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5.

短め。

物語の展開都合上、短いですがここまでで更新します。

 夜会の翌朝。通常いつもの夜会の翌朝は昼まで眠りますけれど、現在わたくしはフィルップラ侯爵邸にて客人の身。ちょっと眠いですけれど、朝食をダーヴィド様と共にするために起きます。ダーヴィド様は、夜会の翌日ですが普通にお仕事ですもの。お父様もそうでした。王族に仕えるというのは、とても大変な事なのですね。

 後でちょっとだけ、わたくしはお昼寝をさせていただきましょう。現在昼間はまだ、暇なのですもの。


 どうやらフィルップラ侯爵邸の朝食は、いつも決まったメニューのよう。カリッと焼かれた薄くて四角い黒パンが二枚に、スクランブルエッグ。サラダにフルーツ。ソーセージ。ヨーグルトのかかったシリアルが、小さめのボウルに一杯。

 それを共に食しながら、本日の予定の確認です。いえわたくしは本日も、刺繍をするかフィルップラ侯爵領に関する書物を読むか、なのですけれど。


「勉強熱心でいてくれて、頭が下がるよ」

「いいえ。これまでの不勉強を痛感しておりますわ」


 だってフィルップラ侯爵領とご縁が出来るなんて思っていなかったんですもの! まずは領の場所、その歴史。学ぶことは多岐にわたります。

 フィルップラ侯爵領は王都のそば近くに一番大きい土地があります。歴史上なんやかんやあった際に、飛び地で領地を賜っている都合上、侯爵閣下と奥方様は複数の場所を訪れて執務をする必要がおありです。いずれはわたくしもそれに同行させていただいて、覚えていかなければ。

 それらについて学ぶのであれば、ハッリとともに書庫に行き、教えを乞うのが一番です。ダーヴィド様がお忙しく、お屋敷にほとんどいないので出来ることなのですけれどね。


「そんな勉強熱心な君に伝えておかなければならないことがある」

「なんでございましょう」

「明後日、両親がこちらに来ることになった」

「わたくしは、どうすればよろしいかしら?」


 わたくしは現在、フィルップラ侯爵家のお客人です。そのお客人が、侯爵家の方をお出迎えするのは、その、おかしいのではないかしら。

 一旦実家に下がった方がよろしいのかしら。それとも、客室で待機になりますかしら?

 もちろん、ダーヴィド様が在宅時でしたら、ご一緒にお出迎えしてもおかしくはないのでしょうけれど。


「現在両親は一番近い領地にいてね。馬車なら朝に出て、お昼はピクニックをして、夕方になる前には到着する距離だ」

「まあ、楽しそう」

「馬だともっと近い。昼前に出ても、昼を挟んで午後のお茶の時間には到着するだろう。ああ、あなたは乗馬は?」

「はしたないと、お思いにならないでくださいませね。子供の頃、領地でたしなむ程度に」


 この言い回し、ものすごく乗れる方も同じように仰るけれど、わたくしは本当にたしなむ程度。お姉さまたちもおんなじ。

 わたくしにはお兄様がいらっしゃらないから、男性がどの程度練習するのかはよく存じ上げませんけれど、伝令の皆さんほど速く走らせることは出来ませんし、そこまでの練習もさせて貰えませんでした。特に望みもしませんでしたし。


「それじゃあ、領地に君の馬はいない?」

「ええ、産地でもありませんから」


 馬や軍馬を特産品としている領地ももちろんある。そういうところでもなければ、令嬢専用の馬というのはないでしょう。

 ああいえ。子爵や男爵の家系ですと、騎士に近いお家もありますから。そういうところでは、令嬢でも馬術を磨くかもしれません。

 王妃様や王女様方の近衛に着く女性騎士には、確かご実家に爵位が必要だったはずです。


「なら、婚約が整ったならいずれ君の馬をプレゼントさせてほしい」

「わたくしの、ですか?」

「ああ、領地には遠乗りをするのに気持ちのいい場所がいくつかある。君と行けたら幸いだ」

「まあ、それでしたら教師も併せて手配してくださいませ。本当に子どもの頃に、たしなむ程度、ですのよ」


 これはいけません。

 誤解を与えてしまったようですので、強調をしておかなければ。

 でも、そうですわね。わたくしと遠乗りに行きたいと思っていただけるのは、とてもありがたいことです。行きたくない、と思われるよりもとても素敵です。

 問題はダーヴィド様にそんなお暇があるのかですけれど。まあその辺は。社交辞令も含まれているのでしょうし。

 でも本当に、その時間を作って頂けたら。好きになってしまいそうです。いえなっていいのですけれど。


「ああ、話を戻そう。ハッリの視線が痛い。

 おそらくお茶の時間までには到着するだろうから、一緒にお茶をしていただければと思う」

「承りました。お部屋の方で、待機しております」

「すまないね。それで、翌日の婚約式なのだけれど」

「え」

「え?」

「失礼いたしました。もう一日先だと思っていたのです」


 お父様から、一週間後に婚約式だとは聞いていました。一週間こちらのお屋敷でお見合いをし、との事だったので、勘違いをしていたのでしょう。

 お父様から話を聞いた一週間後が、確かに婚約式の日取りでした。

 お恥ずかしい限りです。


「婚約式の日取りに関しては承知いたしました。念のため実家にも確認しておきます」

「ああ、頼むよ。お姉さま達がいらっしゃるのだっけ」

「ええ、二人ともそれほど遠くはありませんので」


 多分一日間違えるようなのはわたくしぐらいでしょうけれど、確認は大事です。お母様やお姉さまはきっと大丈夫でしょうけれど。

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