魔王戦 その2
魔王が猛スピードで俺に迫ってくる!
地上戦は、俺には不利。
魔王の鍛えられた身体能力に対抗する能力は、俺には無い……。
地上での戦いは、明らかに魔王が有利だ!
その点、空中戦は重力魔法を使って、自在に空中を移動できる。
魔王も同じくらい重力魔法を使えるみたいだけれど、俺と互角ぐらい。
重力魔法で前方の空中に移動。
魔王も俺に呼応するかの様に、重力魔法を使って空中移動に切り替えた。
先手必勝で、俺は巨大な魔矢を作り出した。
魔王城攻略の為に考え出した魔法だけれど、魔王に対しても効果がある筈だ!
普通の魔矢では、魔王の防御魔法で弾かれた。
巨大な魔矢は重量があるので、慣性の法則で魔王でも受け止めるのが難しい……、と思う。
シューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
巨大な魔矢が魔王目掛けて飛んで行く!
魔矢の先は真空状態なので、急激に加速している。
一瞬だけ目で追っていけたけれど、すぐに魔矢が見えなくなった……。
ドス!
ドッガァーーーーーーーーーーーーーーーン!
見事に魔矢が魔王に命中して、さっきめり込んでいた大岩に、再び魔王がめり込んだぁ〜〜!
ヤッタ〜!
もしかして、魔王をやっつけたのか……?
でも、めり込んだ魔王の手足が動き出した。
あれだけの衝撃でも、魔王はまだ生きているの……?
ボコォ〜〜〜〜〜〜〜〜!
再び動き出した魔王。
でも……、少し様子が変……。
少しフラついており、俺が射った魔矢でダメージを負ったみたいだ。
やったね、俺。
「ここまでトルムル王がやりおるとは。
魔剣の奥義を出さねば、トルムル王に勝てぬわ!!」
え、伝説の魔剣である毒蛇剣に奥義があるって……?
大賢者の本はおろか、どの本にも毒蛇剣に奥義があるなんて書いてなかった……。
魔王の動きを注視すると、伝説の魔剣である毒蛇剣の刃が巨大な蛇に変わって行く……。
巨大な蛇は普通の家ぐらいはある胴体をしており、尚且つ、動きが無茶苦茶早い!
マ、マジですか!?
長い二枚舌を動かしながら、急速に俺に迫って来た!
ビュー、ビュー、ビュー、ビュー、ビュー、ビュー。
小刻みに回避行動を繰り返してしているので、巨大な蛇は俺の動きに対応できないと思っていたら、しっかりと真後ろに付いて来ている〜〜。
魔矢で応戦を開始。
でも……、魔矢で攻撃をしても硬い鱗が矢を弾いて、ダメージを耐えられない……。
このままでは、巨大な蛇に飲み込まれてしまう!
俺は出来るだけ小刻みに空中移動しながら、大きく口を開けて迫って来る巨大な蛇から逃げようと必死になる。
でも……、このまま逃げていてはいずれ捕捉され、食べられてしまうのは間違いない!
俺似の岩石巨人で対抗しないと無理だ!
逃げながら、俺似の岩石巨人を魔法力を使って魔法で出す。
ズゥズゥーーーーーーーーーン!!
……?
あの大きな岩石巨人が、巨大な蛇と比べると小さく見える……。
蛇の胴回りが、岩石巨人の胴体と同じ位……。
と、とにかく、岩石巨人を操作して、反撃出来る時間を作らないと。
岩石巨人の周りを回って、両腕の中をする抜けると、作戦通り蛇も後を付いて来た!
すかさず岩石巨人を操作して、両腕で捕まえる……。
って、見た目は蛇にぶら下がっている様にしか見えないんですけれど。
でも、岩石巨人がぶら下がっているので、蛇の動きが極端に遅くなった。
チャンス到来で、ウールの得意な魔法である二重螺旋絶対零度猛火《ダブルフィリックスアブソリュートゼロ ファイア》を使う時だ!
巨大な蛇といっても、元は剣。
とういう事は、超高温と超低温を繰り返せば防御が弱くなって、鱗が脆くなる筈だ!
二重螺旋絶対零度猛火《ダブルフィリックスアブソリュートゼロ ファイア》は、二重螺旋構造で、高温と低温が混ざる事なく敵に襲いかかる超超超、高度な魔法。
どんなに硬い装備や剣でも脆くなって破壊出来る。
蛇から逃げながら、この魔法のイメージが鮮明にできたので魔法力を使って魔法を発動!
ゴォァァァーーーーーーーー!!!
シューーーーーーーーーーー!!!
猛火と冷気の音が同時に聞こえながら、岩石巨人がぶら下がって遅くなった蛇を追尾して行く。
魔法を発動すると、敵に当たるまで地の底追いかける魔法も追加した。
バシューーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!
見事に魔法は蛇命中して、蛇はもがき苦しむ!
起き上がってきたアトラ姉ちゃんの近くに剣が落ち、姉ちゃんが剣を拾うと刀身が崩れ落ちて行く。
やったね、俺!
これで魔王は、剣では戦えなくなった。
後は、魔法のみの戦いになる。
魔法だけだったら、俺は魔王に負ける気が全くしない。
魔王を見ると、全身を悔しそうに震わせている。
最後の、本当に最後の戦いがこれから始まる。
姉ちゃん達の応援の声は聞こえるけれど段々と薄らいでいき、俺は魔王との戦いに全神経を集中していった。
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