33.誰か助けてsideアルフレッド
「殿下」
「あぁ。ダニエルか」
「ダニエルか、じゃないですよ。さっさとコレ処理してくれませんか」
やる気が出ない。今日はリリーナにアマンダ嬢と買い物行くから会えないと言われてしまった。
「今日はリリーナに会えないんだ。だから」
「ほぼ毎日会っているのに何をおっしゃってるんですか」
「ほぼ、な。毎日ではない」
ダニエルが呆れているけどこればっかりは仕方ないんだ。リリーナに会えると思うと執務も頑張れるのだが。
「今は誰もいないんだから普通に話せよ」
「執務中だ」
「最近ダニエルと普通に話した記憶がない」
「それは基本リリーナ様が近くにいるからな」
側近であり友人であるダニエル。俺と二人きりか、レオニールと三人の時にしか絶対に口調を崩さない男だ。
「失礼します」
ノックの後入ってきたのはレオニールだった。彼も年上の友人であり、彼もまた、ダニエル同様二人もしくは三人の時にしか口調を崩さない。
「何だ、アルとダンの二人だけか。他の連中は?」
「仕事放棄中のアルの代わりに使いに出してる」
「それはちょうどよかった。例の薬の件で新しい情報が隣国の再従兄弟から入ったんだ。これは機密情報すぎて他の奴らには教えられないからな」
そう言って媚薬効果と感覚を鈍くする効果との製法の違いを話しだしたレオ。
今後起こりうる可能性を考え、どう注意しておくか3人で話し合っていると、執事が入ってきた。念の為人払いをしているのに入ってくるとは珍しい。
「失礼いたします。ベルナール侯爵令嬢が至急殿下にお伝えしたいことがあるとお越しです。令嬢の様子から早くお伝えした方がよろしいと判断しました」
「アマンダ嬢が? 今日は妹と出掛けたはずだがお一人で?」
「はい」
!! もしかしてリリーナに何かあったのか?
「通せっ」
「落ち着け。まだリリーナ様に何かあったとは限らない」
ダニエルはそう言うが嫌な胸騒ぎがしてならない。すると廊下から慌ただしく走る音が聞こえてきた。……令嬢が走るか? しかも城内で?
バンッ!!
「殿下っ。リリーナが、リリーナが……」
涙で顔をぐちゃぐちゃにし、衣服も髪も少し乱れているアマンダ嬢。
「リリーナに何があった」
「攫われました……」
「なんだって!?」
「えっ!!!」
「!!!」
「貴族街でホワイト男爵令嬢に会いまして……」
「話は向かいながら聞くっ! リリーナが攫われた場所に案内しろっ」
「は、はいっ」
「私は家に戻りメアリーを問いただしてみます。ホワイト嬢が関わっているのなら何か知っているかもしれませんので」
「頼んだ」
大まかに事情を聞き、護衛騎士と馬車に繋がれていた馬でここまで来たアマンダ嬢とは王城の入口で落ち合うこととし、ダニエルと厩舎に向かいながら執事にこの後の指示を出した。
「でで、殿下!?」
「急ぎ馬を出してくれっ」
「は、はいっ」
馬を出している間に他の側近たちも合流し、そのうちの一人にホワイト嬢を見つけ出すよう指示を出す。他の皆みなで馬に飛び乗り、まずはリリーナが攫われたその場所へ向かう。
「ここか?」
「はいっ」
「ここの管理者をすぐに調べろ!」
その男が本当に貴族であるのなら、その男の屋敷に連れ去った可能性もある。
リリーナが向かった奥に進むと、裏口の扉がほんの少し開いていた。
「裏口から馬車で移動したのか……」
表と違って舗装されていない道のおかげで、馬車が通った跡が残っている。
「この跡を追うぞ」
アマンダ嬢が城に来た時点でリリーナが攫われてから約30分。もう1時間もたってしまったのか……。
リリーナ。必ず助け出す。




