わたしのおにいたん
わたしは毎日お兄さんといっしょです。
お兄さんはとってもやさしいです。
「おにいたん!」
わたしは、おにいさん、て、うまく言えないです。
すこしはずかしいです。
でも、お兄さんは笑ってなでてくれます。
とってもやさしくなでてくれます。
お兄さんの手は、ちょっとつめたいけど、わたしは大すきです。
「おにいたん、あそんで!」
わたしがお願いしたら、お兄さんは、いつだってあそんでくれます。
昨日もいっしょに、おままごとをしました。
お兄さんがパパです。
わたしがママです。
赤ちゃんはまだいません。
しんこんさん、なのです。
わたしが、おかえりなさい、って言ったら、ただいまって言ってくれました。
ごはんできてます! って言ったら、君がいいって言われました。
よく分かりませんでした。
そのあと、お兄さんは、わたしが作ったおりょ-りを、おいしいって食べてくれました。
うれしかったです。
ごはんのあとは、いっしょにお昼ねしました。
お兄さんの体はとっても大きいです。
わたしはまだ小さくて、はやく大人になりたいと思いました。
大人になったら、ほんとにお兄さんと、けっこんしたいです。
そしたらまいにち、おいしいおりょーりを作ります。
「おにいたん、おしごと、いくの?」
お兄さんは、おいしゃさん、なのです!
おしごとの日は、わたしもいっしょにお出かけします。
わたしは、かんごふさん、なのです。
いっしょに、かんじゃさんをしんさつします。
かんじゃさんは、おじいちゃんや、おばあちゃんです。
とってもくるしそうで、かわいそうです。
でも、お兄ちゃんがたすけてくれます!
だいじょうぶだよ。
なのにみんな、お兄ちゃんのお顔をみると、こわがります。
じつは、お兄ちゃんは、ちょっとお顔がこわいです。
だからしかたないです。
こわがってるかんじゃさんには、わたしがごあいさつします。
ママにおしえてもらったとーりに、にこにこ笑ってごあいさつします。
そしたらみんな、あんしんしてくれます。
わたしが、ごあいさつしている間に、お兄さんはしんさつします。
お兄さんが、おなかやお顔の上に手をあてると、かんじゃさんはねむってしまいます。
きっと、とってもきもちよくて、ねむたくなるんだと思います。
お兄さんの手はまほうの手なのです。
しんさつがおわったら、お兄さんが、えらかったねって、なでてくれます。
わたしはとっても、しあわせな気持ちになります。
やっぱり、お兄さんの手はまほうの手です。
「おにいたん、さみしいの?」
お兄さんには、おともだちがいません。
わたしたちが居るびょういんには、たくさん人がいます。
でも、だれもお兄さんにお話ししてくれません。
お兄さんも、だれともお話ししません。
でもたまに、とってもさみしそうなお顔になります。
お兄さんがかなしいと、わたしもかなしいです。
だから、そんなときは、お兄さんの手をぎゅってします。
お兄さんは、ひとりじゃないです。
わたしがずっといっしょです。
ないちゃだめです。
そしたらお兄さんは、なかないでって、わたしをなでてくれます。
なきそうなのは、お兄さんの方です。
しつれーです。
でも、お兄さんの手がきもちよくて、つい、えがおになってしまいます。
お兄さんも、にこにこえがおになりました。
いつものやさしいお兄さんです。
わたしはお兄さんのえがおが大すきです。
「おにいたん、おやすみなさい」
おやすみするときも、お兄さんといっしょです。
おんなじベッドでおやすみします。
ふたりでぎゅってしながら、おやすみします。
くっつくのは、すこしはずかしいです。
でもきっと、お兄さんは一人だと、さむくってびょーきになってしまいます。
だからわたしが、ぽかぽかにしてあげるのです。
わたしはいいこなので、おやすみのちゅーも、ちゃんとできます。
お口はまだはずかしいです。
だからほっぺです。
それでもやっぱり、どきどきしてしまいます。
でも、お兄さんも、どきどきしています。
くっついてるから、わかっちゃうのです。
そのあと、お兄さんは頭をなでてくれます。
やさしくやさしく、なでてくれます。
とってもきもちいいです。
だからわたしは、すぐにねむたくなってしまいます……。
「おにいたん、おやすみなさい……」
「おやすみ、みきちゃん」
大すきなお兄さん。
ずっとずっと、いっしょだよ。