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2-1

 次の日の一限は体育だった。中学の時は男子と一緒にプールだなんて嫌だったけど、ここは女子校だ。隣に男子校があるけど、プールは男子校からは見えない位置にあるので安心だ。

 夏の暑い日差しのなか、クロールを泳ぐ。忍術の修行のなかで泳ぎの練習もさせられたので水泳部ほどきれいには泳げないけれど、耐久には自信があり、実際同級生の中ではかなり「泳げる」と認識されているようだった。

 朝のまだ少しひんやりとしたプールの水が心地よい。




「百合っぺ」

 女同士のきゃいきゃいとした泳ぎの順番待ちの中で、仲の良い田代涼子が話しかけてきた。

「夏休み明けの文化祭、一高(隣の男子校だ)との合同ライブステージがあるからさ、見に来てよ。え、何?なんで一高とって?男日照りと女日照りの交流(コラボ)よ、コ・ラ・ボ!私、一高側での演奏になるけどすぐ隣だしさ。茶道部は部員多いからって2年生しかお茶やんないんでしょ?」

 涼子は、軽音部に所属していてバンドを組んでいるらしい。中学で吹奏楽部のパーカッションだったそうで、バンドではドラム担当だ。どうやら今回は文化祭の開催日が一緒の一高とのミックスバンドもやるらしい。

「マイにも声掛けたんだ。デビューライブだからさ、先輩たちと比べたら下手だけど、今部室以外にスタジオも借りて練習頑張ってるから…見に来てほしいの」

「もちろん!茶道部も一回は顔出さなきゃだけど基本ヒマだし!時間とか決まってるの?…まだ決まってない?決まったら教えてよ!マイと行くから!!ついでに良い人見つかんないかなァ」

 彼氏なんていないし、この仕事(忍者)をしている以上良い人なんて見つからないだろうと思いつつも本心を込めて言ってみた。

「あはは…何かでも、バンド関係で話してるといい人ばっかりだよ!さすが県下一の進学校!百合、綺麗だから声かけられるんじゃない?」

「それだったら今一人じゃないわ…」

 なんて話しながら、いつもの女子高生としての時間が過ぎていく…






 それは、夏休み前最後の部活のことだった。

「1年生、8人!文化祭二日間のうちどちらかは絶対浴衣着て看板持ち歩いて茶道部の宣伝してね。1日に偏ることのないようにね」

 部長がそんなことを言った。

 茶道部は文化祭は教室の一つを会場としてお茶会を開くことになっている。

 3年生は4月で引退しているので、2年生に代替わりしている。

 その2年生の人数が多いためお茶会は十分回せるから、1年生は宣伝しろということなのだろう。

「今日は1年生は宣伝日の振り分けと、段ボールとビニールひももらってきたからこれで首から下げる看板作ってね。最低限教室の場所と茶道部お茶会ってのと料金500円は書いてね。当日の浴衣への着替えは準備時間中に部室でお願いね」

 部長はそれだけ告げると2年生たちとの準備に混ざっていった。

 1年生の私たちもペンケースと段ボールをそれぞれ持ち、集まって話し始めた。

「皆は浴衣持ってる?私前に買ってもらったの中2の時だから、文化祭で使うんだ~って言って買ってもらっちゃおうかなあ」

 マイがそんなことを言い出す。

「ちゃっかりしすぎじゃない?それより私一人で浴衣きれなーい」

「あ、私着付けできるよ。流石に全員分しろって言われたら時間足りないだろうけど」

「おお!じゃあ百合に着付け頼んじゃおっかなあ」

「百合は2日間とも着付けしてほしいな」

「まず看板書きながら担当日振り分けするかー」

「百合マイ1日目がいいなー、2日目一高に涼子のライブ聴きに行くから」

「一高行くの?いいな、着いてっていい?」

 振り分けの結果、私は二日間の着付けと1日目の宣伝になった。もう一人着付けできる子がいたので着付けは何とかなりそうだ。浴衣はまあ…家にあるものでいいだろう。





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