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002 俺の日常はどこへ?

お久しぶりです


なかなか続きが書けなくて、こんなに空いてしまいました……


これからは遅筆ではありますが、不定期ながらも少しずつ書いていこうと思います。


では、どうぞ!!

「愛してるわ、ショウ。

 今までも。

 これからも、ずっと」


 そんな少女の声が聞こえる。


 俺は、その声に目を開けた。



 すると、目の前には妖艶な笑みを浮かべ、愛の言葉を囁く少女がいた。


 水色の長い髪のハーフアップ。

 慈悲深いのか、冷酷なのか。

 大きくて、長いまつ毛が目立つ、不思議な印象の深い紺の瞳。

 色白の肌。

 背は、俺よりも十五、六センチは低いだろう。


 その少女は今日も夢に出てきて、抱きついてくる。


 前とは打って変わって、満面の笑みを浮かべて。



 どうやら、また昨日の夢と同じ所らしい。



 だが、前と違う所がある。



 それは、室内灯が仄明るく灯り部屋のみ全貌が見えるようになっていること。


「約束通り迎えに来てくれないから……。

 私から迎えに行っちゃったよ、ショウ。

 私、待ってたのよ? ショウのこと。

 まだ、現実のショウは私の事、思い出してくれてないから仕方ないけれど……。

 でもこうして、夢に来てくれただけですごく嬉しい」


 俺の胸に顔を埋めて少し拗ねつつも、嬉しそうにする少女。


 そんな少女は、つい先日から俺の家で居候することになったあいつ(エリダ)と瓜二つだった。


 俺が名付けた少女。


 困惑している俺を余所に、また俺の口は勝手に動き、


「言っただろう?

 ちゃんと迎えに行くって。

 俺としての意識はまだ、この夢の中でしか保てない。

 でもそのうち、“今の俺”とも意識は交じる。

 愚呪愚呪に混じって、ひとつになる時がくる。

 それまでの辛抱だ。

 俺が、手に入れた力に目覚めた時、俺の“今の俺”に対する浸食はもう止められなくなる。

 もうすぐなんだ。

 そのときは――――」


 結構長い文章なのに、ひとつも噛まずにスラスラと言ってのける。


 こんな長い文、普段の俺なら思いつかねぇよ。


 そういえば、この夢は二回目な訳だが。

 夢を見ていてわかってきたことなのがある。


 それは。


 どうやら俺の中には“俺じゃないナニカ”がいるらしい、ということ。


 それも俺と同じ名前で、少女と知り合いの誰か。


 そして、俺の身体の主導権を奪おうとしているらしい。


 このエリダそっくりの少女のために。


「――――そのときは、やっと一緒になれる」



 この「一緒になれる」の意味を何となく、俺は感覚的に理解していた。


「ショウ……。

 ……あなただけが私の永遠の宿主よ。

 早くあなたに会いたいわ」


 「待ちきれない」といった表情でさえも、この少女が浮かべると艶めかしいモノになり、男を誘っているようにしか見えない。


「もう少しだから。

 それまでは“今の俺”で我慢して待っててくれ」


 そういう俺の中の“俺じゃないナニカ”。


「ええ。

 いつまでも待ってるわ。

 あなたが再び、浮き世に戻るその日まで」


 応える少女に俺は、


「俺も愛してるよ、○○○」


 と言って――――。


――――目が覚めた。



 またしてもあの不思議な夢を見た。


 今回は前回よりも全然長かったが。


「あの夢……あの少女、絶対エリダだろ。

 やっぱりあいつとは関わらない方が……」


 と、俺は呟く。


 つい今し方まで見ていた夢について思い返す。


 何回思い返してもエリダにそっくりな少女は、俺の中の“ナニカ”と知り合いだ。


 そしてその“ナニカ”は、俺の体と意識を乗っ取ろうとしている。


 思えば、エリダが俺の家に来て最初の晩である今回の夢は、前回よりも長いものになっていた。


 ってか、あの夢を初めて見た直後の昨日、エリダが家に来たんだよな。


 エリダが来る前触れみたいに取れなくもない。


 絶対にあの少女とエリダは、あの夢とエリダは何か関係がある。



 そうとしか考えられなかった。


 そんなとき、


「ショウ?

 ……起きてるの?」


 部屋の扉が静かに開き、件の少女・エリダが顔を覗かせる。


 俺が起きてるのを見た途端に笑顔になり、


「あ、起きてたんだね。

 あのね、あたしショウのために……」


 何かを言いかける。


 しかし、おそらく強ばっているであろう俺の顔をみて、


「……やっぱ、見ちゃったのかな」


 何かを察したかのようにポツリと呟く。


「……」


 俺は黙ったままだった。


 そこでエリダは意を決したように、


「……でもね、その、違うんだよ!!」


 と何かを主張しようとしている。



 しかし、タイミングが良いのか悪いのか、



「ちょっとショウ!!

 いつまで寝てるのよ!

 早起きしろって何回言えば……」


 言いながら部屋に入ってくる人物がいた。


「……ショウ。

 まさかとは思うけど……。

 エリダちゃんに何かしたんじゃないわよね?」


 その人物は「皐月千早」。


 俺の母だ。


「そ、そんなわけないってば!

 まさか、俺が女の子にそういう興味ないってことは、母さんが一番よく知ってるじゃないか!」


 あわてて母の憶測を否定する。


 変な誤解されて怒られるなんて理不尽すぎるからな。


「あらそう。

 なら、いいんだけど。

 エリダちゃんに何かしたら……許さないから」


 コロッと態度が変わり、興味を無くしたような感じになる。

 最後の方は脅しみたいな感じだったが。


 そんなにエリダは大事な存在なのだろうか。


「母さん……」




 概ね、ここまではいつも通り。


 まあ、エリダがいる時点で普通じゃなくなってるんだが、それにツッコんではいけない。



 だが。



「さあエリダちゃん!

 あっちで、朝ご飯たべましょ!

 今日はエリダちゃんが来た記念だから、ちょっと作りすぎなくらいに気合い入れて作っちゃった」


 なんて母の張り切っているような、人に対して優しい態度は明らかにいつもと違う。


 これは、エリダが来た影響……なのか?




 それともエリダだから……なのだろうか?



 そんな本人以外わかるはずのない疑問を思い浮かべてしまうショウだった。


******


「で、エリダちゃんは高校とかどうするの?」


 千早はエリダへと問いかける。


「そうですね……

 特には何も────」


「なら、ショウと同じ高校に編入してみない?」


 エリダの言いかけた言葉に被せるようにして告げられた母・千早の提案。


 それはつまり、俺にこいつの面倒を見ろって言うことか!?


 俺は日頃の付き合いから、母の言いたい事を正確に理解していた。


 しかし、到底受け入れられる物ではない。


 こんな得体の知れない奴の面倒なんて見たくもない!


 てか、こいつ明らかに常識なんてないだろ!


 俺が精神的に疲れるってのが目に見えてるじゃないか!


 まあ、まだ聞いてみないことにはわからない。


 俺は、母が否定してくれるのではないかという一縷の希望に縋るような気持ちで、口を開く。 


「母さん、それはつまり俺にエリダの面倒を見ろって言うのか?」


 頼むから、否定してくれ……!


「もちろんよ。

 だって、()()()()んでしょう?

 なら、責任持って宿主様であるあなたが面倒見なさい」


 あっさりと希望は絶たれた。


 はっきりと言葉に出されたことで、今、俺の逃げ道は塵一つ残さずに消滅した。


 現実逃避したい俺は、ふと母の言葉を脳内で反芻する。


 何か含みを感じる言い方だったからだ。


 その言葉から察するに、どうやら俺の知らない何かを母さんは知っているようだ。


 そう感じさせるような意味深な言葉があった。


 一体、母は何を知っているのか。


 エリダと関係あることなのか?


 それは、今の翔に理解できるはずもなかった。


 少なくとも、何も知らない()()翔には。


「ていうか、エリダちゃんの編入手続き、昨日の晩にもう済ませてあるのよね」


「……はぁっ?!!」


 俺は天を仰ぐように天井を見やる。


 あぁ、さらば平穏な人生。


「さすがに一晩で編入手続き済ませるのはあたしでも骨が折れたわ……」


 いや、母さん。


 そんな無駄なところに労力割くなら、もっと違うことに割こうよ……。


 一体全体、俺の日常はどこへ行ったんだ……?



 一人、乾いた笑いを浮かべつつ首をひねるしかない俺であった。

久々過ぎて作品世界がよくわからなくなっているところがありまして……

もしかしたら少し設定を弄るかもしれません。


もうしばらくしたら緩い雰囲気にするつもりなのでしばしのおつきあいを。


感想等、いつでもお待ちしております!

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