瀬崎由美
3推し 瀬崎由美
とある田舎の駅前本屋。ここに今日も今日とて推し活をする書店員がおりました。
彼女の名前は糸井川琴葉。推し活に精を出す29歳独身だ。
ちなみに、推し活と言ってもそこは書店員。推すのは韓流アイドルでもなければ〇〇坂48の類でもない。推したいのは作家である。
しかし、今日は朝から何か悩み事があるようで──
(どうしよう。あまくにさんと紫音様がいたから迷う事なく2つ投票してしまった。1人の持つ投票権は3票までなのに。あと1票。瀬崎由美さんに入れる分しか残ってないなんて残酷すぎるよ〜!)
私は悩んだ。瀬崎由美さんに投票すべきか否か。1秒くらい悩んで、結局投票した。
(遅くなってごめんなさいね。瀬崎由美さん。やはりあなたには入れないとね。ああ、1秒でも躊躇ってごめんなさい)
3票目は瀬崎由美。この人に決定した。
瀬崎由美さんは苦手分野のない作家だ(多分)。様々なジャンルで活躍することの出来るプロになるための準備万端な作家。奨励賞受賞歴は数多く、その全てが書籍化しててもおかしくない作品なのである。第一話を読めばその実力はよく分かる。例えば一話目で部屋がもぬけの殻の話とかハナから引き込む力が強く、つい次の話を次の話をと進めてしまう。
その文章は表現力豊かで映像どころか匂いや音があるようなそんな文字を創り出す。彼女の作品が書籍化するのもまた時間の問題だろう。そう確信する琴葉だった。
(しかしどうする? もう票がない。まだ良い作品は山ほどあるのに。……そうだ! 母のケータイを使っちゃえ!)
母親のケータイでコッソリとノベルアルファにログインして投票をする。
(さすがは私の母。ノベルアルファはダウンロード済かあ。やるな)
などと思いながらコンテスト画面へと。
(あれ?)
気付いたらなんでかまた、あまくにみかさんと紫音さんと瀬崎由美さんに投票してしまっていた。指が勝手に。
(バカかよ私。……でもいいわ。もーいい。とりあえず今回のコンテストはこの3人を推しまくる。はやいとこ私の本棚に並べたいからね!)
糸井川琴葉は今日も各種アカウントで推し作家をリツイートする。それがいまの自分の生き甲斐なのだ。
(こんな形の夢や青春も、あってもいいよね──)
万能作家、瀬崎由美 彼女の創り出す世界に全ての読者が飛び込めばいい!
瀬崎由美
主な活動サイト
アルファポリス
カクヨム
奨励賞多数
これは2025年2月に書いたもので、実はこの話を書いている時に瀬崎さんは書籍化の準備をしている時だったそうです。今はもうれっきとした書籍化作家。ことはの夢が1つ叶いましたね。
2025.10.23
第一回GoodNovelコンテスト優秀賞受賞




