間章 王様と手紙
異世界に来て三日目。
朝目が覚めて、シルアさんとツィネさんが食事を運んでくれて食べている時それは来た。
ルカが持ってきた一通の手紙。
「はい。これ父上から」
受け取って見てみると、最初に名前はアディオ・エル・ティオンと書いてあった。
「……アディオス」
「ん?」
ついつい一字付け足しちゃったよ。
あの会話不能のおじさん、、もとい王様か。
なんで王様から手紙?
中身を読んでみるとこう書いてあった。
私の名前は、アディオ・エル・ディオンと申す。
人魚族とは水の精霊と人間との間の子である。
今現在わが国には人魚族はいない。
縁があるものが少数いるだけだ。
……
…
と長々しく文が書いてあった。
何これ。
「あ」
字と睨めっこして気がついたけど、これ私が最初に会った時に聞いた質問に対する答えだ。
「父上は人見しりすることが多いから、日を改めて会話での返事を文にして渡してるんだ」
「何そのいらない設定!!聞いた時に答えてよ!!それにレスポンス遅いから!!」
「れすぽんす?昔からああだし、みんな知ってるよ?」
「いや、だからって初対面の人に自分の言いたいことしか言わないってありなの……?」
会話の返事が三日後ってどういうこと……。
王様って忙しそうだし、だから?
いやいや、それより王様が人見しりじゃ色々とまずいだろ。
「父上は歴代で一、二を争う外交上手だと言われているよ」
「それは……」
やりとりが手紙だからじゃないの?
言おうとして口にしなかった私は偉い。
この世界にテレビが存在していたらこの国は危ないって。
「ルカのお兄さんは人見しりなの?」
「いや、兄様は社交的な人だから違うね」
会ったことないけど、それなら安心かな。
それにしても、ルカはのほほんとしてるし、王様は人見しりで会話の返事は数日後の手紙。
私、この国にいて大丈夫なのかな。
字が読めたという喜びと疑問よりも真剣に考え込んだ朝だった。
更新が遅れてすみません。
サブタイトルを整理してみました。
次からが第二章です。