6.王子と婚約
お茶会の数日後、私はお父様と王城に来ている。メアリーが横取りするはずの婚約相手、アルフレッド第一王子殿下と婚約を結ぶために。
「そういえばメアリー」
「ん? メアリーがどうした」
「いえ。付いてこなかったなと、思いまして」
何を言っているんだってお父様……お父様はメアリーが殿下に一目惚れしたことを知らないの?
ちょっと待って一目惚れ、したよね? 横取りっていつしたんだっけ?
そういえば、我が儘を言って横取りが成功する前に思い出したかったと転生メアリーが言っていたけれど、そのきっかけは描かれていなかったから明確な日取りが分からないわね…。
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「待たせたな」
陛下と第一王子殿下が私達のいる部屋に到着された。
「よいよい。めでたい席なんだ。そう畏まるな」
「ありがとうございます。リリーナ」
「はい。ウィリアムズ公爵家が長女、リリーナと申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします」
お父様と陛下は幼馴染で仲も良いらしいが、私は陛下に初めてお会いする。殿下と同じ金色の髪色と目の色でお二人はとても良く似ていて、殿下を見つめる陛下の目がとても優しく少し羨ましい。
あれよあれよという間に婚約の契約が交わされ、せっかくなので親睦を深めよとの陛下のお言葉により、私は今、殿下と以前お茶会が開かれた王宮庭園に向かっている。
庭園の奥には以前は気付かなかった東屋があり、そこには既にティーセットが用意されていた。
「リっ、リリーナ」
「はい」
ここまで一言も喋らなかった殿下が声を掛けてきたと思ったら、顔を真っ赤にして固まっている。見つめあうこと数秒…
側に控えている執事が身振り手振りで殿下に何かを伝え、それに気付いた殿下がエスコートをさせてほしいと囁くように言いながら手を差し出してきた。
なるほど。この流れを執事から教わっていたのね。というか声、小さくない? 王族なんだしもっと威張ればいいのに。小説とは人が違うわね……まぁここは現実だし全く同じなわけないか。
テーブルに着くとメイドが香りの良い紅茶を淹れてくれた。一口サイズのケーキやタルト、クッキーが並べられておりどれもとても美味しそう。前回のお茶会では、スイーツを目の前にしてもそれどころではなかったのよね。
「…ありがとう」
「えっ?」
「ぁ、ありがとうっ! と言ったんだ」
「……何のお礼でしょうか?」
「....ゃくしてくれて」
婚約? って言った?
「い、いえ…」
って答えるのは違うわよね。
「私の方こそ選んでいただきありがとうございます」
「ぅ、嬉しいか?」
「はい。とても嬉しく思っております」
「そうかっ! それは! うん。そうか。嬉しいのか」
……嬉しそうだな。
「あっ!」
「っ、、!!! ど、どうした」
なんで私忘れていたんだろう。アルフレッドってリリーナのこと……
「失礼しました。……えっと、このタルトがとても美味しくて、つい」
「そうか! これはチーズのタルトと言って僕も好きなんだ。いや、私も好んで食べているんだ」
「ふふ、僕、でいいですよ」