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ケーキが最優先

パタン…と背後で扉が閉じる音がした。


それと途端にあたり一面を煌びやかな光が包み、盛大な音楽が耳に届く。


それと途端に刺さる視線。それもそうだろう。隣国の王子の婚約者が現れたのだから。


「婚約なされていたのですか?いつのまに。」

「まさか…あのアリシア様だとは。」

「婚約…」


など、私たちを囲んだ人々が口々に各々の感想を述べている。それも思わず口から漏れてしまったというような感じで。そこまで言わなくてもいいじゃないか。途中まで、きちんと貴族令嬢らしく取り繕っていたというのに。


まぁ……途中から恋愛に夢中で周りからの目など気にしてはいなかったけれど。


そんな私に突き刺さる痛い視線に比べ、レイに向かう視線は甘いものや優しいものだったり、またただ驚きの感情だったり……差がすごいな。これは圧倒的美形と外面の良さの違いか。


「殿下、外面が良いのでいらっしゃいますね。」


にこっと笑いかけながら皮肉を言うも、レイはまたいつも通り微塵も動じた様子は見せず、こちらもにこりと笑いかけるのみだった。


……つまらないな。

しかめ面のひとつぐらい見たかったのだが。


「それでは、頑張ってくださいね。私はあちらでデザートを食べてきますわ。」


ふわっと笑いながら耳打ちすると、レイはこの発言は予想していなかったのか、拍子抜けしたような表情になった。


よし……成功した。


「条件は婚約者としての訪問。それなら、それ以外は別になにをしても構いませんよね?」


面倒なことは全て押し付けて、私はパーティを楽しむこととしよう。レイは私の分まで働いてもらおう。



ぼうっとパーティの様子を眺めながらケーキを口に運ぶ。一口サイズに切られたケーキ。かれこれ3皿目だ。飽きない。

個数制限はないはずだから大丈夫……


「ねぇ、あなたってあのアリシア様、ですわよね?」


さて、この状況はどうしようか。

目の前に立つのは三人組の貴族令嬢。中心に立つのはいかにもな縦ロール金髪令嬢。


ケーキのことで何か言われるとかではありませんよね…?

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