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第一章 驚きと反省

気まずい沈黙の中、私は赤い尾びれを見ながらこれがちゃんと二本足だったらダッシュでこの場から逃げてたな、と思った。


あぁ~。足よ、二本足になれ!!


心の中でそう願ってみると、青いふわふわとした光が現れて尾びれの周りをくるくる回り始める。

え?これ何ですか?また驚かれるようなことだったら勘弁してください。


「ふふ、ケンカなんてしてないわよね?」

「っ!!」


ひ、光に笑われた!?今確かにこの光、笑って喋りましたよね!?

光の声は、男とも女とも言えないような……そう、子どもがはしゃぐ声に似ている。

それにケンカしてないってまさか…精霊ってやつですか?いや、まさかね。


「ねぇ、異世界から来た人魚さん。人間の足にしてあげようか?」


光は、私の顔前で楽しそうに揺れながら問いかける。

本当に?おとぎ話展開だと罠。声を失って最後は泡。

でも、私王子に恋してないし、というかルカは考えられないし、この光は魔女に見えないんだけどな。


「魔女?君の世界には魔女がいるの?」

「え?こっちにはいないの?」


異世界って言ったら、魔法に魔女でしょ!!これは、詳しくない私でも常識のごとく知ってます。


「魔女じゃないよ。じゃ、少しの時間だけど楽しんでね」


光は、くすくすと笑いながらスッと消えた。

えーとーこれはどういうこと?もう、わけわかんない。あぁ、考えすぎて頭が痛くなってきた。ついでに、足も疲れてきた。

ん?足?そういえば、さっきから私バタ足してるような気が……。


「えぇ!?」


足を見るとなんと二本足に!!まさかさっきの光のおかげ!?

これは、なんとしてでも陸に上がらねば!!

急いで上へもがいて縁に捕まる。

よし、脱出だ!!


「あ」


勢いよく出ようとしたら、金魚鉢が傾いた。

そういえば、ここ机の上――。

縁から体を乗り出した体勢のまま床が近づいてきて、思わず目をつぶった。


「あぶなかったね」


でも、衝撃はなく、一拍遅れてバシャーンと水が飛び散る音が盛大にした。

恐る恐る目を開けると、目の前には綺麗なお顔があって、目が合った。

わー、こんな綺麗な顔を近くで見るの初めてー。


「ルカ殿下、大丈夫ですか?」


現実逃避しようとした私をニルカが呼び戻した。

そう、今私はルカの上にいてさらに抱きしめられてます。

というかごめんなさい。びっくりが大きすぎて人がいるのをすっかり忘れてました。


「る、るか。はなして」


舌が回らない。顔が熱い。

こんな状況生まれて初めてで免疫がない。


「アイ、大丈夫?」

「はなしてくれれば」


ルカが、よかったといって離した瞬間飛び跳ねるように立ち上がって扉へダッシュ。走れるって素晴らしい!!


「アイ!!」

「アイ様!!」


後ろから呼ばれる声がしたけど、気にしてられない。

とりあえず今は恥ずかしくて死にそうです。どこか押入れに避難させてください。


これまた綺麗で埃一つ落ちていないような廊下を全力疾走。

全身びしょ濡れで走るたびに水滴が飛ぶわ髪が顔に着くわで大変だけど、さっきのに比べたらミジンコもの。

無我夢中で走ってたら、何やら人の声が前から響いてくる。

まずい。これじゃ押入れを見つける前に金魚鉢に戻されちゃう!!


はぁはぁと息切れしながら左右を見ると、右には扉、左には窓。

ここは一階らしく窓の外には庭が広がっている。

うーん、押入れを探すなら右だけど、人がいそうだしな。

これは運命の選択ってやつだ、と考えてそんな大げさなものじゃないと思いなおす。


「お前らはこちらに来い!!」


――さっきよりも声が近くなってる!!


私はとっさに選択していた。


「あ」


右、即ち扉を。

扉の中には男と女の人。

男の人と目が合う。


「し、しつれいしました」


二人は、その、き、きすの最中でした。

……もう押入れと言わずにどこかに埋められたい。

回れ右をして窓に突進してそのまま庭へと出る。

こんなのってないでしょ!?

走って林の中に入ってしゃがむ。


膝を抱えて体育座り。

押入れじゃないけど、ここなら反省会、いや頭の整理ができそう。

そういえば、格好も水着の上にTシャツを被ってるだけだし。

色々と恥だよ。ふつう、海でもないのにこんな格好でいる人なんていないだろうし。


整理(というほど情報がない)すると、ここはティオン国という国で人魚族は珍しい存在らしい。

人魚族は、人間と精霊の間の子であり水の精霊の加護が宿るから青尽くし。

水の精霊の加護ってことは水の精霊との間の子なのかな?

人魚族は精霊の力を使えるらしい。

私は、赤の帯尾びれで普通の人魚族と違うから管理されることになってその管理者がルカ。

ルカはこの国の第二王子でお兄さんがいて王様になる気はないマイペース人間。

味方とは言い切れないけど、私を殺すとかひどいことはしないと思う。

そういえば、ツィネさんとシルアさんは人魚族と縁のあるものだって言ってたけど、どういう意味だろう。


――で、私はどうして人魚族でどうやったら元の世界に帰れるんだろう。


海から来たんなら海へ帰るべし。

ここを脱出して海に行かなくっちゃ。人魚族に会ってみたいし。

でもその前にこの格好をどうにかしないとな。

ばれないように低姿勢で林を庭に沿って進むと洗濯物が干してあった。

よし、まずはあそこで服を調達しよう!!

亜衣は突っ込みはいつも遅れます。(というより気づくのが遅い)

亜衣視点だと一話前の突っ込みとか普通に入りますので読み手のみなさんにはもどかしいかもしれませんが、付き合ってやってください。

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