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孤児の俺と魔術学院生活~人生逆転計画~  作者: 神堂皐月
紅い月と古城の少女編
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第61話 アルヴィスの魔法

 アルヴィスは少女と向き合ったまま後方に跳び距離を取ると、右手を少女目掛け突き出し魔力を練り始めた。


 それを見た少女はカカッと嬉しそうに笑うと、再び自身を影へと変身させた魔法を発動させた。


(さぁ、来い! お前さんが本物か証明して見せろ!)


「……まだだ。まだ足りねぇ……――」


(――ここに来るまでの道中1度も成功していないこの魔法、まさかぶっつけでやらなきゃいけねェとはな)


 アルヴィスはこの任務の進行中に飛鳥から聞いた新人戦で最後に自分が使ったという魔法を思い出していた。飛鳥から聞いた魔法。それは、飛鳥の風神雷神を潰し消した空間魔法のことだ。


 イメージは何となくだが既に出来上がっている。飛鳥の話では、風神雷神の周りの空間そのものが歪んで一点に収縮していった、と。ならイメージは、空間を一点に集めるように外側から無理矢理押し潰していく感じだ。


 そうアルヴィスはイメージしながら魔力を右手に集中させていく。


「どうした? 何もせんのか?」


 待ちきれなくなったのか、少女がアルヴィスを挑発するような口調で話しかけてくる。


(――……来たッ!)


 魔力を練り終えたアルヴィスはカッと目を見開くと、気合いの入った声と共に魔法を発動させる。


「おッ!? やっと仕掛けてきおったか、カカッ」


 アルヴィスが魔法を発動させると、少女の周りに3つの魔方陣が出現した。少女はワクワクとした面持ちできょろきょろと様子を窺う。


 3つの魔法陣がそれぞれに干渉し合うように、魔法陣を中心として魔力を外側へ膨張させていく。膨張した魔力の範囲が重なると合体し1つの個となった。


 少女が中心となったアルヴィスの魔力で構築した空間が生まれたのだ。


「これは……もしや……」


 少女は周りで起きている異変を見ると、何か思案をするようにぶつぶつと呟く。そして両手を水平に広げ魔力障壁を展開させた。


(うおッ!? マジかよ!?)


 アルヴィスは少女の魔力障壁を見ると息を飲んだ。


 少女は両手からそれぞれ5重の障壁を展開させていたのだ。それも全てが特大サイズ。相当な魔力を練り込まれているはずだ。


「ハッ、おもしれェ……! そうこなくっちゃなぁ!」


 アルヴィスは突き出していた右手をゆっくりと、だが力強く握り出した。すると少女を囲んでいた魔法陣が一点に集まるように距離を縮め始める。同時に魔法陣で形成された魔力空間もその範囲を狭めていく。


「空間魔法か……。となると先ほどまでの速度は時間操作じゃな? やはりあの童、あやつなのか……?」


 魔法障壁で抵抗する少女は少々きついのか片眼を閉じている。もしかしたら額に汗をかいているのかもしれないが、影となっている今は分かりようがない。


 だがアルヴィスが気になっていることはそんなことではない。先ほどからよく呟く少女の言葉に含まれる怪しげな単語の数々だ。


 さっきから本物だのあいつだのと一体誰と勘違いしてやがる、とアルヴィスは内心考えながらも握るその力は緩めない。


 さらに握るその力に魔力を込めて握りきろうとするが、なかなかその手を閉じることが出来ない。子供が林檎を握り潰そうとしているような感じだ。


(クソッ、かてェ……! ならこれでどうよ!)


 アルヴィスは左手も少女へ向けると、同じ魔法を3つの魔法陣の外側に発動させた。右手で展開させた魔力空間を、左手で展開した魔力空間が押し潰していく。


 2重の魔力空間が少女を押し潰そうと襲い掛かるも、魔法障壁をそれぞれ1枚ずつ破壊したのみで依然少女は平然としていた。


(これでもかよ!? ……くそ……魔力が……ッ)


 先に魔法維持がキツくなったのはどうやらアルヴィスの様だ。握り潰そうとしながらもその上げる両手が徐々に下がり始める。


「ふぅ……やっと終わったかのう。さすがにちと疲れたぞ」


 少女は自身を囲む6つの魔法陣が消えたのを確認すると、息を吐きつつ魔法障壁を解いた。


「それにしてもお前さん、やはり時空間魔法の使い手じゃったか。にしては少し物足りんかったがの、カカッ」


「時空間魔法だぁーあ? 俺は時間操作魔法しか使えねェぞ」


「何を言うとるんじゃ童。今の魔法が何よりの証拠じゃろが」


「俺は魔力で潰そうとしただけだぜ」


「空間に干渉してたじゃろが。ただの魔力じゃ物を潰すなど出来ぬわ!」


「そんな……!?」


「今ごろ気付いたのか!? このたわけめが!」


 なぜか敵の少女に怒られるアルヴィス。当然納得のいかないアルヴィスは不満そうにするも、かといって事実は事実なので反論が出来ない。まるでロベルトと口喧嘩をしている時の気分だ。


(そうか、じゃからあんなお粗末な使い方をしておるのか。そこはなんか納得がいったのう)


 少女は影化を解くと、アルヴィスに近寄り始めた。


 突然の行動にアルヴィスは動揺するも、右手に〈時の迷宮〉を発動させ少女の攻撃に備えた。


「おっ? なんじゃ、まだやる気かの? それもそれで良いが、もうよい。今のお前さんじゃ儂を殺そうなど不可能じゃ」


「っんだと!」


「そもそも儂は不死じゃ、いや、今は不老不死じゃったな……。つまり初めから儂を殺そうなど無理じゃったというわけじゃ、カッカッカッ」


(不老不死だと!? んなもんホントに居やがるのか!? ――いや、んでもそれならこいつがこんなに強いことにも納得がいく。見た目以上に歳ってことだろ?)


「おいお前さん、今なにやら失礼なことを考えんかったか? ――ん? 言うてみぃ? どうした? 言えんのか?」


 詰め寄るようにさらに近付きながら攻めてくる少女に、アルヴィスは目線を逸らして圧から逃げるしかなかった。


「まぁよいわ……ふぅー、そこに座れ童。聞きたいことがある、少し話すとするかの」


 少女は嘆息を吐いて心を落ち着けたのか、アルヴィスに近場の小岩に腰掛けるように指示をした。


 今までの戦闘による戦力差と不老不死ということから、アルヴィスは警戒状態は解かないが素直に指示に従うことにした。今の距離で下手に逆らっては瞬時に殺されかねないからだ。


「良い子じゃ。――どれ、何から話すとしようかのう」


 少女も近くの切り株に腰を降ろして脚を組み、アルヴィスに向き直るとニヤリと笑った。

初めて早朝まで書いてみたけど眠くて頭が働かない、、、

キャラが勝手に動いて話が進まない、、、

まだ構想の段階で考えたキャラが4人も控えてるのに、、、

20万字までに4人出せるかな、、、もう少しだ、、、( ´_ゝ`)

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