上官殺しのバルボ
「お前は賢者なのか!?
奴隷にする奴らを、短時間で移動させることができるなんて!」
バブゥーとしか言えないので返事ができない……。
それに、『俺は赤ちゃんだ〜〜〜〜!』
と、本当のことを言っても信用してくれないだろうしな。
「返事がないのか?
もしかして、俺様をなめていないか!?
俺はな、『上官殺しのバルボ』の異名を持つ山賊の頭だ。
魔法に関しては誰にも負ける気がしねぇ!
これでどうだぁーー!!」
バルボはさらに重力魔法を強めた。
さっきよりも強く俺は引っ張られている。
この山賊が、王妃様の言っていた魔力の強いバルボんなんだ。
でも……、これで最大なのかな?
余裕で抵抗できるんですけれど?
「ふっ、ふっ、ふっ、ふっ。
もはや、抵抗もできないみたいだな!
ハゲワシ。お前を地面に叩きつけてやる」
ほんの少しだけ、重力魔法が強まった。
これが、本当に彼の全力なのか?
「妙だな……?
最大の重力魔法で、ハゲワシを地面に叩きつけるように魔法を発動したんだけれど?
もしかして、もう1人居るのか!?」
バルボは辺りを見回している。
えーと……?
本当にこれが、彼の最大の重力魔法なんだ。
俺は昼寝をしないで、どうやって彼をやっつけるか考えていたんだけれど?
こんなことなら、お肌と乳歯のために昼寝をしておくんだった。
昼の休憩の時に、ユックリと寝れたのに……。
昼寝をしないで考えた方法を、バルボに試してみるかな。
いつものようにオシャブリを吸って精神統一。
利き腕でない左手の中で風の初級魔法、鎌鼬のイメージを開始した。
大賢者の本によると、両手でイメージ出来る人は稀だと書いてあった。
今までは右手だけだったので、左手でやるのは初めて。
両手でできれば、違う魔法を同時に使えるようになると。
左手の中で、鎌鼬のイメージができた。
バルボに向かって魔法を発動する。
ヒューーーーーー。
鋭い風を切る音が聞こえてきて、バルボを襲った。
彼の防御魔法が発動して、盾が現れた。
ザク、ザク、ザク、ザク、ザク、ザク、ザク、ザクーーーーー!
けれど、盾が無数に切り裂かれてバルボにケガがを負わせた。
カマイタチって一回だけのはずなんだけれど……?
「血、血だ!
顔から血が……」
バルボの顔から、数滴の血が流れ落ちている。
彼の体が震え出し、顔が恐怖で歪んできた。
あの〜〜、ほんの数滴の血だけなんですけれど?
どうしてそこまで恐れるの?
「う、嘘だ!
同時に2つの魔法を使える奴が居るなんて……。
重力魔法で空中にとどまりながら、攻撃魔法を発動してやがる!
しかも、防御魔法の盾を無数に切り裂いたのは中級の風魔法、死神鎌!」
左手も、右手と同じように魔法のランクが1つ上がるんだ。
ありがとうね、教えてくれて。
それに、考えたら今まで2つの魔法を同時に使っていたよな。
重力魔法で飛びながら攻撃していたし。
すると、俺は同時に3つできるってことか?
つまり、重力魔法で飛びながら、左右の手から別の魔法を発動する
ワォーーーーー!
それって凄くね!
「わ、悪かった。俺の負けだ。
もう何もしないでくれ」
血を数滴流して、もう降参なの?
両手で同時に魔法が発動できるか試したかったのに……。
バッゴォーーーーーーーーーン!!
あ、アトラ姉ちゃんが超音波破壊剣を使った音だ!
人間相手に、伝説の魔剣を使って大丈夫かな?
山賊達が大ケガをしていなければいいのだけれど……。
アトラ姉ちゃん、少し乱暴だからな〜〜。
バルボと共に音のする方に移動した。
そこに行くと、10名ほどの山賊達の無残な姿と、四方に逃げ惑う他の山賊達がいた。




