スノートラ王女の悲しみ……? その2
ヴァール姉ちゃんとスノートラ王女の意外な内容を聞いて、気が付いていたら食事が終わっていた……。
ウールにヤールンサクサ王女、そしてスノートラ王女が加わって、三角関係どころか四角関係になった様な気がするんですが……?
ふと、何かが目覚めた感覚がしたのでその方を見ると、姪のヴォルムが目覚めたみたい。
ヴォルムのつぶらな瞳は、見ているだけ幸せな気分にしてくれる。
フョ〜〜、フョ〜〜。
ヴォルムが重力魔法で浮かんで、トイレの方にゆっくりと飛んで行く。
カチャ。
重力魔法でドアを開けて中にはいり、ヴォルムが中に入るとドアが閉まる。
カチャ。
何かが普通とは違うんですが……。
何だろう……?
あ〜〜〜〜〜〜〜〜!
マ、マジですか!?
生後3ヶ月ぐらいなのに、重力魔法を完全に使いこなしているよ〜〜!
驚き〜〜〜〜〜〜!
しかもヴァール姉ちゃんは、いつもの事だわよって顔で食事の後片付けをしているし……。
エイキンスキャルディ王子も、ヴォルムが重力魔法を使いこなすのを知っていたみたいで、同じく平常心で眺めているだけ……。
スノートラ王女は俺と同じ様に、超〜〜ビックリしたみたいでヴァール姉ちゃんに驚いて言う。
「ヴォルムちゃんは、重力魔法が使えるんですか!?」
ヴァール姉ちゃんはスノートラ王女の驚きに、逆に驚いた様に考えながら王女に言う。
「そうね〜、ヴォルムは生まれて1ヶ月で重力魔法を使いこなしていたわ。
今は火炎魔法とか、風の魔法だったら鎌鼬の魔法を練習中ね。
トルムルもスノーと同じに驚いているけれど、そう言えば貴方に報告するのを忘れていたわ。
ヴォルムに色々な事を教えていたので多忙だったから」
……。
あの〜〜、姉ちゃん……。
俺も戦後処理で忙しかったけれど、それくらい教えてくれても良かったのに……。
でもヴォルムと俺は、ヴァール姉ちゃんの妊娠が判った時に祝福の魔法を使ったから、命力絆と同じ様に心で会話ができる。
時々ヴォルムと会話して、急速に語数を増やしていて驚いていたけれど、まさか重力魔法が使えるとは……。
「ヴォルは数日前から歩き出して、ゆっくりだったら倒れずにどこまでも歩けるわ。
トルムルがヴォルムに祝福の魔法をした効果が如実に現れているわね。
祝福の魔法は命力絆と同じ効果を与えているみたい。
ヴォルムが急速に心身共に成長しているのはトルムルのお陰ね。
でも3ヶ月児だから寝ている時間が長く、起きている時間が短いので、その間に色々な事を教えなくてはいけないので苦労している所なのよ」
もう歩いているって!?
驚きの連続で、開いた口が塞がらない俺……。
カチャ。
ヴォルムがトイレから出て来たのだけれど、今度は歩いている。
ゆっくりだけれど、安定した歩き方だ。
「マーマ、オッパ」
ヴォルムが言葉を話せるので、更にスノートラ王女は目を見開いて驚いて行く。
王女が驚いている顔を改めてよく見ると、さっきと違った表情でとっても可愛いよな……。
って言うか、今はヴォルムだ!
ヴォルムは心で話す語数がかなりあるのだけれど、実際に話せるのを初めて聞いて俺も驚く!
俺も経験があるのだけれど、言葉を知っていても話すのはかなり難しい。
歩くのと一緒で、関係する筋肉を上手に動かさないといけないから。
俺が6ヶ月の時には、「バブゥー」としか言えなかったのに比べると……。
ヴォルムは3ヶ月なのに「マーマ」と「オッパ」が言えている。
俺が祝福の魔法をヴォルムが胎児の時にしたから、予想を遥かに超える勢いで成長しているみたいだ!
ある意味……、俺がヴォルムを創造したのか……?
「ヴォル、少し待っていて。
後片付けが終わったら、すぐにオッパイをあげるからね。
それまでスノートラ王女に、心で会話をしていて。
王女はトルムル叔父さんや私と同じ様に、心で会話ができるから」
「わーた」
ヴォルムはスノートラ王女の方を向くと、軽くお辞儀をして、心の声で話しかける。
『はじめまして、スノートラおうじょ。
ママからおうじょのことは、すこしだけきいています。
トルムルおじさんが、わたしたちを、たましいの、しまいにしてくださいました。
したしみをこめて、これからスノートラおうじょを、スノーおねえちゃんとよんでもいいですか?』
うん、うん。
しっかりと挨拶が出来て、関心関心。
スノートラ王女を見ると驚き過ぎてしまったのか、全く動かないんですけれど……。
何で……?
やっと動き出したかと思うと、王女は大きな目を高速で瞬きしながらヴォルムに心の声で言う。
『ヴォルムちゃんが、こんなにもお話が出来るのでビックリしてしまいました。
更に、トルムル王が私達を魂の姉妹にしていただいてくれた事に感動してしまって。
ヴォルムちゃんから、スノー姉ちゃんと言われるのはとっても嬉しいです』
『ありがとうスノーねえちゃん。
あのね、スノーねえちゃんには、まだまだたくさんの、たましいのしまいがいるんだよ。
しょうかいするね。
アトラおばさまの、おなかにいるアダラ。
シブおばさまの、おなかにいるジョヴン。
ディースおばさまの、おなかにいるディーヴァ。
イズンおばさまの、おなかにいるイビョーク。
エイルおばさまの、おなかにいるエッダ。
そして、ヒミングレーヴァおうじょの、おなかにいるヒーヴァだよ。
みんな、スノーねえちゃんに、ごあいさつして!』
『『『『『『スノーねえちゃん、はじめまして〜〜!』』』』』』
うん、うん。
みんなもしっかりと挨拶が出来て関心関心。
って、スノートラ王女が再び驚いて固まっているんですけれど何で……?
あ、やっと動き出したよ。
『は、はじめましてアダラちゃん、ジョヴンちゃん、ディーヴァちゃん、イビョークちゃん、エッダちゃん、ヒーヴァちゃん。
みんな……、お腹の中にいる……、胎児なんだよね……。
まさか胎児とお話できると思わなくて、とってもビックリしたの。
それに、私の妹達がこんなに大勢居るなんて……』
え……。
スノートラ王女、泣き出しちゃったよ。
な、何で泣くの……?
『スノーねえちゃん、なんでないているの?』
ヴォルムがスノートラ王女の涙を見て、心配しながら言った。
『これは幸せの涙よヴォルムちゃん。
戦争で私は一人ぼっちになったと思ったけれど、こんなにも可愛らしい妹達がたくさんできて、今はとっても幸せ。
トルムル王には、感謝しても感謝しきれないほどなの』
ヴァール姉ちゃんが片ずけを終わらせて部屋に入って来ると、スノートラ王女が泣いていたので心配して声を掛ける。
『スノー、どうしたの!?
ヴォルが何か言ったの!?』
そう言ったヴァール姉ちゃんは、ヴォルムの方を見た。
ヴォルムは俺の方を見て言う。
『スノーねえちゃんを、なかしたのは、トルムルおじさんだよ』
え……、その言い方だと姉ちゃんは勘違いしそう……。
ヴァール姉ちゃんは俺を強く睨みつけて、とっても強い口調で言い出す。
『ト・ル・ム・ル〜〜!!
女の子を泣かせるのって、最低よ!!!』
違う〜〜!
姉ちゃん、やっぱり勘違いしている〜〜!
読んでくれてありがとうございます。
次話から新章になります。
いよいよ、魔王のいる大陸に進撃を開始します。
宜しくお願いします。