37.必ず助ける③sideアルフレッド
リリーナを抱きしめたまま馬車に乗り込み城へと向かう途中、レオニールからメアリー嬢との会話内容の報告を受けた。
それが事実であるのなら、今回の人攫いではメアリー嬢は利用されただけなのだろう。
そして恐らくこの人攫いの主犯はルーシー・ホワイト男爵令嬢ではないかとの結論に至った。
「あとは証拠が出てくるかどうかだな。あの男が頼んできたやつの顔を覚えていたらいいが、前回も顔を隠して人を雇っていたくらいだ。それ以上の犯罪を犯すのに顔をさらけ出したとは到底思えない」
「同感だ。戻り次第話を聞くとしよう」
*
*
*
俺の住む王宮に到着し、レオニールはそのまま公爵邸へと帰り、ダニエルが医師を手配している間にリリーナをベッドに寝かせる。
「リリーナ……」
穏やかな顔で眠るリリーナ。
手を握ってもその手を握り返しては貰えないが、指先には温もりが戻ってきている。見つけ出した時は氷のように冷たかった……それだけ怖い思いをしたんだろうな。
傷も見えるところだけでもたくさんできていて……あの男からどれだけ酷い扱いを受けたのだろうか。
早くその目を開け、アルフレッド様とはにかんだ笑顔で俺のことを呼んでくれ。
「失礼します」
「来たか。頼む」
こんな時であっても、傷の確認で衣服を脱がせ肌を見せるのを嫌がるだろうと、女性医師を連れてくるダニエルは俺のことをよく分かっているな。
「傷の確認も行いますので、皆様外でお待ち下さい」
*
数十分後、部屋の中へ戻り診断結果を聞く。
「まず怪我についてですが、腕を数回強く掴まれたのか、右腕に跡が残っておりました。それ以外は数は多いですがその殆どが擦り傷で、既に治療済です。ですが清潔を保つため、包帯の交換を毎日させていただきます」
「そうか……腕を強く掴まれたのか」
「そして、意識がお戻りにならない理由ですが……これは私の憶測にすぎないのですが、違法薬草を摂取させられた可能性が考えられます。その薬草は、私が医師免許を取った頃には既に国内で入手不可能でしたので、実際に摂取した患者をみたことはありません。ですが後学のためにと手に入れた、医学書に記載されている香りの特徴と、同じでして……少し調べさせてください」
薬草のことまで分かったのか。レオニールに相談して彼女を隣国の医師と会わせよう。いつリリーナの意識が戻るか分からない今、王宮医師にも知ってもらっていた方がいいだろう。
本当はずっと側にいたいが……話を聞きにいかなければならない。
「アンナ、だったな」
「はい」
「頭の傷は……」
いや、どれだけ痛くても彼女はここから離れたくないだろう。
「少し出てくる。リリーナを頼む」
「かしこまりました」
リリーナは彼女のことを姉のようだと慕っていたな……おそらく彼女も主人としてだけでなく、妹のようにも愛しているのだろう。今回の件で彼女がどうなるのか分からないが、目を覚ますまでは側に居させてやれと、レオニールに言っておくか。




