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小説主人公の悪役令嬢の姉に転生しました〜モブのはずが第一王子に一途に愛されています〜  作者: みかん桜
本編

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44.前世と今世

「結局読んだんだ?」

「うん、面白かった。でも、リリーナが可哀想だと思ったよ」


 友人に勧められたウェブ小説。よくある異世界転生モノなんだけど想像以上にハマっちゃったんだよね。


「なんで? リリーナは婚約者のダニエルと相思相愛でハッピーエンドじゃん」

「うーん、それが違うと思うんだよね。本当はアルフレッドが好きだけど、妹の気持ちを知って身を引いたんじゃないかな? 妹は正式な婚約者でもあったし。ダニエルも、アルフレッドのためにリリーナを好きなフリをしてた気がする。ほら、感想欄に同じように書いてる人いるよ?」


 そう言いながら該当ページを友人に見せる。


「でもその設定必要ある? もしそうならアルフレッドに両思いだよって教えてあげたら良かったじゃん」

「知らない方が幸せだと思ったんじゃないかな? それなりの理由がないとメアリーと婚約解消できないし」


 異世界の結婚って昔のお見合いみたいな感じなのかな? そういえば以前誰かに許嫁とか昭和みたいだって言われた気がする……誰に言われたんだっけ? っていうか私には許嫁も婚約者もいない……よね?


「もしそうなら、1番可哀想なのはアルフレッドじゃない?」

「なんで?」

「一目惚れしてからずっと想い続けてたんだよ? 二人が相思相愛だと知って失恋してからも物語終盤まで引きずってたし」


 アルフレッド様、ずっと私の事を想い続けてくれたんだ。


 ……ん? 私の事を?


「でも最終的にはメアリーと想いあってハッピーエンドに終わったじゃん」


 メアリーの事なんて好きにならないでっ。


 なぜ? メアリーは主人公だよ?


「それこそ分からないよ? アルフレッドは、メアリーにも隠し通す事に決めて結婚したのかもじゃん? 主人公のメアリーは好きな人と結婚できたから、物語的にはハッピーエンドだし」

「ならやっぱりリリーナが可哀想」


 だって私はこんなにもアルフレッド様が好きなんだから。


 ……えっ? なんで私こんなにアルフレッドが好きなの? 読んでた時は初恋拗らせ男より他に目を向けなよって思っていて……


「アルフレッドでしょ。ていうか、リリーナなんてモブキャラなのに肩入れしすぎ」


 私はモブキャラ?


 ……私?


「そういえばもうすぐお姉さんの結婚式だっけ?」

「そう、楽しみだなぁ。お姉ちゃんの花嫁姿、絶対キレイだもん」

「本当、お姉さんと仲良いよね」


 2つ上のお姉ちゃんとはすっごく仲が良くて…本当今とは大違い。


 ? 今?



――リリーナ――


 ? 頭の中から声が聞こえる……


――リリーナ、薬の時間だよ――


 薬? なんで? 


――リリーナ――


 あなたは……誰?


 囁くように名前を呼ばれたあと、唇に何かが触れて、物凄く苦い液体が流し込まれる。


――リリーナ、お願いだ……目を覚ましてくれ――


 何故そんなに泣きそうな声をしているの?


 私は……


 私は、帰らないといけない。


 えっ、どこに?


――リリーナ――


 右手が温かい何かに包まれている?


 誰?


――例え意識が戻らなくとも、ずっと愛しているよ――

――アル、そろそろ休め。いい加減倒れるぞ。ほんの少しでいいから横になれ――

――……あぁ。分かった――


 いやっ、離さないでっ!


――っ!! リリーナ! リリーナ!――

――どうした!?――

――今、リリーナが手を握り返したんだ!――

――本当か!? アルフレッド――


 アルフレッド?……っ!!! アルフレッド様っ!


「ある、ふれ、どさま」

「リリーナっ!!」


 強く強く抱きしめてくれるアルフレッド様。私の帰る場所。


 私は眠っている間に前世の夢を見ていたんだ。目覚める直前に見たのは友人と居酒屋でお酒を飲んでいて……


 目を覚ますことができたのは、アルフレッド様を誰にも取られたくない気持ちが膨らんだからかもしれない。


 アルフレッド様のおかげで帰ってこれた。ただいまと伝えたいのに喉がカラカラでうまく声を出せない。


「た、だぃま……ある、、っどさま」

「おかえり、おかえり、おかえり」

「なか、なぃ、で」

「リリーナ水を」


 お兄様が水が入ったグラスを手渡してくれる。


「飲めるか?」


 頷き返すも力が入らず落としそうになったグラスを、アルフレッド様が支えてくれて何とか水を飲むことができた。


 おいしい。もうちょっと欲しい……。


「好きなだけ飲めばいい」


 アルフレッド様の目元はクマが出来ていて、どことなく前よりも痩せてしまったように感じる。私はどれくらい眠っていたのだろう?


「ぁの……わたしは、どれくらぃ?」


 よかった。今度はちゃんと声を出すことが……


 ぐぅ~。


「っ!!! ぁっ」


 ここで鳴る!? 私のお腹……。


「2週間何も食べていないんだ。パン粥を用意するから、アルと二人でここで食べればいい」

「ありがとぉ、ござぃます」


 アルフレッド様の前でお腹が鳴るとか恥ずかしすぎるっ、布団の中に潜り込みたい……のにアルフレッド様にずっと抱きしめられていて身動きが取れない。


「リリーナ、助けが間に合わなくてごめん。怖い思いをさせてしまってごめん」


 泣かないで。あなたの元へ戻ってこれてすごく嬉しいの。


「たけて、くれました。アルフレッド、さまが、ずっと、わたしを、よんでくれて、いたから、わたしは、いま、ここにいます。ありがとう、ございます」

「っ、リリーナ。ありがとう。私の元へ帰ってきてくれてありがとう」


***


 アルフレッド様は全然眠れていなかったようで、パン粥を食べた後私を抱きしめてぐっすりと眠りに付かれた。


 事件の事やこれからのことは、私がもう少し元気になってから話すことに。


「正直に言うと眠ってほしくないが、リリーナもアルと一緒にゆっくり休め」


 そう私の頭を一撫でしてからお兄様は公爵邸に戻られた。


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