び地面も抉れて行く。空には月が異常に大きく映り刀身はさらに加速する。
「月光・・・?月の加護、湖の精霊………」
結界内部でブツブツと単語羅列するマーリンは地面を見ている、直感的なものだろうが素晴らしい判断である。
あまりに近い月は狂気を呼び起こすのだから。
「奔れ月光、吹き飛べ!」
バギュウウン!
何処ぞの機動戦士の様な効果音と共に剣を振った方向へ月光の光が迸り、通った場所の敵だけが蒸発する。右手部分の籠手が黒から碧色に変わるのを見つつ殲滅速度を上げるヒミツ。
「うむむ、初代から二十代くらい継承してないつけが回って来たな、でも確信できるのは・・・」
「『あまねく魔を祓いたまえ』!エクスカリバー!」
ドギャアアアア!
予めセットしてある魔法陣を呪文で展開し剣を振り下ろす、神聖なそして何処か暗い輝きは残った魔物を全て飲み込み消し去った。
「個人で所有していいレベルの武装じゃないということだね、うん。」
マーリンは記憶とは違う正くも恐ろしい、聖剣を見つめため息をついた。
「『月光の加護に感謝を今一度眠れ。』五重封印術式起動、納刀・・・あ゛〜疲れるんじゃー」
最終的に右眼辺りまで侵食されながらも聖剣を納刀すると共に急速に散っていく月光の残滓と遠くなって行く双月が沈み朝日が昇るのだった。
「でだ。これはお前の御目当てじゃないなら帰ればいいと思うんだが?」
日が昇り魔導師の尋問が終わった朝、部屋は何故かワンランク上のスイートルームになっており、朝食も昨日より豪勢というか、個室に運ばれてくるスタイルに変更されたヒミツとマーリンは向かい合って朝食であるエルフの里の名物、豆腐スープを飲んでいた。
「いや、そうも言ってられないし、君からも知ってること聞かないと怒られそうというか、個人的に知的好奇心があるというかね?」
「へぇー?」
昨日の威容が嘘の様な小綺麗な短剣、聖剣による謎の副作用によって出来た鎧の幾何学模様、それらを完全に隠蔽したヒミツはいたって普段通りに見える。
「というか、聖剣に侵食なんて機能はなかった筈だけど?」
マーリンは疑問をぶつけながら豆腐サラダに手をつける。
そもそも聖剣にデメリットなど存在しない、確かにデメリットとは言えないものの明らかに持ち主を侵食していこうとする様子はまるで魔剣である。
「そりゃそうだ。俺がつけた、いや、正確にはちがうのかな?」
「・・・まだ突っ込まないからね?」
マーリンが既に胡乱げな目でヒミツをみている、聖剣をはじめとする各地にあるアーティファクト、遺物級の道具や武器、装備は加工がほぼ不可能である。少なくとも常識ではそうなっているし、神々の作ったとされるエクスカリバーの様な武器を加工するなど不敬であるというのが普通だ。
「いやさ、アレ、拾いもんでさ、一応宛先の教会に届けても短剣が抜き身で戻ってくるし、教会の人は俺が聖剣の担い手だとか色々いうもんもんだから邪魔なんで封印してお空に向かって投げたわけだ。」
「うん、どういうことだよ?」
ヒミツは青白い短剣を出してその刀身や鞘、柄などの加工可能な部分全てに呪いじみた封印の魔法陣やら、魔法やらを詰め込んであるのを見せる。
「で、その夜に神託が降って、色々怒られた末に呪文による解放、封印機能を付けてもらってそん時に多分細工されたんだと思う。」
「さらりと言ってるけどそれ、聖人クラスの祝福受けてるよね?アレかな?馬鹿かな?君?」
ごく自然に飯を食いながら喋るヒミツに白い眼を向けながら、そのあまりの無茶苦茶さにボキャブラリーが少なくなるマーリン、しかも此の異世界であっても神に直接あったという人間は殆どいない、その1人が此の無茶苦茶な青年だと露見すれば各宗教は大打撃である。
「ま、かっこいいからいいじゃないか、というかサッサとお前の方の話聞かせろこら。」
「う゛!」
今度はマーリンが追い詰められる側である。しかし運がいいのか悪いのか答えに窮するマーリンを助けるかの様に部屋のドアがノックされ、凄く渋い顔をするヒミツとガッツポーズをするマーリンという不思議な絵面が出来上がったのであった。
まいにちその場その場で書いている都合上偶に大幅な変更が行われます。すいません。




