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嘘つきは青春の始まり  作者: 月雪奏汰
2/2

嘘つきは学食に行く

午前中の授業は滞りなく進み、昼下がりに差し掛かった頃、昼休みの開始を知らせるチャイムが鳴る

「学食行かない?」

 近くの席に座っていた男子から声をかけられた。

「いいよ、行こう!」

 少し上擦った声が出る。内心はと言えば、少し上擦った程度で済んだのが奇跡と言える程の盛り上がり様だ。

 言うまでもない事だが、人から誘ってもらえた経験が優にはあまり無かった。

 2人で他の人も誘っていき、6人で学食に向かうことになる。

 学園の学食は、教室とは別館になっている。そして学食以外にはラウンジが併設されているだけ、まるで大学のような立派な作りだ。

 全員で座れるテーブルを見つけてから券売機に向かい、食券を買う。

 メニューでは選択肢が沢山に思えても、実際自分の好みから選べば、言うほど選択肢は多くないなと常々思う。

 あまり惰性で食事を摂ることはしたくないし、お弁当を持ってくるもの良いかもしれないなどと考えているうちに定食が渡される。

 ちなみに、優は1番目立つところに書いてあったからあげ定食を選んだ。

 全員で食べ始め、しばらくたった頃、誰からともなく雑談が始まる。

「午後の体力測定、自信の程は?」

 声がした方を向いてみれば、先程声をかけてくれた彼――藤宮春樹だった。

「多分大丈夫でしょ、いけるいける!」

「部活引退してから運動してないし、絶対無理……」

 見事なまでに正反対な答えが同時に即答されたことが、おかしくて仕方なかった

 この2人の名前はなんだったか、そんな事が頭を巡りながら優も返答する

「目指せ人並みって感じ」

 春樹も優に似たような事を言い、話題はやってきたスポーツの事に移る。

 その話題によって、バスケ部の事を思い出してしまう。

 先輩達が居た頃は問題なかった。問題は先輩達が抜けてからだ。

 ポジション争いでギスギスしたり、レギュラーかそうではないかで立場に明確な差が出来てしまっていた。

 あんなに居心地が良かった部活。

 気がつけば行かなくなってしまっていた。

 今では、バスケではなく基礎体力をつけにいったような物だな、なんて思えるほどにまでなったが。

 少し昔を思い出しつつ、周りを見る。

 そこには当然、新しい顔ぶれと風景があった。

 新しい日々が本当に始まったのだなと改めて感じる。

 そうして、優の初めての昼休みは終わっていくのだった。

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