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小説主人公の悪役令嬢の姉に転生しました〜モブのはずが第一王子に一途に愛されています〜  作者: みかん桜
番外編

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初の贈り物②sideアルフレッド

「なんだか今日の兄上はとっても嬉しそうです」


 朝食は父上の王宮に集まって家族全員一緒にとっており、今日は朝起きてから朝食に向かう時も、朝食をとっている時も、気を抜くと頬を緩めてしまう自覚はあった。


「リリーナとお茶会の日なのかしら」

「はい。午後に会う約束をしています」


 弟だけでなく母上にも見抜かれてしまうほど、リリーナに会う日はどう頑張っても嬉しさを隠すことが出来ない。


「リリーナ? 兄上の婚約者の方ですね! 僕もお会いしてみたいです」

「…………」


 絶対に会わせるものか。弟は僕と好きなものが似ているから、絶対にリリーナのことも好きになってしまう。絶対にあげないけど。1秒も邪魔をされたくない。



 鏡の前で何度もおかしなところがないか確認し、リリーナの到着時間に合わせて入口まで迎えに行くと、ちょうど公爵家の馬車が見えた。


「リリーナ!」

「ごきげんよう、アルフレッド様」


 完璧なカーテシーをするリリーナ。可愛い。何をしても可愛い。


 ん? 


 エスコートをしようとリリーナに近づくと、いつもと違う匂いがする。


「リリーナ、今日は、その……違う気がするのだが……蜂蜜の香りじゃない」

「そうなんです! ふふふ。でも、まだ秘密です」


 しーって言いながら、人差し指を唇の前に立てているリリーナ。その仕草が何を表しているのかはよく分からないが……


「……かわいい」

「?? アルフレッド様? 今何とおっしゃいましたか?」


 あまりに可愛くてつい声に出してしまった。リリーナには聞こえていなかったようだけど。


**


 天気の良い日にいつも使っている東屋に着くと、何故か今日はデザートが一つも用意されていなかった。


「ごめんね。まだ準備が整っていなかったみたいだ」


 何をやっているんだ! 準備を任されたのは誰? せっかくのリリーナとのお茶会を台無しにするなんて。


「アルフレッド様。はい」

「……え?」


 紫色のリボンでラッピングされたものを差し出している。僕にくれるの?


「こ、これは?」

「ハッピーバレンタインです」

「はっぴ、ば、ばれ……??」


 リリーナは今なんと言った?


「アルフレッド様に贈り物です。受け取ってくださいますか?」

「あ、ありがとう」


 リリーナから初めての贈り物だ。どうしよう……すっごく嬉しい。


「開けてみてください」

「甘い匂い……」

「ふふふ。今日のデザートは私が用意するからとお伝えしていたんです」


 そうだったのか。だから何も乗っていないお皿だけがテーブルにセットされていたのか。


「たくさんあるので一緒に食べましょう」


 リリーナがそう言うと、公爵家のメイドが手渡されたものと同じクッキーとケーキをバスケットから取り出した。


「アルフレッド様にお渡ししたのは後で食べてくださいね」


 でもどうして急にこんな事をするんだろうか。もしかして、ここのデザートはリリーナの口に合わなかったのか? 公爵家で出されるもの方が好みだから持ってきたのか?


「急にこんな事して驚かせてしまいましたよね。ふふふ。今日は大切な人にココアで作ったデザートを渡す日なのです」

「そ、そんな日があったのか!?」


 ど、ど、どうしよう。そんな日があるなんて知らなくて、僕はリリーナに何も用意していない……


 それにしても今日のリリーナはよく笑う。かわ……



 !!!!!! 今、大切な人って言った!



「そっ、それで僕に用意してくれたの……?」

「? はい」

「ごめんね。僕知らなくてリリーナに何も用意してないんだ」


 何で誰も教えてくれなかったんだ。今からでも間に合うだろうか?

 でもココアで作ったデザートなんて初めて見た気がする。早急に作るよう料理長に言えばリリーナが帰る前までに間に合うだろうか?


「アルフレッド様。ココアのデザートをもらった人は、一ヶ月後にお礼をするのです。それに、今月は女性から渡す日なので落ち込まなくて大丈夫です」


 落ち込んでいるのが顔に出てしまっていたようだ。


「そうなのか! お返しは何を贈ればいい?」

「なんでも良いのですが……私はココアのデザートがいいです!」


 リリーナはココアが好きだったのか。覚えておこう。


「もちろん来月にお返しを準備するけれど、今日も何か贈りたかった」

「では、お花を一輪いただけますか? 男性が花束を贈り愛を伝える国もあるので」


 そ、それは!! 何で僕は知らなかったんだ! もし僕以外の誰かが花束を贈っていたら……


「それは隣国のことか? 前公爵夫人は隣国出身だと聞いたことがある」

「あっ、えっとぉ……その、本当はどちらも私が決めました。ごめんなさい」


 ???


「チョコ……じゃなくて、ココアのデザートを贈るのも、お返しをするのも、花束も、全部私が考えました。そういうのがあればいいなぁと思いまして……」


 眉を下げて謝るリリーナ。何をしたって僕がリリーナを怒ることなんてないのに。


 それにしても全部リリーナが考えたことだったとは。もしかして僕にココアのデザートを贈りたくて考えてくれたのか? それなのに僕が何も用意していないことを落ち込んでしまったから、お返しや花束の案を出してくれたのか。


 なんて優しいんだ。



 帰り際、最初に渡した物は形が悪いので誰にも見せないでくださいね。とお願いされた。少し気になったので自室に戻ってから確認してみると、メモが入っている。

 先程は気が付かなかったな。



『形は悪いですが、ありがとうの気持ちをたくさん込めて作りました』



 えっ……リリーナの手作り?


 た、食べられない! どこかにしまっておきたい。



・ ・ ・ ・


 後日まだ食べていないと知ったリリーナが物凄く落ち込み、アルフレッドはその日のうちに全部食べ、美味しかったと感想を伝えたのは、また別の話。


 バレンタイン当日には花束を、その一ヶ月後にはお礼のココアのデザートを、アルフレッドが毎年欠かさず贈るようになるのも、それもまた、別の話。



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