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第一章 長かった一日

「ん……」


目が覚めるとグレーの瞳と目があった。


「あ、起きた?」

「……」


ほんわかと笑う顔を見て、私も笑い返す。

って近い!!


「ルカ、なんでガラス越しとはいえこんなに近いの?」

「アイが干からびて心配だったから」


鼻がくっ付きそうなくらい近いんですけど。

ガラスがなかったら悲鳴ものだよ。

周りをみるとまた金魚鉢の中にいることに気付く。

お風呂は?


「お風呂じゃないの?」

「今深くしているところだからもう少し我慢してね」

「ほうほう」


素晴らしい住みかになってるといいな。

人魚族を探すためにここを拠点にする気はないけど、寝る場所って大切だよね!!


「アイは人魚族なんだから気をつけなくちゃ」

「はぁ」


陸に上がった魚状態になってたのかな。

そもそもなんで私はこの部屋を飛び出したんだっけ?


「あぁーー!!」

「どうしたの?」


お、思い出した!!

いや、忘れていたかった!!

さっき、ル、ルカに事故とはいえだ、抱きしめられたんだった。

顔が熱くなってきた。


「アイ、風邪?顔が赤いよ」

「気のせい。いや、気のせいじゃなくても突っ込まないで」

「でも風邪だったら大変だよ」

「いや、そこは察してよ!!」


鉢の底で膝を抱えて顔を隠す。

この王子は!!


「失礼します」

「ニルカ、アイがおかしいんだ」


え、ニルカ?

面倒くさいのが来た。


「傍迷惑な人魚がどうかしましたか?」

「顔が赤いんだ」


ちょっと待て。それ私のこと?

突っ込みたいところだけど、今日は疲れました。


「……放っておけば大丈夫でしょう。

それより夕食の準備が整いました。

お部屋でお召し上がりますか?」

「今日はアイと一緒に食べるからここへ運んでくれないかな」


ニルカは何かを言おうとして口を噤んだ。

はぁ、とため息をついて礼をとって部屋を出て行った。


「今って夜なの?」

「そうだよ。もう月が出てる」


窓を見てもカーテンがかかっていて外が見えない。

カーテンも高そうなの使ってるなぁ。

夜ってことは私何にも食べないまま……。

ショ、ショック!!

気付いたらお腹がすいてきた。


ぐぅ、とお腹がなってルカに笑われた。


「アイの夕食も用意してあるから」

「……ありがとう」


すぐ運ばれてきたこれまた豪華な食事をして満足満足。

どうやら精霊のおかげで食事はお皿ごと気泡に包まれてガラスを貫通した。

なるほど、これは便利だな。さっきはこうしなかったから驚かれたんだ。


「ねぇルカ、私海に行きたい」

「それは無理だね」


食事中ルカに海に行きたいとお願いしても苦笑された。

これはやはり脱出するしかない。

でもこの金魚鉢は机の上にあるし、またひっくり返ったらどうぞ見つけてくださいと言ってるようなものだし。

よし、最初はお風呂に移動するまでここがどんなところか調査だ!!


「じゃあ、また明日」

「うん」


食事が終わるとルカは部屋を出て行った。

なんて濃厚な一日だったんだ。

今日一日を振りかえってみる。


……。

うん、今日みたいな日が続いたら私死んじゃう。


疲れた。もう寝よう。

でもこの鉢狭いから横になれないな~。

ベッドより布団が大好きな私としては絨毯の上でも寝れそう。

勝手にここから出て寝っ転がったら干からびて死にそうだけど。

今日は我慢しよう。


目を閉じると眠くなってきた。


意識が途切れる寸前どこか遠くて水がピチョン、ピチョンと水面を叩く音が聞こえた気がした。

トリップ一日目終了。

一日に十話かかるとは予想外でした。

一章はこれで終わりです。

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