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私って悪役令嬢ですか。

 私が怪我した後、全てが好転しました。


 まず、母様が夜、早く帰って来てくれるようになりました。流石に、食事は別々ですが、寝る前には帰って来てくれて、他愛もない話が出来るようになりました。最初は照れくさくて、あんまりお話し出来ませんでしたが、母様のお仕事の話とか、私のお嫁さんになる夢とか、少しずつ話せるようになりました。


 それに、食堂へ行くのは辛いだろうからと毎朝、母様特性のお弁当を作ってくれます。出汁巻き玉子は甘くないけど、母様の手作りだと思うと美味しく感じられるから不思議です。あ、美登利さんのがおいしくないって訳ではないですよ!甘い玉子焼きも大好きです!


 あと、兄様たちも時々、早く帰ってきてゲームを一緒にしたり、勉強を見てくれるようになりました。なお兄様からイジメに気付かなくてゴメンと謝られたのにはビックリしました。けど、兄様のせいではないし、私も相談しませんでしたからお互い様です。


(取り巻きを管理していない有哉も責任あるでしょ!)


 咲良ちゃんはぶつぶつ言っていますが、勝手に想われただけですから有哉兄様だって被害者だと思います。うん。ただ、それ以来、度々、兄様が教室に様子を見に来るようになって鬱陶しいかも。ちょっと過保護です。まあ、本当は、少しだけくすぐったいというか、嬉しいですけどね。


 それから、私をイジメていた人たちは全員、学園を去りました。他の学校へ転校したり、海外へ留学したり様々ですが、私が吐血した後の食事を先生が調べて砂や虫、ガラス片などが入っていたことが判明。同じテーブルにいた生徒は全員、加害者ということで処罰を受けたそうです。


 主犯の京香以外は、どれも退学とまではいきませんでしたが、学園に居られるはずもなく、去って行ったそうです。京香は、子供にしては悪質ということで退学となりました。


 勿論、ガラス片は私がこっそり紛れ込ませたもので、京香は最後まで知らないと主張していましたが、イジメをしていた事実は揺ぎ無く、ガラスの件を除いたとしても許しがたい行為と判断されたのです。少しだけ罠にかけたみたいで気が咎めますが、先に手を出した方が悪いですよね。私は正当防衛だと思います。


 そして、何故かクラスメイト達も優しくなりました。


「ほら、お前たち。ちゃんと謝れよ」

「ごめんなさいっ!髙良さんが国東様たちに可愛がられていたから羨ましかったの。まさか、イジメられているなんて思いもよらなくて、助けられなくて、本当にごめんなさいっ!」

「俺も気付かなかった。本当にごめん」


 九鬼君に連れられ、10人ほどの女子生徒が謝りに来てくれました。その子たちは、私の良くない噂や悪口を触れ回っていた人たちです。でも、私自身、入学当初は上級生に誘われて有頂天になっていましたし、その後はイジメられていると知られるのが恥ずかしくて、口も利かずに拒絶していたからイヤな奴と思われても当然だと思います。 


「ううん、私もごめんなさい。イヤな奴だったよね」


 イヤな自分を思い出して、ちょっと泣きそうになって、ぺこりと頭を下げると、みんな驚いて、それから、髙良さんが謝ることじゃないと慌てました。女の子たちは、私に負けず劣らず泣きそうになっています。


「じゃあ、お互い謝ったところで、これからは友達ってことで良いかな?」


 九鬼君が音頭をとって、締め括ってくれました。良かった、あのままだとみんな号泣しちゃって収集が付かなくなっていましたから。


 それからは、毎日が楽しくて、私は今までにないほど笑い転げていました。改めて友達になった戸田とださんたちから笑い上戸だと言われるほどに。


 ある日、教室で戸田さんたちとお昼を食べて、その後、図書室へ借りた本を返しに行くと、知らない女の子に話しかけられました。学年ごとに着けるバッチから同じ学年ってことは分かりますが、何の用でしょう?


「聞いたよ。国東先輩のこと。イジメにかこつけて追い出すなんて、まだ子供なのに立派な悪役令嬢してるんだね。ふふ」

「あくやく、れいじょう、ですか?」

「おっと、教えたらゲームの内容が変わってしまう。では、また」


 踵を返すと、あっという間に走り去ってしまった少女に、私は目をぱちくりさせるしかありませんでした。


「悪役令嬢って何でしょう?」


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