表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/55

落胆なんてしませんとも!

「そうでしたか。それでは、私共が王子殿下にお伝えに行ってまいりますので、そちらの木陰でお待ちください。」


その後ろ姿を眺め、その背中が小さくなっていったのを見計らい、未だ私に興味津々といったようすの視線を向けてくる騎士たちに微笑む。


「こんにちは、騎士様方の訓練を見させていただきましたが、さすが王宮の騎士様。私、とても感銘を抱きましたわ!」


なにも、攻略対象の好感度を稼ぐ方法は攻略対象に会って行動を起こすことだけではない。

周囲からの外聞というものも、攻略への一歩。

使用人の方や、こうした王宮で役職につく方の評価一つ一つも、好感度につながるのだ。

……きっと。


「「「お褒めいただき光栄です!アリシア様!!」」」



先ほどの必死の媚び売りはなんとか成功したらしく、その場にいた大勢の騎士たちが声をそろえた。


「アリシア様。お連れいたしました。」


と、ちょうどよく先ほどの騎士が戻ってきたところだった…王子殿下を連れて。 

深緑を思わせる艶のある髪。優しげに細められた目は頭髪同様、深みのある緑をしていた。

見た目も最高でおまけに性格も完璧…攻略対象者としてこの上なく優良物件。


「王子殿下に拝謁いたします。」


ぺこりと淑女の礼を取り、最大限の敬意を見せる。

公爵令嬢という肩書きなため、王族以外に、私以上に高位な人にこうして畏まった礼を取ることはあまり少ない。

あっているか不安だけれど…


ここまで気を張るのも、ひとえに王子殿下が誰にでも等しく優しく、慈悲深いという面もあるが、礼儀に厳しい面も兼ね備えているためだ。


だが、そんな心配は杞憂に終わった。

にこっと優しげに微笑んだ王子殿下は


「君がアリシアだね。挨拶のために来てくれたそうだけれど、そんなこと、気にしなくていいんだよ。」


と、むしろこちらを気遣うような声音で言った。

こちらから伺うべきだったね、と苦笑する姿からは私の礼儀作法により不快感を感じた様子などは微塵もなく。


これぞ、王子か……


アリシアを感動させるには充分だった。


やっと出会えた攻略対象者……前回落胆したときからの格差!


最高です……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ