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自由人の俺氏は運が悪い

「お前は何者だ?」ニヤニヤ


ヒミツの無駄に整った顔が最も人を煽るのに適した様に歪む、少なくともイケメンでは無いが整っていると言う顔を見てマーリンは少々動揺を抑えられたが逆にいえばその程度、監視相手に弱味を晒してしまったと言う衝撃がまだ残っている。

しかしそれでもいつも通りに答える。


「何者って言われれば僕は間違いなく『マーリン』だよ、正確には四十代目のマーリンって所かな?」


「ふーん。」


ヒミツは足元に転がっている暗殺者のひたいに手を置き軽い回復魔法を発動、ついでに縛ってから起こす。


「っは!一体何が…『聖剣使い』!なぜ邪魔をする!」


暗殺者(仮)は簀巻き状態で器用に跳びのこうとして手と足を括り付けられているのに気付くとヒミツを見て激昂する。


「ふむふむ、俺をそう呼ぶってことは教会関係者か、で、お前もだけど『転生者』について随分詳しい様だな?」


こっそりとヒミツが自白させる様の精神作用系魔法を発動したのに気付いたのはマーリンだけで、マーリン自身はそれをレジストしたが暗殺者には有効だった様で目が少し虚ろになりスラスラと言葉が出てくる。


しかし暗殺者の口から出るのは一般的な英雄や勇者として語られている転生者と告白した者達の話や教会の教典での転生者の扱いなど一般人でも知っている様な物ばかり、しかも所々不自然に繰り返されるところがある。

不審に思ったヒミツが仮面を引き剥がすと……


「ッチ、人形か。よくもまああんなに人間らしい動きができたな。」


マネキンの様な顔が出て来た。関節もよく見れば球形の物でまるで人間ではないのだが光操作の魔法は主に人形を人間に見せるのに使われていたようだ。しかし見事な物で痕跡が全くない、魔法の残滓や人形の構造からどの様な技術なのかはわかるが肝心の犯人やその狙いが全くわからない。


「厄介だな。」


そう言って人形を影に沈めた。そうしてからマーリンに向き直り問う。


「で、お前は何を知ってる?」


「・・・」


珍しくいいよどむマーリン、彼女や旧王族にとってそれは大きな意味を持つ単語であった。


「はあ、わかった説明するからそのウザい顔を引っ込めてくれないか?」


「ひでぇなぁ」


折れたのはマーリン、しかし俺の煽り顔をうざいとかひどいですぞ!

しぶしぶ真顔に戻るとマーリンは改まって話し始めた。


「おそらくだけど君の言う転生者は『異世界からの稀人』だろう?僕やあの人形が言っていたのは本当の意味での転生者ってことさ。」


「ふむふむ?」


「因みに僕や召喚術に長けた魔法使いは魂を視覚的に見れてね、君みたいな稀人の魂はかなり特徴的だからね、すぐわかるよ。」


「それはすごいな。」


で、とマーリンは話の流れを改める。


「君の持つ聖剣、それは普通の人間には持つことすら出来ないシロモノなのさ、それこそその所持者の転生体でも無いとね。」


しかしよく喋る事ができたのはここまで、次の瞬間エルフの村の中心部で巨大な魔力が介入を許すことのない速度で編み上がるのを感知したヒミツとマーリンは地震と建物と一体化している植物に魔法防壁を発動させる。

何方も魔法の達人故にぶつかり合うことなく一瞬で透明な防壁が編み上がると同時に爆発の音と衝撃が襲って来た。



「ハロハロ?生きてるか〜マーリン?」


「・・・生きてるよ〜、これで今回の会話イベントはスキッ「強制イベント故無理だ。その辺も話せよ!」ああ、うん、ソウダネ。」


食堂から2人で飛び出る。ひとまず爆発の起きた中心部へ向かう事にして身体強化をしながらマーリンに先導してもらう。


「うーんいいところだな・・・無事明日になってればここを観光できたのになぁ〜」


「君も一応そう言うこと言うんだね、意外かも知れない。」


「そもそも旅をしようと思って出て来たわけだしな。」


道中にも何故か村の内部にまで入り込んで来た植物型の魔物が溢れている。少なくともエルフの村の外周には魔物すら近づけない強力な惑わしの結界があったはず、それをすり抜けて来たと言う線はかなり薄い、もちろん無いとは言い切れないが魔法による爆破テロやマーリンに差し向けられて来た人形を考えると魔法使いか高位の魔物が転移やなんかをして来た可能性のが高い


広場一歩手前の半壊した家の陰まで出てくると広場の中心が円形に抉れておりそこにエルフが集められている。


「邪教徒だね、あの特徴的な真っ赤な頭巾と目のマークからしてどっかの破壊神系を崇拝してるのかな?」


「無駄に詳しいな。「もちろん!宮廷魔導師ですし!」・・・の割には待遇がおかしいけどな。」


自分でギクッとか言う人は大概胡散臭いのでほっておいて戦況分析だ。敵は召喚士5人に攻性魔導師10人、騎士風の連中が20人、だが・・・


「多分ほとんど人形だな、魔術師のうち何人かも動きがおかしい、発狂でもしてるのかもしれないが・・・さっきの人形と同じ魔法式を感じる。」


「・・・ッチ、屑どもが、君の助けた子達に何か仕込んでた臭いね、て事はゴブリンとか迷宮もあいつらの?」


まあいい、今は折角の夜だ。使いたくは無いが一瞬で肩をつけるのには丁度いい、


「下がってろマーリン、ちと範囲攻撃をする。」


「わかった。」


懐にある懐中時計を手に持ち月に掲げる。


「『我らが双月の神よ、御身の御力に感謝します。』」


続いて青白い短剣を右手に持ち魔力を流しながら月に掲げる時計と重ねる。すると青白い魔力とは違う神秘がヒミツの周りを薄っすらと渦巻く。


「『月の加護と湖の精霊よ!我が剣にいっときの栄光を!』術式解放、術式全解放、奔れ月光!『エクスカリバー』!」


誓約を交わし正式に解放された刀身は瞬く間に肥大化し身の丈ほどの青白いバスタードソードの様な形になり、そこから魔力を高め一気に横薙ぎにする。


「術式改変、物理破壊なし、敵意感知、フルバースト!行け『月光波』!」


すると刀身は一瞬巨大化しその刀身を射出、そのまま回転する事で全方向へ青白く輝くカマイタチの様なものを発生させ建物や植物などをすり抜け紅い人影を吹き飛ばした。


「行くぞ。」


「・・・・はあ?」


右手を中心に腕までを青白い線の様なものが走ったヒミツは剣を担ぐ。そしてマーリンは見たこともない様なヒミツの剣に眩暈を覚えるのだった。


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