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孤児の俺と魔術学院生活~人生逆転計画~  作者: 神堂皐月
七つの大罪編
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第90話 衝突

 雷平野遠方に姿を現した【七つの大罪】軍。


 その軍の規模は、報告から計算した予想数通り、3万程の半魔や半獣からなる軍勢であった。


 敵も、半分は人の血が流れている知性ある者だ。ローラン軍の動きに気付いていたのか、ローラン軍同様に軍をわけて3ヵ所に各軍を布陣させている。


 その行動力・手際のよさから、このような戦に慣れていることが解る。敵ながら、流石は悪名高きクランと誉めるべきか。


 敵の大まかな配置を理解したローランは、部下に銅鑼の音を鳴らすように指示を出す。


「どォーれ、おっぱじめるとするか!」


豪快に笑うローラン。


 戦場全体に響き渡る銅鑼の音が、ついに開戦を知らせる合図となった。


「第一隊ッ、行くぞ!」


 銅鑼の音に反応したアンヴィエッタが、自身が率いる第一隊に、気迫のある鋭い声で突撃命令を出した。


「「「ウォォォ――ッ!!」」」


 アルヴィス達をはじめ、騎馬した者が先頭で列となり、敵軍目掛け一斉に駆け出す。


 その気合いの乗った雄叫びと、馬脚の音が、平野の大地を揺るがした。


 後方に残る第二隊は、中央の守備が役割だ。


 アルヴィスは正面を見ると、敵中央軍からも砂煙が上がっているのを目視した。どうやら相手も、こちらへ向かって動き出したようだ。


 アルヴィスは背中から剣を抜き、左手はアリスの肩に掴まりバランスを取って攻撃に備えた。


 右隣を駆けるエリザベスは、左手で手綱を握り、右手には炎を纏っていた。その手に武器はなく、どうやら魔法のみで戦うらしい。


 左隣のロベルトは両手に剣を持ち、手綱は握らず手放しだ。馬の扱いに長けるのか、上体がぶれること無く挟んだ脚のみで馬を操っていた。


 少し後ろを駆ける飛鳥は、この1ヶ月アルヴィスと共に訓練した片手剣をその手にしていた。飛鳥の用事として武器選びに付き合ったアルヴィスは、実家で何度か刀の稽古をしたことがあるというので、両刃の剣を選んでいた。刀では耐久度に少々の不安があったからだ。


 そして驚くべき事に、馬で走っているすぐ後ろをルナは走って付いてきていた。付いていくと最初聞いたときには、さすがに無理があるだろうと思ったアルヴィスだが、そんな心配は杞憂だったようだ。


 もともとの人間以上の身体能力と、魔力によって、アルヴィスのような魔法が無くとも馬並みの速度で走れるのだろう。


 ルナの武器は、鋭い鉤爪のついたフィンガーナックルだ。それを両手合わせて10指すべてに装着していた。


 敵隊の姿が目視出来る距離にまで接近すると、アンヴィエッタは第一隊に、叫びながら手振りも交えて陣形変更の指示を出した。


「――偃月えんげつの陣!」


 アンヴィエッタの指示により、隊は彼女を先頭に細長い三角形のならびに変わる。


 そして、向かい来る敵隊およそ5000――敵中央軍の半数が出てきたようだ――と衝突した。


「突き進めェ――!!」


 先頭を行くアンヴィエッタが、剣を片手に勇猛な姿で敵隊へと斬り進んでいく。


 その背に、アルヴィス達学生も負けじと敵兵を殲滅にかかった。


 激しく飛び散る血の雨と、次々に斬り落ちていく敵の生首。


 いくら半魔や半獣とはいえ、見た目は人間とそう変わらない。


 そんな光景に、アルヴィスは少しの罪悪感と、それ以上の昂りを感じていた。


「ぶッ飛べザコ助がァッ!」

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