拒否権を主張します!1
「でも……まさか、拒否権がないからって、こんな風に回避しようとしているだなんて、想定外だったけど。」
ぜ……全部見破られておりますか……。
しかも、なぜに私にここまで執着を?
これほどの態度を取ってもなお、私に対して執着を見せることが理解できない。
その間にも、動揺で硬直してしまう私をレイはじっと見つめていた。
笑みを浮かべていながらもその視線は冷え切っており、まるで責められているかのような気分になる…いや、責められてるも同然だろうか。
「あの……」
「僕のお客人に何が御用かな?」
ようやく気を取り直し、口を開こうとした瞬間、聞き慣れてきた声が上からかかった。
心なしか、少し不機嫌そうに現れたレイ。
その姿は先ほどの騎士服とは違い、きちんとした正装に身を包んでいた。
正装に見えるけれど、これがアルの私服だったりするのかな……?
「そうだけれど、なにか悪かったかな?」
そんなアルを前にして、平然とした態度で返すレイ。
一見すると双方笑みを浮かべているため、微笑ましい光景に思える。
しかし、実際は微笑みの上に冷たい感情を隠した、心底居心地の悪い雰囲気に包まれていた。
肩身が狭いってこんなことなんだな……身に染みて思いました。
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