かめ?
アトラ姉ちゃんが岩を叩こうとしたら、ウール王女が大きな可愛い声で叫ぶ。
「トームル! かー、めー!」
え……、かめ?
ウール王女が指さす地面には、亀はいない。
もしかして、カメムシ?
でも、その地面をよく見ても、草しか生えていなかった。
虫もいなくて、何をこんなにウール王女が興奮しているのか全く分からない。
ヒミン王女も困っている。
「ウールがなぜこんなに興奮しているのか分からないです。
指さした地面には何もないのに……。
アトラさん、岩を叩いて下さい」
「ああ、分かった。
じゃ、叩くよみんな」
アトラ姉ちゃんはそう言うと、大きなハンマーを振り回して思いっきり岩を叩いた。
ゴォーーーーーーーーン。
ハンマーで岩が振動して、低い音が響き渡る。
驚いた岩蜂が大挙して中から出てきた。
俺の予想をはるかに超える数だ!
無数の穴から次から次へと出てくる。
待っていましたとばかりに、みんなが火炎魔法を使う。
俺は地面に降ろされていて、木につかまり立ちをしている。
ウール王女も降ろされていて、俺の方に近づいて来る。
さっきの興奮より、さらに興奮している。
「トームル! かー、めー!」
岩蜂ではなく、地面に指さしたままだ。
本当に、何かいるのか?
え……?
何かが目を覚ました感覚を感じる。
これは……?
それも……?
下から……?
ウール王女の指差した下から、何かが目を覚ましたのは間違いない。
もしかして、冬眠していた亀?
今は秋なので、冬眠はおかしい。
分からない。
オシャブリを吸う。
精神を統一して感覚を研ぎ澄ませる。
この感覚は……、かなり大きな亀?
地面の下に……?
マッ、ジィーーーーーーー!!
次の瞬間、地震が起きた。
かなり大きな揺れで、俺はウール王女と共に重力魔法を使って思わず上空に逃げていた。
「トームル! かー、めー!」
ウール王女が再び興奮して地面を指差した。
地震が起きているのは丘だけだ。
しかも、丘の端から亀の手足が現れ始める。
巨大な亀がさらに体を動かすと、首が長く伸びてくる。
そして、後ろを振り向いて父ちゃん達を見た。
俺はとっさに父ちゃん達全員が入る防御魔法を発動した。
ドームの様なイメージで出したのだけれど……?
オ、オッパイ……?
またしても、オッパイの形をしていた。
巨大な亀は、父ちゃん達に猛火を吐いた。
猛火はオッパイに当たると、左右に流れていく。
フゥーーーーー。
危ないところだった。
大きな亀は首を前に向ける。
王女達の警護をしているラーズスヴィーズルのいる方に歩き出した。
ヤ、ヤバイ!
今度は彼らが危ない。
しかも、巨大だから進むスピードがムチャクチャ速い。
俺は彼らに防御魔法を発動した。
またしても、オ、オッパイ……?
俺って、防御魔法はオッパイしか出ないのかな……?
その上を大きな亀が通り過ぎて行く。
も、もしかして……、彼らは潰された?
通り過ぎた後を見ると、オッパイが地面に大きくめり込んでいる。
その中に、彼らの動いている姿が確認できる。
よかったー。
もしかして、怪我をしているかもしれないけれど……。
あ、そうだ!
父ちゃん達は!?
大きな亀の甲羅に乗っている父ちゃん達を確認できる。
しかし、揺れ動く甲羅の上で、彼らは立っているのが精一杯だ!
俺は一人一人重力魔法で亀から下ろしていった。
父ちゃんが大きな声で俺に言う。
「トルムル〜〜! 万年眠亀が町に向かっている。
なんとかしてくれーー!!」
な、長い名前の亀……。
えーと、なんとかしてくれって言われても……?
デカすぎて、普通の攻撃ではダメだ。
ではどうすればいい……、俺?
俺は最大土性魔法を発動した。
巨大なオッパイが上空に現れると……?
ヤッパリ、オッパイしか出ない……。
急降下して万年眠亀を襲った。
地響きとともに、土煙が上がっている。
倒したのか……?
土煙の中から無傷の万年眠亀が現れた。
甲羅の上に乗っていた土などが落ちただけだ。
なんとういう防御力の高さ!
あれだと、火炎攻撃も効かない。
どうしたらいい、俺……?
このままでは、間違いなく町に大きな被害が出る。
万年眠亀の歩く速さはさっきから変わらない。
あれだけの攻撃を受けても、平然と歩いてる。
俺は、ヤツを止めることさえもできないのか?
そうだ!
カミナリだ!
俺はオシャブリを吸って精神を統一する。
よし!
俺は最大雷魔法を発動した。
空に積乱雲が現れた。
ゴロゴロ、ピカァーーーーーー!!
巨大なイナズマが、音と共に万年眠亀を襲った。
やったか?
……?
動きが少し止まっただけで、再び歩き出した。
どうやら、甲羅を通して地面に電気が流れた見たい。
全く効いていない。
竜巻で、遠くに飛ばすのは?
倒せないまでも、町に被害が出ない。
俺は精神を統一して、巨大竜巻をイメージする。
イメージできたので最大竜巻魔法を発動した。
巨大な竜巻が、万年眠亀の上空に現れた。
ゴォーーーーーーーー!!
竜巻が地面に着くと、周りの土砂も巻き上げている。
ここにいても吸い寄せられる。
重力魔法を強くして、竜巻に吸い込まれなようにする。
しばらくして巨大竜巻が消えると、万年眠亀は再び歩き出した。
手足と首を引っ込めて、やり過ごしていたみたいだ。
あまりにも重いので、竜巻では飛ばせなかった。
もちろん、重力魔法も重すぎて無理だ。
俺は……、万年眠亀を止めることができないのか?




