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小説主人公の悪役令嬢の姉に転生しました〜モブのはずが第一王子に一途に愛されています〜  作者: みかん桜
本編

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32.予感の的中②

 物凄く怖い。何かを考えていないと気持ちを保っていられない。これを計画したのはルーシーなの? さっき言っていた後で後悔するってこのこと? この件はメアリーも関わっているの? 何で……何で私がこんな目に合わなければならないのよ……。


 そういえばアマンダは助かった? アンナの意識は無事に戻った? 危険を知らせてくれた御者はどうなったの? 騎士たちは? アルフレッド様やお兄様に誰か連絡してくれた?



「助けて、アルフレッド様……」




 ここに入れられてから一体どれくらいの時間が経ったんだろう。いつあの男が戻ってくるか分からない恐怖から、物凄く長い時間ここに閉じ込められている気がしてならない。


 助けに向かってきてくれているのよね……?


 気をしっかり持たなきゃ。あの男が近くにいない今、私にできることを考えよう。助けを待つだけじゃなくて、ここから逃げ出す方法を自分でも考えよう。


 ここまで王都から約3時間……どこかの領内? 地下牢があるってことは貴族の家なんだろうけど。

 どの方向に進んだか分からない。もしうちの公爵領内だとしたら、ううん。それはありえないわね。


 お父様はその高いプライドからか、景観を損ねる廃墟を嫌っている。だから区画ごとに管理者をたて、領内全ての建物を誰かが管理するよう手配していたはず。

 それに何故か部下に信頼され……裏切った方が怖いから? 例えお母様やメアリーが空き家を使いたいと頼んだとしても、お父様の許可をもらうため必ず連絡がいく。私はお父様にとって手放したくない駒だから、こんな事を知ったら必ず誰か助けに向かわせる……はず。


 もしかして3時間もたっていなかった? それならまだここは王都内?


 そういえば! 平民街にある娼館は素行の悪い客を入れる地下牢があるって聞いたことがあるような……。



 コツコツコツ。


 地下牢に誰かが入ってきた音がする。


「おい。コレを飲め」


 目の前に現れたのは私を攫さらった男。飲めと言って私に手渡してきたグラスには青い色をした液体が入っている。


「これは……」

「早く飲めよ」

「嫌よっ」


 こんなの絶対に飲めない。私に使って来る可能性を何で考えていなかったんだろう。


 貴族は結婚するまで清い体であることが好ましいとされている。特に王族なんてそれが絶対条件。もし結婚後すぐに妊娠がわかった場合、DNA鑑定なんてないこの世界は清い体でないと誰の子かはっきりと分からないからって。

 だからもし私がここで誰かに襲われたとしたら、例えアルフレッド様が望んでくださったとしても婚約は解消されてしまう。もちろん結婚もできない。


 そんなの絶対に嫌!!


「あーあ、割っちゃった。そんな事したって無駄って分からない? まぁ俺はこんなの飲ませなくたってそのままでも全然いいんだけどな。金は必要だし? お前、相当恨まれてるみたいだな」


 そう言って戻って行ったけれど、恐らく新しいものを取りに行っただけよね……。飲んだふりをしてもすぐにバレてしまうだろうし……どうにかして時間を稼がないと。


「ほらよ。新しいの持ってきてやったぞ」


 早いわね……もしかしてここに入れられた後、すぐ来なかったのはコレを準備するためだったのかしら? それはどれくらいの量を用意しているの?


「ねぇ、あなたの雇い主は誰なの? どこにいるの?」

「知らないね。ほら、さっさと飲めって」

「あなたはどっちでも良いなら無理に飲ませなくても良いんじゃない?」


 うるさいなぁと言って男が地下牢に入ってきた。


 突然顎を掴まれ無理やり口にその液体を入れられてしまう。絶対に飲み込むものかと思っていたのに、あまりの量の多さに苦しさが耐えられず、結構な量を飲み込んでしまった。

 口の端からこぼれ落ちていく分も計算されていたのか、さっき持ってきたよりも大量に入ったそれを全部飲み終わるまで離してくれない。


「ゴホッ、ゴホッ」

「最初から飲んでおけばよかったんだ」


 そう言ってグラスを投げ、苦しんでいる私を押し倒してきた。幸いにもまだ薬が体に回りきっていないようで、意識もはっきりしているし、体の自由もまだある。


 前世の記憶があってよかった。公爵令嬢なら知らないままだったであろう男性の急所を私は知っている。


 ドスッ!


「うぅっ……」


 男が苦しんでいる今のうちに逃げなきゃ。


 慌てて地下牢の階段を駆け上がるも、少しずつ薬が回ってきたのかほんの数段上がるだけで息が上がってきてしまう。


 早く、早く逃げなきゃ。


 漸く入口にたどり着いた時、地下牢から男が出てくる音が聞こえてきた。焦る気持ちと裏腹に体は中々言うことを聞いてくれない。重い扉を開け何とか脱出するも、ドアを何かで塞がなければ男が出てきてしまう。


 何か防ぐものはないかと見回してみるも、良さげなものが何もない……


 とりあえず隠れようと、家具にかかっていた布を引っ張り頭までかぶったけれど、こんなのじゃ絶対にすぐ見つかってしまう。でももう体が全く言うことを聞かないみたい。


 あぁ。もうダメだわ。体は熱いし、それ以上に意識が朦朧としてきた。



 あるふれっどさま…………


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