永遠の誓い
リリーナとアルフレッド 学園卒業後
今日は私達の結婚式。在学最後の年に色々あって式の準備を始めるのが遅くなってしまい、なかなかのハードスケジュールだった。
前世は思い出せていないだけかもしれないけれど独身だった。でも大好きな姉の結婚式の準備を手伝っていたし、私も姉も実家住みでよく話を聞いていたからその大変さはよく知っている。だから余裕だと思っていたのに……。
この国に結婚式のプランナーさんなんて存在しないのだ、とすっかり忘れていた。全部自分達で決めて指示を出し、もうめちゃくちゃ大変だった。王太子の結婚式だから他国の王族も来るし、自分達で決めるからと何でも好きにできるわけじゃないし……もう勝手に決めてくれていいと何度思ったことか。
ドレスだけは譲れなくてアルフレッド様と何度も意見を交わしたのが既に懐かしい。
真っ白なウェディングドレスに金色の糸でラベンダーの刺繍が施されてあり、ベールなんて何メートルあるんだってくらい長いし、ドレスにもベールにもイエローダイヤモンドが散りばめられている。見た目の派手さはなく、繊細で光が当たるたびにキラキラと光る洗練されたAラインのドレス。
「リリーナ様……とてもお綺麗です。まるで女神のよう」
「女神は言い過ぎよ、アンナ」
「素敵な家族を作ってくださいね」
「ありがとう」
今生の別れでもないのに大袈裟ね。アンナは結婚後も私についてきてくれることになっている。あくまでも公爵家の使用人として側にいてくれるので、例えば離縁なんて事になったら、そのまま王宮で働きたくても一緒に公爵家に帰ることになる。要するに出向先って事よね。
「とても綺麗よ」
「お祖母様っ」
花嫁の控室は男子禁制。普通こういう場合母親が来るものだけど、当たり前にお母様は来ないのね。まぁ来られても困るだけだけど。
「リリーナ、幸せになりなさい」
「はい。ありがとうございます」
私の幸せを心から願ってくれるお祖父様とお祖母様。2人にウェディングドレス姿を見せることができてよかった。
時間となりお祖母様は席に戻られ、私も扉の前で開くのを待つ。
この世界の結婚式は、父親とバージンロードを歩くことはない。参列者の後ろに左右の扉があり、それぞれの扉から新郎新婦である私達が同時に入場する。
音楽が鳴り扉が開くと、向こう側には同じように真っ白なタキシードを着たアルフレッド様が立っている。もちろんピンクゴールドの糸でラベンダーの刺繍が施され、袖口や襟などにはアメジストが散りばめられている。
私の色をまとって、微笑んでいるアルフレッド様は今までで一番幸せそう。それに、物凄くカッコいい。
あぁ、やっと私も幸せになれるのかと思うと涙が出そう。参列者はたくさんいるのに、もう目の前のアルフレッド様しか目に入らないよ。
中央までゆっくりと歩かなければいけないのがもどかしい。早くアルフレッド様の元へ行きたいのに。
「綺麗だ」
「アルフレッド様も素敵です」
中央で手を取り合い、溶けるような笑顔で見つめられると、この世界に私達しかいないのではないかと錯覚してしまいそう。
「お手をどうぞ」
参列者の間を、アルフレッド様のエスコートで二人一緒に大神官様の前まで何度も見つめ合って歩く。
「まずは女神様へ祈りを」
大神官様の言葉で私達は膝をつき、手を組んで目を閉じる。女神様へ祈りを捧げるとちょうど陽の光が差し込んだのか、閉じたまぶたの先に光が当たった。
目を開け立ち上がるとステンドグラスがキラキラと輝いている。偶然の出来事なんだろう。でも本当に女神様に祝福されている気がして、幸せになりなさいと言われている気がして、またも涙が出そうになる。
「それでは誓いの言葉を」
「「今日という日を迎えられたのは、女神様、そして私達を支えてくださった皆様のおかげです。これから私達はお互いを愛し続け、思いやり、支え合い、力を合わせて苦難を乗り越え、喜びを分かち合い、笑顔あふれる家庭、そして国を築いていくことを誓います」」
「アルフレッド・リー・セルナ」
「リリーナ・ウィリアムズ」
「それでは誓いのキスを」
割れんばかりの拍手で祝福され、幸せいっぱいな気持ちになって…………
えっ、ちょっと! 長くない?
ちょっ、離れようとしたからって頭を抑えないでよっ。見なくても分かるくらいみんなが困惑しているのが伝わってくるんですけどっ!
「ん"、んっ」
大神官様の咳払いも意味なくアルフレッド様が満足するまでキスは終わらなかった。初めて会う他国の王族もいる中で恥ずかしすぎる。
でもまぁ……隣りにいるアルフレッド様が幸せそうだし、私も幸せだから、いっか。
*
その後オープン馬車に乗り、沿道にいる国民へ手を振って挨拶をしながら王城へと戻る。パレード中も、王城のバルコニーに出た時も、思っていたよりも多くの人が集まって私達の結婚を祝福してくれた。
そして休憩する間もなくパーティーに向けてドレスを着替えるのだけど……
「独占欲の塊のようなドレスですね」
「ふふ。そうね」
金色のドレスに金色の糸で刺繍が施され、もちろんイエローダイヤモンドも散りばめられている、プリンセスラインのドレス。アンナはそう言うけれど、アクセサリーはもちろんイエローダイヤモンドで、身に付けるもの全てが金色で、この独占欲が私は嬉しいの。
王族の控室では王妃様に絶句され、陛下には頭を抱えられ、第二王子殿下は開いた口が塞がらない様子だったけれど、今日くらい、いいじゃんね。
「リリーナ、とても綺麗だ」
「アルもとっても素敵よ」
「っ!!」
ずっとアルって呼んでほしいと、敬語を使わないでほしいと、お兄様に話していたなんて知らなかったわ。
「リリーナっ、ありがとう」
「アル、一緒に幸せになろうね」
「もちろんだ。生涯リリーナだけを愛すると誓うよ」
*
その後の初夜はもちろん蜜月期間にたっぷりと愛され、3人の王子と2人の王女に恵まれた2人はきっと来世も愛を誓い合うのだろう。
.。.・゜+.。.:* end
最後まで読んでくださりありがとうございます。
新しく「私の婚約者は6人目の攻略対象者でした」の投稿を始めました。そちらも読んでいただけると嬉しいです!




