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第一章 王子と茶髪男

「俺は王位継承する気はないからね。兄上が継ぐ気満々なんだ」


そんな穏やか顔をしていうものなのか!?

ふつう、王になるかならないかじゃ全然権力とか違うし、王になりたくて戦争や陰謀がよく起きるものなのに。

異世界トリップで王や貴族がいるとなれば、そういうものが起きるのは定番なのにな。


「えーと、ルカは王様になりたくないの?」

「うん。俺には向いてないし、適材適所ってやつだよ」


うまいこというな、この王子。


「ルカ殿下、まだそのようなことを仰っているのですか」


あれ?知らない声。


「あ、ニルカ。どうしたの?」

「ルカ殿下が戻ってこないからお迎えにあがりました」


気がつけば知らない茶髪男が。

ノックとかちゃんとして入ったのか知らないけど、私を一切視野に入れないようにしている気がする。


「まだそんなに時間が経ってないじゃないか」

「それは気の所為でございます」


えーと、少しとげとげしているよ?チクチクと痛そう。


「まだアイと話しがしたいんだ。あ。そういえばまだ肝心なこと聞くの忘れてた」

「……ルカ殿下」


うん、なんていうか茶髪男よ。お疲れ。

ルカの相手するのって大変そう。

ある意味究極のマイペース男だよね。

ため息をつくと、茶髪男がこっちを見てきて目があった。

おぉ、金、いや黄色の瞳だ!!猫みたい。


「あなた誰?」

「大体ルカ殿下、いつも言わせて頂いてますが何かをする時も時間というものを忘れずに効率よく物事を進めなくてはなりません。それに……」

「おーい」


え、この人もあのおじさんみたいに会話不能なわけ!?

茶髪男はルカに説教を始めるし、ルカはルカでそうだよね、と頷いている。

なんというかこの国色々と大丈夫だろうか……。


「わかったよ。それにアイがさっきから退屈そうにしてるよ」


いや、考えごとをしているだけですから。

しかも何その構ってほしかったんだよね目線は!!

シルアさんもツィネさんもそこ頷かない!!


「はぁ……。で、あんた誰?」

「俺?さっきも言ったけど、俺はルカ……」

「ルカじゃなくてそこの茶髪男!!」


ピシッという効果音がつく勢いて指差す。

ここが、水の中で実際そんな効果音がしないなんて知ったことか!!

ルカが、違ったの?目線を送ってきてもそれも知らないふり!!


「……申し遅れました。わたくしは、ディッツ家次男のニルカ・ディッツと申します」

「はぁ、どうもご丁寧に」


綺麗なお辞儀をしてニルカとやらは私を見た。

じろじろと観察するように見てくるので、私も観察し返す。

髪の毛は、ツィネさんみたいにさらさらじゃなくて堅そう。

しかも癖っ毛なのかあちこちにはねていてワイルドな雰囲気。


「アイ、何やってるの?」

「観察し返してるの」

「なんですか、それは」

「あ、目を逸らした。私の勝ち!!」

「……仰ってる意味がわかりません」


ニルカは、ため息をついてシルアに目配せをする。


「アイ様、お腹は空いていらっしゃいませんか?宜しければ何かご用意いたします」


言われて考えてみれば、今日の朝は(美穂の張りきった朝五時のモーニングコールのせいで)早かったし、お昼何も食べてない。

ぐぅ、とお腹が鳴ってシルアさんは、では少々お待ち下さいませと言って出て行ってしまった。

異世界の食べ物っておいしいのかな?うーん、楽しみ。


「そうそう、アイ」


私があれこれとおいしいご飯を想像していると、ルカが何かを思い出したみたいで手をポンと叩いた。


「アイって本当に人魚族なの?」


途端、部屋はシンと静まり返った気がした。

金魚鉢の水が私が動くと揺れてちゃぷちゃぷと音を立て、その音がやけに大きく聞こえる。

みんなの視線が集中する中、私はどう答えていいか考える。


私は、異質な存在だろう。

そもそもここの常識なんて知らないし、さっきシルアさんとツィネさんと深く考えずに話したら驚かれたんだから私の当たり前は通じない。

でも嘘をつき続けるのってそのうちボロが出た時に辛いんだよねー。

色々と考えが頭の中をぐるぐる回って頭が痛くなってきた。

そもそも私は深く考えるのは嫌い。

でも、ルカは処刑とかなさそうだけど、絶対に安全安心とまでとは言えないし。

よし、こうしよう。


「さぁ、知らない」


惚けてみる。

まずは様子見ってやつですね!

遅くなりました。

次の話は世界の説明とかになりそうです。

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