第一章 発覚
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「私は十七歳です。ちゃんと生まれてから十七年間生きてます」
「じゅ、じゅうなな……」
二人は茫然としている。え?何そのリアクション。
童顔じゃなくてどちらかというと、見た目落ち着いているからって年上に思われるんだけどなぁ。
それに、どうやったら生まれたばかりに見えるんだか。赤ちゃんじゃないよ。
「失礼ですが、アイ様の尾びれの色は生まれつきでございますか?」
「いや、この尾びれとはここ数時間の付き合いです」
「……それはどういった意味でございますか?」
「いや、そのまんまの意味です。この世界に来ちゃったのも数時間前だし」
どう考えたってここが地球なはずがない。
地球では、人魚のことを人魚族というところはないと思うし、普通に人魚はいるよねという態度をみんながとってるなんておかしい。
言葉が通じるのに所々通じてないし。……レディとか。
「少し席を外させていただきます」
二人は礼をとると、早足で部屋を出て行った。
もしかして、問題発言だったかな?頭のおかしい人間だと思われたらどうしよう。あ、人魚か。
さっきの広間でも誰かが言ってたけど、この尾びれの色はおかしいのかな。赤い尾びれ、中々キレイ。鯛を思い出すなぁ。
そうだ、頭のおかしい人だと思われたら、記憶喪失ってことにしようかな。自分の名前と年齢しか覚えてませんって。
元の世界に帰る方法も見つけないといけないよねぇ。すぐに帰ったら逆ナンの続きかもしれないから夏休みが終わるくらいに帰りたい。
それまでの拠点はどうしようかな。ここ偉い人がたくさんいそうだし、情報収集には持ってこいかもしれないけど、小説だとこういう場所ってドロドロとしてるんだよね、色々と。
「さて、どうしようかな」
人魚になったからには海を思う存分泳ぎたい、と考えているとまた金髪男が戻ってきた。
あ、シルアさんとツィネさんもいる。
「レディ、十七歳って本当?」
あれ?さっきと口調が違くない?さっきは堅いイメージだったけど、今は柔らかい。気のせい?
「どうやったら生まれたての赤ちゃんに見えるんですか。それに私の名前は七瀬亜衣です。アイ・ナナセ」
「アイ・ナナセっていうんだ。あ、そういえば俺の名前言ってなかったね。俺はルカ・エーオス・ティオン。ルカって呼んでいいからね」
「ふーん、長い名前。昔の貴族とかみたい」
「んー、一応この国の第二王子ってやつだしね」
「そうなんだ。…っては?王子?うっそだー!!王子って感じじゃない!!」
「本当なんだけどな」
ルカは王子と言ってるけど、話し方はゆっくりだし雰囲気もほのぼの。
王子ってもっとキリッとしていて意思が強い白馬が似合うかっこいいイメージなのに、あってるのはかっこいいというか、綺麗な顔だけ。白馬に乗ったら落馬しそう……。
「アイ様。ルカ様は正真正銘のこのティオン国の第二王子でございます」
シルアさんが、真面目な顔をして言ってツィネさんは頷いている。
本当に王子?イメージが……。
王子再登場!!そして名前も出てきました。
しっくりくるようなこないような名前です。
しかし、主人公にすごいイメージを持たれてますな……。