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12.私達の制服

 今日は王立セルナ学園の入学式。在校生は休日だけど、私はアルフレッド様や側近の方々と生徒会に所属しているから学園に向かわなければならない。


 早々に準備を済ませ、玄関でアルフレッド様をお待ちしているとメアリーがやってきてしまった。


「お姉様? どうして制服を着ていらっしゃるの?」

「私も在校生代表で出席するからよ」


 っ!


「メアリー、あなたその制服」


 学園内は原則制服を着用しなければならない。と言ってもボタンは既存品だけでなく特注品の使用が許可されているし、制服も数種類の色と柄から自由に選ぶことができ、毎日違うコーディネートを楽しむことだってできる。


 ただ私は入学してからずっと同じコーディネート。初日から数日間アルフレッド様とお揃いで同じ制服を着ていたからか、周りが察して全く同じコーディネートにならないよう気を使ってくれているのだ。……そんなつもりじゃなかったんだけどね。だから私達も敢えて変えずにいてる。


 そういった事情があるから、私と全く同じ制服を着たメアリーに驚いてしまった。

 もちろん装飾品や柄だけ、色だけが同じ生徒はいるし、全く同じにすることが悪いってわけでもない。


 ……メアリーが私と部屋を交換したがった理由が分かったわ。きっと使用人達がクローゼットの中身を運び出す前に、1セットくすねたのね。私達がお揃いの制服を着ていることは社交界でも有名らしいから、どこからかメアリーの耳にも入ってしまったんだわ。


 メアリー付きのメイドが物凄く申し訳無さそうな顔をしているけど……アンナは怒りを隠しきれていないわね。


「どう? よく似合っているでしょう」

「……そうね」


 きっとメアリーに何を言っても無駄でしょうね。

 数人の生徒たちの要望でボタンは既存品を使用しているから、コレを特注品に変えようかしら? アルフレッド様と今日どこかで相談する時間をとれるかしら。


「リリーナ様」


 そうこうしている内にアルフレッド様が到着されたようで、メアリーには知らせない方がいいと判断した家令がアイコンタクトで知らせてくれた。


「ではメアリー。私は準備があるので先に出るわね。あなたはお母様達ともう少しゆっくりしてから出ればいいわ」

「お姉様。私、明日からも同じ制服を着るわ。だからお姉様? お姉様は私と同じ物は避けてくださいね」


 は?


「それは聞けないお願いね。装飾を少し変えてあげるからそれで我慢なさい」


 同じ物を避けてってこっちのセリフなんですけど!


 はぁぁ。メアリーの影響で同じ物を着る生徒が増えそう……いや、別にいいんだけどね。


「リリーナ様」

「すぐに向かうわ」


 これ以上アルフレッド様をお待たせするわけにはいかないし、どうするかは後で考えることにしましょう。



「おはようございます。アルフレッド様。お待たせして申し訳ありません」

「おはよう。リリーナ」


 ……この間会った時よりキラキラして見えるのは、気のせいよね?

 アルフレッド様のエスコートで馬車に乗るのなんていつものことなのに、今日は何だか緊張してしまう。


「今日は髪を結んでいるんだな。似合っている」

「あ、ありがとうございます///」

「ふっ。リリーナが照れるなんて珍しいな」


 先程のメアリーとのやり取りで少し気分が落ちていたのに、御者に合図を出してすぐ、髪型を褒められただけで気分が上昇してきた。


 学園に向かって走り出した馬車の中も、いつもより暑い気がする。



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