第二章 計画と妨害
PVアクセス7万到達、お気に入り200件突破!!
ありがとうございます!!
そろ~っとつま先立ちしてタイルの上を歩く。
「よし」
扉をほんの少し開けて隙間から顔を出して左右を確認。
第五回作戦決行!!
「アイ」
踏み出そうとした足が空中で止まる。
ギコギコと後ろを振り向くと、そこには金髪サラサラヘアが。
「ちょうどよかった。今休憩をもらったから一緒にお茶しない?」
「ルカ……」
なぜそこにいるんだ。
仕事はどうした。今はまだ昼前だよ。仕事をしろ、仕事。
「今日も人間になったアイにばったり会ったね。これってすごいよ」
「……」
あの、一言物申しあげてもいいですか?
「いい加減に気付けぇぇぇ!!どう考えてもおかしいでしょ!?何で毎度毎度タイミングよく現れるのよ!?あの腹黒に使われてることにどうして気付かないの!?」
この世界に来て、翌日から私は大人しく過ごした。
ずっと金魚鉢の中にいるのはいやだとかルカに我がまま言って部屋の外に連れて行ってもらったりしてね。
……実際は金魚鉢をカートみたいなのにのせてレッツゴーだったけど。
あと、何かと世話を焼いてくれるツィネさんやシルアさんに話を聞いたりした。
ツィネさんは、お祖母さんが人魚族と人間の子供で、シルアさんは曾祖父さんが人魚族だったらしい。
部屋に来るわけわからん人たちの相手もした。
でも暇なもの暇だし、元の世界にも帰りたいなぁとか思ったりするんですよ!!
「そうなの?」
「そうなの!!気付かないってどういうこと!?っていうかよく今まで生きてこれたね、それを尊敬したいよ!!」
暴れるとそれに合わせて乾ききらなかった髪から水滴が飛び散る。
ここでは床が濡れるからとか気にしなくていいのが救いだ。
海へ脱出しよう計画を立てようと思ってたところにお風呂にお引っ越し。
広いし、真ん中に布団があるの!!これは譲れなくてルカに力説して叶った。
尾びれは干からびないように水に浸かったままだから上半分しかないけどね。
大きな室内プールみたいなお風呂の上に孤島のごとくある台の上の布団。
……シュールってこういうことを言うのかもしれない。
「アイに尊敬してもらえるなんてうれしいなぁ」
「気にするのはそこじゃないから!!」
照れたように頭をかかない!!
ルカって本当に政務してんの?こんな上司だったら下で働く人は大変だよ。
脱出するためにはまず足を元に戻してもらうことが必要で、そう頻繁にはできない。この年で早死に決定とか悲しすぎる。
ツィネさんとシルアさんがいなくなって、ルカや腹黒が忙しそうでこちらに来なそうな時を狙っているのに、いつもルカは部屋に現われる。
すっごくすっごくいいタイミングで。
それは才能ですか、と問いかけたくなるくらい、いいタイミングで。
「失礼致します」
「……」
そしてここでメイド2人が戻ってくる。
あぁ、今回も失敗か。
ルカだけならともかくこの2人を振りきるのは困難。
前に追いかけられた時すぐに追いついた。
しかも何が恐ろしいって涼しい顔ですごい速さで走ってくること。
あれは、本当に怖かった。うん。
「アイ、今日は何食べる?」
「……今日は前食べたあれをもう一度食べたい気分」
はぁ、とついため息がでる。
今日は大人しくおいしいお菓子食べよう。
次こそは脱出して海へいくんだから!!
遅くなってしまい申し訳ございませんでした。
ルカは相変わらず天然さんです。
読んで下さる皆様に心底感謝!