表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

34/195

最大魔法

 万年眠亀テンサウザンドスリーピングタートルの進行方向には町がある。

 このままだと甚大な被害が出てしまう。


 もとはといえば、ウール王女の忠告を無視したからこうなった。

 地面の下に万年眠亀テンサウザンドスリーピングタートルがいるのに、俺は分かってあげられなかった。


 ウール王女を見ると、俺を可愛い目で見つめ返している。

 どうにかしてくれと訴えている目だ!


 魔法は残り少ない。

 最大魔法を使うと,ほとんど空になる。


 やるとしたら、もう一回だけ。

 しかし……。


 どうする、俺……?


 もう一度、オシャブリをユックリと吸う。


 ふと、ギガコウモリの被害状況が頭に浮かぶ。

 城の城壁が、豆腐みたいに簡単に壊されていたのを。


 そうだ、どうして俺は気がつかなかったのだろうか。

 超音波で、亀の甲羅を破壊すればなんとかなるかもしれない。


 手の中に、慎重にイメージを作り出す。




 イメージができたので、俺は最大超音波魔法アルテメイトスーパーソニックウエーブを発動した。


 耳をつんざく音と共に、目に見えない最大超音波魔法アルテメイトスーパーソニックウエーブ万年眠亀テンサウザンドスリーピングタートルに襲いかかる。


 爆音と共に、万年眠亀テンサウザンドスリーピングタートルの甲羅が無数に割れて地面に落ちていく。


 どうだ……。

 今度こそやったか?


 よく見ると、全ての甲羅を破壊できなかった。

 まだ生きている!


 万年眠亀テンサウザンドスリーピングタートルは苦しみもがいてはいるけれど、致命傷にはなっていない。

 俺にはもはや、魔法がほとんど残っていない。


 マズイ!

 父ちゃん達の方に向かい出した。


 父ちゃん達が攻撃したと思っている。


 どうしたらいい、俺……?


 ウール王女を見ると、今にも泣きそうな顔だ。

 自分ではどうにもできないので、悔しさを全身で表している。


 ごめん、ウール王女。

 俺も、……どうすることもできない。


 オシャブリを口に入れたまま、何もできない俺。

 こんなに、情けないことってないよ。


 か、悲しい……。


「トームル、トームル!」


 ウール王女は悲痛な叫びをあげている。


 ……?


 そうだ!


 ウール王女の体内の魔法を使えるかもしれない。

 俺の意識をウール王女に飛ばして、彼女の体内にある魔法を使う。


 よし、多分できると思う。

 もう考えている時間はない。


 俺はウール王女に意識を飛ばして、彼女に入った。

 そして、再びイメージを開始する。




 イメージが出来上がると、すぐに最大超音波魔法アルテメイトスーパーソニックウエーブを発動した。


 万年眠亀テンサウザンドスリーピングタートルに直撃をした。

 甲羅の殆どが破壊され、中から現れたのは……。


 え……?

 なにあれ?


 やせ細ったヒョロ長い……。

 亀の中身?


 そうか、長く眠っていたので、やせ細っていたんだ。

 あともう一回、最大超音波魔法アルテメイトスーパーソニックウエーブを発動するとやっつけられるのに……。


 ウール王女にも、魔法はほとんど残ってはいない。

 もう、俺にはどうにもできない。


 父ちゃん達が反撃をしている。


 アトラ姉ちゃんが剣を鞘から抜くのが見える。

 利き腕でない方で持っている。


 アトラ姉ちゃんが、万年眠亀テンサウザンドスリーピングタートルに攻撃を仕掛けていった。


 ここからでも気合が聞こえてくる。

 すごい気合だ!


 襲ってくる万年眠亀テンサウザンドスリーピングタートルに対して、剣で斬りつけていく。


 胴体の下に潜り込んで、深く剣を刺した。

 そして、その剣を胴体に沿って刺したまま切っている。


 凄いパワーだ!


 ハンマーを軽く回していただけあって、豆腐でも切るように見える。

 さすがアトラ姉ちゃん!


 万年眠亀テンサウザンドスリーピングタートルはもがき苦しみながら突然消えていった。

 そこに残っていたのは……、人間の頭ほどの魔石だ!


 やった〜〜〜〜〜〜!!


 とうとう俺たち、万年眠亀テンサウザンドスリーピングタートルをやっつけたんだ。

 今回は、俺1人ではどうにもならなかった。


「トームル。すー、ちぃー」


 ウール王女がそう言うと俺に抱きついてきた。

 わ、悪い気はしないな。


 父ちゃん達が下で呼んでいる。


 ウール王女と一緒にユックリと降りていく。

 下では、みんなが喜んでいる顔が見える。


 父ちゃんが安堵した声で言う。


「一時はどうなるかと思ったよ。

 ありがとうトルムル」


「とーたん、バブブブブーーーー」


 エイル姉ちゃんが笑顔で言う。


「トルムルお疲れさま。

 今回もありがとう」


「エー、ねーたん。バブブブブーーーー」


 アトラ姉ちゃんが、興奮しながら言う。


「まさか、トルムルが甲羅こうらを破壊するとは思わなかったよ。

 ありがとよ」


「アー、ねーたん。バブブブブーーーー」


 ヒミン王女が、尊敬の眼差しで俺を見る。


「さすが、トルムル様です。

 歴史上、万年眠亀テンサウザンドスリーピングタートルを倒したのは大賢者様だけでした。

 これで、新たな歴史が始まります」


「ヒー、ねーたん。バブブブブーーーー」


 俺が言うと、ヒミン王女はその柔らかな大きな胸で抱いてくれた。


 歴史よりも、こっちの方が良いと思った俺。


 あれ?

 オッパイに抱かれても、恐怖心が減っている。


 少しだけ、成長したのかな……俺?


 後ろから突然、ウール王女が抱きついてきた。

 少し、怒っている。


 なんで?


 どうやらヒミン王女が俺を抱いたからで……。

 それが原因……?


 ウッソォーーーーーーー!!


 も、もしかして、ヤキモチ?

 その年で……?


 心の成長が、あまりにも早すぎる気がするんだけれど……。

 これから俺たち……、どうなるんだろう?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ