で、だ。2
「「「婚約者!?」」」
声を荒げる3人の女性、
「あらあら、うふふ、大変ねぇヒミツくん?」
酒の力かそれとも勤務時間外だからか近所のお「うふふふ^_^」姉さん的な口調でこの状況を楽しむリリゼット、
「はぁ〜、言っときますけど旅が終わるまで絶対に誰とも付き合いませんからね?勿論チェルシーとも、ですよ?」
「あらら、残念。」
そう言って赤ワインを飲み干す姿は随分とピシッとした秘書姿とは違った印象を与えるのであった。
そして俺はすぐそこにいた山田とやっぱりいたアーサー、そして予想外にここにいたホーエンハイムに詰め寄られるのであった。
「つまり、現状あなた自身付き合う意思がない上に加護がある以上女神の監視下に置かれ続けるので自身と付き合うのを推奨できないし、しないということでおk?」
《にゅふふふ〜、そう!ヒミツは私の所有物なんだよ!わかったかーこの泥棒猫どもめー!》
なんというかスイッチが入るとぶっ壊れるホーエンハイムにしてはなかなか理性的な状態で俺の話を聞いてくれた上にアーサーと山田を瞬殺して話が拗れるのを防いでくれた。
・・・はぁ、いい人ではあるし有能なんだがな、彼女の職業的に俺と旅をしたりするのは無理だし、彼女自身人じゃないみたいだし、色々事情がありそうだ。
「結論から言えばなんだこのヘタレ野郎、って感じだけど・・・ていうか君未成年だったんだね、お姉さんいつももうちょっと年上を想定してたよ。」
「ああ、これからもそれくらいで接してくれると嬉しいよ。」
俺は無意識ににへらと笑う。最近どうも笑顔が足りないからな……で、なんでみんな鼻血を噴出させているのかな?
「っく、笑顔が眩しい、だとぅ!」
「ブフゥ。」
「げハァ!?」
・・・いつの間にか目が覚めてたらしい二人も真っ赤な海に沈んでるし、あれか?精神年齢60越え、現在15歳の青年爽やかスマイルでみんなの心を射止めましたってか?・・・イケメンって得だなぁ、前世でこれだったらもうちっと楽に生きれたかもしれん。
鼻をつまみながら気合いで立つホーエンハイム、血が足りないのかフラフラしているが多分問題ないはずだ。
「ま、今は保留ってことにしておくよ、でもアーサーちゃんも僕もあまり長くは待てないよ?強引に喰われても心構えくらい決めといてね?」
「・・・ハァ、喰われるの前提の心構えとかしたくないんだがね。あ、そうだ。ちょっと頼みたいことのがあったんだ。」
「む?」
俺はトオカの身体、正確には透華の鞘、兼透華の中にいる精霊ことトオカの現世での活動用の肉体若しくは人形を作ってもらえないかホーエンハイムに頼む。
「うーん、いいけど初めてが人形ちゃんなら私でも良いのでは?」
その人間がダメならホムンクルスでも作ってやるか見たいな超絶ダメ錬金術師の典型見たいな発想をやめて欲しい、あとそういう可能性を真っ先に検討するのをやめて欲しい、切実に。
「はぁ、とりあえず代金はあとで請求してくれ、後透華置いていくから中のトオカとちょっと相談してくれよ?」
「ああ!作るならもちろん私似の超絶美人にするからな!安心したまえ!」
(安心できねぇ。)
しかしてそういう造形は得意な方ではないので彼女に任せることにした。願わくばマトモな、剣の内部世界であった彼女の印象そのままであることを願うばかりだ。
さて、本題に入ろう。
ヒミツは都市の瓦礫で埋め立てられた自分の開けた大穴の上で子犬二匹と小狐に魔力を回しついでにタヌキチも出す。人の密集地で彼彼女を人型(少なくともヒミツにはそう認識できる形)にまで戻すと大惨事発狂祭りが開催されてしまうので自分の食事も含めてこの廃墟というにはいささか原材料に近づきすぎた瓦礫の山の上でささやかな面談という名のお食事会をすることにしたのだ。
「よし、じゃあ、自己紹介から行こうか。一応ね。」
契約の都合上名前などは全員共有されているが一種儀式めいたものであるのだ。互いに名を口にすることでよりそのつながりを強固なものにできる。
「とりあえず何故か知らんが現状神格が抜けた3人の分霊をここにつなぎとめる楔、ヒミツ・ムカイザカよろしく頼むぞ?」
ヒミツが名乗ると興味深そうに3人は頷き少々投げやりにヨロシクと返してくる。無論タヌキチは念話だ。
「ふむなるほど、定命の者たちの群れの中で行われる個体の確認儀式ね、僕は鋭角時空の管理者ティンダロスの第一席、ミゼール、コンゴトモ、ヨロシク。」
背景が『ゴゴゴ』とかになりそうな画調になっているが瞬間的にキティに叩かれ解除、口を尖らせている。相変わらず幼女状態のミッシェルが複雑そうな顔でよろしくと答え俺とタヌキチもそれに続く。
「はぁ、その第一席が侍女にして巫女、マリア・Kです。キティと呼んだらぶちのめしますのでそこらへん理解してくださると助かります。」
そう言って俺の方を見ないでください、ほら、ミゼールが念話でキティ連呼してるじゃん?あ?今のアウト。マジか〜。
「ふふん!私こそが神格簒奪者!ミッシェルである!・・・あ、痛い、ミゼール尻尾の毛抜かないで!!」
どこから出したのかお立ち台のようなものの上で名乗りをあげるのはロリ巨乳な白スクケモミミスト、うむ、属性過多極まっているな。
そして分霊ゆえに神格という絶対的な守りがないミゼールが一瞬でもミッシェルの傾国をレジストしきれず見とれてしまったのが気に入らないのかミッシェルに掴み掛かり無言かつ笑顔で尻尾の毛を毟ろうとしている。
それを俺とキ「マリア。」・・・マリア、タヌキチは宴会会場からもらってきた大量の肉料理や果物を食べながら眺めている。
「ははは、しまらねぇな。」
『そうですね。』
タヌキチの同意を得たところで時は遡り、一体いつからいたのか曖昧なしつこい系トリックスターを粉砕した頃まで戻る。
いや戻らなくても説明自体はできる。何故か依頼主であるミゼールたちと討伐対象(笑)なミッシェル俺の使い魔になっているのかといえば、それは依頼内容の変更とミッシェルのわがままである。
依頼内容の変更というのはミゼールが俺に言い放った『死んでくれないか?』である。
これによって俺はまんまと俺が死ぬまでこいつらを引き連れないといけないことになった。
ま、どうあがいても取り扱いきれるわけがないので常時王都でモードレッドや侍従長と戯れてもらうことになっている。
それに俺が起点である以上呼べば一瞬で空間を飛び越えて召喚できるので近くにいる必要はないのだ。
次にミッシェルだが…神格の返還がされてミゼールに神格が完全に戻ったのは良かったのだが呪いはそのまま一生続くらしくミゼールの笑顔と四つ這いで泣き叫ぶミッシェルという光景はかなり予想通りの展開だった。しかしそこから話は急展開、何が起きたのか女のままでいることを強要された彼は俺について行くと言って聴かず、しかも一瞬の、一分の隙をついて契約魔法と空間掌握を同時発動俺を固めた状態で使い魔の契約を取り付けた。
そして俺は神格を二人も3人も連れていけないし、そもそも管理すべきものがあるんじゃないかと言ったらここにいるのは現世へ干渉するための分霊だから!大丈夫だから!とゴリ押しされ、月の女神様は最初反対していたが何をミゼールに囁かれたのか突如として意見を変え、頼みの綱だった賢者はにこやかに裏切った。
まあ、何が言いたいのかというと仲間が、正確には使い魔だが、仮にも神様の分霊なのだから仲間くらいに持ち上げておかないとそのうち色々文句を言われそうなので仲間が増えた、ということにしている。
「ムキー!お前やっぱり兄に対して尊敬が足りないよ!」
「うふふ、はいはいお姉ちゃん?」
「うががががががあああああ!『傾国』!フルバースト!」
「・・・マリア、結界を。」
「もう張ってますわ?」
仲間・・・やっぱペットくらいでいいかな?




