僭称皇帝
僭称した皇帝は数多くいる。
ローマ帝国の軍人皇帝が乱立した時代が、その顕著な例と出来るだろう。
西暦2511年にも、皇帝が乱立した。
前年、偉大なる皇帝という意味の、グリティア・エンプルという追号が、諮問会の全員一致で与えられた皇帝が崩御してからというもの、我こそがという者が多数現れた。
諮問会とは、皇帝独裁のこの国で、皇帝が諮問を行うための議会で、選挙によって選ばれる仕組みとなっている。
宇宙全土に広がるこの帝国の首都での葬儀には、おおよそ数十京人が見たとされている。
正確な数値は、不明ではあるが。
さて、死後、諮問会は速やかに次の皇帝を選んだ。
皇太子として、すでに指名を受けていた者も、1週間後には毒殺された。
諮問会としては、諮問会議長が一旦の皇帝となり、ふさわしいものが現れるまでは、そのまま皇帝となって執政をすることになっている。
葬儀後の1年の間に、皇帝を名乗ったのは、33人に上る。
彼らのいずれかが、真に皇帝となるのか、また、どうなるのか。
それは、これから記される歴史書に書かれることであろう。
私には、関係のないことだ。
だが、気になる者のために、私が覗き見た未来を教えよう。
戦争が続き、国土は荒廃する。
その中で、一人だけが生き残る。
誰か、それは私にも分からない。
運命というのは、絶えず動き続けているからだ。
それだけの話だ。




