魔族達は何処へ?
俺が巨大地震を起こして、魔王城が崩壊した。
けれど、空中から魔王城に近付くにつれ、魔族からの攻撃が激しくなっていく。
「トルムル、もう限界だわ!」
そう言ったのはウール。
「そうだね。
地上に降りないと、防御魔法が突破される可能性が高いからね」
やはり、建物が崩壊したぐらいでは魔族は致命傷になっていないみたいだ。
しかも想定通り、攻撃力がとても強い。
油断すると、大怪我をするレベルの攻撃を繰り返している。
もちろん、最強防御魔法で体を守っているとはいえ、波状攻撃で破られる可能性が……。
それに、空中を移動すると、どうしても狙われる確率が増えてしまう。
魔王城に行き着く前に、これでは命を落とす危険がある。
それにしても、想定した魔族の数が少ない気がしてきた。
魔王の娘であるニーラを盟主と仰いでいる魔族達から、魔王城に居る魔族の数を聞いたのだけれど、桁が一桁ではなく、二桁も少ない……。
巨大地震の揺れで建物が崩壊したのだけれど、あれくらいでは魔族は死ぬ事はない!
それなのに、何でこんなに数が少ないの……?
魔族の気配を探っても、100名にも満たない……。
他の魔族達はどこに居るんだろうか……?
彼等が人間の住んでいる大陸に大移動するには、帆船が必要不可欠だけれど、各港には見張りを配置させている。
どの港も不穏な動きはなく、平和そのもの。
どう考えても、魔族の数が合わない。
とっても……、とっても嫌や予感がする……。
って、今はニーラを救い出して、生贄になるのを止めないと!
俺とウールは地表に降り立つと、近くにいた魔族達が猛攻を仕掛けてくる。
「ウール!
右側の魔族をお願い!」
「わかったわ、トルムル。
任せて!」
左右の魔族を同時に相手にするのは、俺でもキツイ!
ウールは俺に近い攻撃魔法を使いこなせるので、安心してまかせられる。
ゴォゴォゴォゴォォーーーーーーーーーーーーーー!!
バキィィーーーーーーーーーーーーーーー!!
ドォゴォォ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!
ウールが連続で魔法を発動している音が聞こえるけれど、音だけでも凄い魔法だとわかる。
ウールは超が何個も付くほど可愛いのだけれど、怒らしたら超が何個も付くほど怖そう……。
と、とにかく、魔族を倒しながらニーラの気配を探ると、魔王城の地下を移動している。
魔王城の地下は神殿になっているのだけれど、巨大地震でも崩壊しなかったみたいだ。
姉ちゃん達と乳児部隊も合流して、俺達の戦力は何倍にもなり、魔族達を圧倒していく。
魔王城があった場所に到達すると、地下神殿に続く階段をみんなで探し始める。
しかし……、巨大な魔王城が崩壊して出来た岩の山から、地下神殿に行く入り口が見つからない……。
アトラ姉ちゃんが焦りながら言う。
「岩の山で、地下神殿に通じる階段が見つからない!
トルムル、何とかしてくれ!」
な、何とかしてくれと言われても……。
花崗岩の岩山が崩壊しているので、岩の量が半端ないくらい多い……。
もしかして、地震を起こしたのが裏目に出たのか……?
いや!
この岩をどければ、きっと地下神殿に行く入り口が見つかる筈だ!
俺は再び、俺似の岩石巨人を出す事に。
ズゥズゥーンーーーーーーーーーーーーーーン!!!
魔法力で岩石巨人を操作しながら、岩を取り除いて行く。
しばらくすると、地下神殿に行く入口が見えた!
いよいよ魔王と戦う!
どれほど長く、この時待ち望んでいただろうか……?
って、4年も経っていないけど ……。
と、とにかく、急いで地下神殿に通じる階段を降りて行った。
武者震いを抑えながら。
読んでくれてありがとうございます。
次話も遅くなるのは確定です……。
宜しくお願いします。