41.事件の調査②sideアルフレッド
「薬草は何枚同封されていたんだ?」
「10枚入っていました」
っ!! あの部屋に薬草は1枚も残っていなかった。
「飲ませたのは5枚だと言っていただろっ。10枚だったのか!?」
「い、いえっ、5枚です」
「ならば残りはどうした」
「や、闇市でとある媚薬が売られているのはご存知ですか?」
まさか、闇市でアレを売っているのか?
「話せ」
「粉状のものなら媚薬に、練り潰したものなら意識を飛ばすと書かれていて……闇市で売られているのは値段が高いので、それより安価に設定して媚薬を作って売りました。媚薬を作るのに3枚使ってしまい……」
闇市の件も後で徹底的に調べさせよう。何かしら証拠が出てくるかもしれないしな。
「残りの2枚はどうした」
「最初は2枚を練り潰して飲ませるつもりで……ただ、手渡したグラスを割られてしまい、それに苛ついて残り全部を飲ませてやろうと……手紙にも10枚全てを使えば死ぬかもしれないが、その場合は報酬が最初に提示した金額の3倍支払うと。さすがに人殺しはしたくなかったので……半分なら問題ないと思ったんです」
この男が人殺しになんの躊躇いもない人間だったら……考えただけで恐ろしい。絶対に、絶対に許さない。口を割らなくても罪を擦り付けてでも絶対に……。
「殿下」
っ! 一瞬の間、あの女への怒りで思考が飛んでしまっていたようだ。
「それで無理やり飲ませたのか」
「あ、顎を押さえて……でも逃げられました」
「でも全部飲ませたのだろう」
「それは……ですが私も股間を蹴られました。罪になりますよね?」
ここにきてリリーナにも罪があると言いたいのか!? 怒りのあまり睨みつけてしまう。
「あっ、いえ。何でもありません」
「彼女に跨がって何をしていた」
「な、何もしていません! 跨がってすぐ殿下が入ってこられたので」
もう少し俺が早く到着していれば……奥の部屋から探していれば……。
「あの建物を選んだ理由を聞いているか」
「いえ……ただ、誰も管理していない建物を調べている変なやつがいると、酒場に来ていた商工所の役人が言っていたことがあります」
なるほどな。
「部屋に転がっていた酒瓶分、全てを彼女に飲ませたのか?」
「いえ。その……最近は安い酒しか飲んでいなかったのでつい……」
「彼女に飲ませる前に酒を楽しんだということか」
「はい……申し訳ありません」
この男が酒に弱くてよかった。そうでなければリリーナは……
酒を飲ませたことを俺に謝るくらい混乱してきている。今日はここまでだな。
*
*【回想終了】
*
「公爵家の馬車を襲い、御者を追いかけていた奴らと元子爵子息は別口で依頼されたようだ。同じように酒場で声をかけられ、それだけで報酬がもらえるならと依頼を受けたそうで……ホワイト男爵令嬢は何も知らないの一点張りだと、取り調べ担当が言っていた。まだ城に滞在させているが……どうするか早急に決めなければな。それで、メアリー様は?」
今回は未遂で済まなかったんだ。メアリー嬢が絡んでいると面倒であるな。




