婚約披露宴
父ちゃんを見ると、喜び半分、心配半分の複雑な顔をしている。
親としては当然そうだよね。
「アトラがそう決めたのなら、お父さんは反対しない。
アトラの思うようにしなさい。
ただ、罠にはめた令嬢方が気になるのだけれど……」
「それは大丈夫だよ父さん。
また罠にはまっても、トルムルから新たにもらった体なら大丈夫。
大怪我を負わされたミノタウルスなら問題ないし。
強い敵が現れたら、トルムルに頼んで助けに来てもらうし」
「そうか、トルムルがアトラの体に入れるんだったね。
忘れていたよ。
そう思えば安心できる。
いざとなったらトルムル、アトラのことよろしく頼むよ」
「バ、バブゥー」
思わず返事をしてしまった。
あ、あのう。
俺まだ赤ちゃんなんですけれど……。
そこまで俺を信じてくれて嬉しいのだけれど……。
強い魔物がまだまだたくさんいるのを、母ちゃんから聞いているし……。
「ただいま〜〜。みんな大変よ!
ムルマルムの国に居るヴァール姉さんが、第一王子と結婚するんだって。
その王子は、ヒミンのまたいとこ。
婚約披露宴を来週すると決まって、私達にも招待状がすぐに届くみたい。
お姉さん達全員にも招待状を送ったみたいで、久しぶりに家族全員が集まるわ。
私、何を着て婚約披露宴に出ようかな〜?」
マー、ジー、でーーーーー!l
俺を始め、父ちゃんとアトラ姉ちゃんも驚きすぎて何も言えなかった。
アトラ姉ちゃんに続いて、ヴァール姉ちゃんも王妃様になるの?
お姉ちゃん達は、超が付くほど美人だけれど……。
「それでね。ヒミン達は馬車で行くんだけれど、ご一緒にいかがですかって。
ねえねえ、お父さん。もちろん一緒に行くわよね?」
父ちゃんは、アトラ姉ちゃんの真剣な話を聞いたあとだったので、少し心配をしている風だ。
アトラ姉ちゃんが大怪我を負わされたのが、権力争いによるもの。
庶民出のヴァール姉ちゃんが第一王子の妃になると、嫉妬を抱く人は大勢いると簡単に推測できる。
父ちゃんはそれを心配している。
アトラ姉ちゃんも同じように考えているみたいで、エイル姉ちゃんのように手放しで喜んではいない。
もちろん俺もそうだ。
どう考えたらいいんだろうか?
エイル姉ちゃんみたいに、ヴァール姉ちゃんも命力絆をする?
そうすると、安心するよな。
父ちゃんも安心するし、何かあれば俺がすぐに行けるし。
でもヴァール姉ちゃんが望めばだけれど。
俺としてはその方が安心するよな。
でも……、もしかして……。
俺って影の権力者になりそうな予感……?
大賢者を目指しているのに、それは良くないよな。
でも、この国の王妃様と二人の王女は俺を信頼しているし……。
俺は母ちゃんの意思を継いで、大賢者になりたいんだ!
そしてこの世界を、魔物の魔手から守るんだ!!
あれ……?
いつのまにかこの国から、世界を救うと思っている俺……?
そうか。お姉ちゃん達は違う国に住んでいるんだよね。
だからかーー。
でも、範囲が、ひ、広すぎる気が……?
父ちゃんは驚きながらもエイル姉ちゃんに言う。
「それは喜ばしいことだね。
それに、久しぶりに家族が集まれるのが嬉しいよ。
徒歩だと5、6日かかるので、馬車での同行をお願いしようか。
それだと2日で着くはずだし。
アトラはどうする?
ムルマルム国は、アトラが帰るエルラード国の途中にあるけど?」
アトラ姉ちゃんは少しだけ考えて言う。
「一緒に行くよ。
エルラード国の王子も、その婚約披露宴に出席すると思うんだ。
エルラード国の王子は、ムルマルム国とは親戚関係だと聞いているから」
エイル姉ちゃんは、父ちゃんとアトラ姉ちゃんのやりとりに困惑した顔になる。
どうして、エルラード国の第一王子が関係しているのかと。
「アトラ姉さん。エルラード国の第一王子の護衛、辞めたんだよね。
どうして今回と関係があるの?」
不思議そうにアトラ姉ちゃんを見るエイル姉ちゃん。
アトラ姉ちゃんは吹っ切れたみたいで、満面の笑顔で言う。
「いずれエイルにも分かるから言うけれど。
実は、王子から好きですと告白されたんだ。
それで、私の気持ちを今度会った時に言おうと思ってね。
私も好きですと」
今度はエイル姉ちゃんが超驚いている。
ま、無理もないか。
「ア、アトラ姉さんに王子が、愛の、こ、告白を!
ほ、本当に!?」
「ああ、マジさ。
私のこの粗野な言葉遣いも含めて、好きだと言ってくれたよ」
エイル姉ちゃんは、口を両手で押さえて目を大きく開いた。
驚きすぎて、身動き1つしていない。
父ちゃんがエイル姉ちゃんに言う。
「父さん達もさっき聞いたところだよエイル。
アトラとヴァールの話は、とても喜ばしいことだと思っている。
アトラとヴァールが結婚したら、亡くなったナタリーも喜ぶと思う」
アトラ姉ちゃんは、父ちゃんを見て言う。
「父さん、まだ結婚するとは決まってないよ。
ただ、好きですと言われただけで……」
あのアトラ姉ちゃんが、微笑みながら頬を染めている……。
し、信じられない!
俺にオッパイ恐怖を植え付けた、あのアトラ姉ちゃんが……。
でも……、よく考えてみれば、アトラ姉ちゃんも年頃の女の子なんだよね。
超美人だし、とても優しい。
少し……、乱暴だけれど。
王子がアトラ姉ちゃんを好きになるの、よく分かる気がする。
本当に良かったね、アトラ姉ちゃんとヴァール姉ちゃん。
でも……、婚約披露宴で何かが起こりそうな、イヤーな予感……。
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