表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

154/195

巨大なカミナリ

 ミノタウルス似の岩石巨人を倒したのも束の間、上空に増悪に満ちた魔法力マジックパワーを感じたかと思うと、積乱雲が現れる。


 ゴロゴロー!

 ゴロゴロー!

 ゴロゴロー!


 今まで見たこともない様な超巨大な積乱雲で、中では稲光が無数に光っている。

 普通は魔法力マジックパワーを使って雷撃をすぐに魔法で発動するのだけれど、これって……、超やばい気がするんですが……?


 ピカァーーーーー!

 ピカァーーーーー!


 ドッガァーーーーーーーン!

 ドッガァーーーーーーーン!


 空気を切り裂く様な衝撃と同時に巨大なカミナリが落ちて、大地を揺さぶる様な衝撃が伝わって来た!

 部隊の近くに2回落雷したので味方はパニックになっていく……。


「キャーーーー!」


「に、逃げろ〜〜!」


「助けて〜〜、神様〜〜、トルムル様〜〜」


 これ程の積乱雲を上空に魔法で作り出して、巨大なカミナリを落とすなんて、ガルドール王って思った以上の魔法力マジックパワーが有るみたい。

 でも、どんなに巨大なカミナリでも、所詮は電流が流れているだけ……。


 避雷針の原理を俺は知っているので、ほんの少しの魔法力マジックパワーを使って、地上から積乱雲に向かって針金を魔法で作る。


 シュゥーーーーーーー!


 針金が現れて、地上から積乱雲を貫いた。


 ピカァーーーーー!

 ピカァーーーーー!


 ドッガァーーーーーーーン!

 ドッガァーーーーーーーン!


 今度のカミナリは、積乱雲から針金を伝わって地上に落ちる。

 予想通り、針金を伝わって電流が流れた。


 積乱雲は部隊の方に移動しており、味方は蜘蛛の子を散らす様に四方に避難している。

 でも俺はそこに留まり、積乱雲の移動に合わせて針金を動かす。


 ピカァーーーーー!

 ピカァーーーーー!


 ドッガァーーーーーーーン!

 ドッガァーーーーーーーン!


 俺の周りにはアンゲイア司令官とウールだけが残って、驚愕の目で俺を見ている。


「トルムル王は避難しないのですか!?」


 アンゲイア司令官は緊迫した口調で俺に言う。

 俺がここに留まっているから、司令官とウールは避難できないみたい……。


「心配ご無用です。

 カミナリが1箇所に落ちる様に、すでに魔法を発動していますから」


 それを聞いたアンゲイア司令官は意表を突かれたみたいで、積乱雲から落ちるカミナリに注視する。


 ピカァーーーーー!

 ピカァーーーーー!


 ドッガァーーーーーーーン!

 ドッガァーーーーーーーン!


 再び積乱雲からカミナリが地上に落ちると、同じ個所に集まっているので不思議そうにアンゲイア司令官はそれを見ている。

 ウールもそれを見て言う。


「糸の様な物が地上から雲にあるわ。

 それに伝わって……、カミナリが導かれている……?」


 ウールの視力は、命力絆ライフフォースボンドで視力も格段に上がっているので針金が見えたみたい。

 それから何度も積乱雲からカミナリが落ちてくるけれど、すべて針金を伝わって地上に落ちた。


 アンゲイア司令官は先ほどよりも落ち着いてきて、不思議な物でも見るように俺を見ながら言う。


「トルムル王が魔法で糸を出したんですよね……?

 でも、どうしてカミナリが糸を伝わるのですか?」


 ……。

 説明するのが難しい……。


 この世界では、電子の事を知らないから。

 それに言ったとしても、マイナスとプラスの電位差によってカミナリが流れますよって詳しく説明しても、意味が通じないだろうし……。


「カミナリは、金属の糸に引き寄せられるのです。

 それを地面に接触すると、カミナリはその方向にしか流れないのですよ」


 俺の説明を聞いてアンゲイア司令官は、又しても驚き過ぎて呼吸をするのを忘れている……。

 俺にとっては、そっちの方が驚き!


「どうしてそうなるのかは私には理解出来ませんが、トルムル王の偉大さを改めて実感した所です!」


 俺が偉大ってアンゲイア司令官は力を込めて言うけれど、細い針金を魔法で作り出しただけ。

 こんな事で、偉大だと言われても少し照れる……。


 でも、避雷針の原理を知らない人から見ると、奇跡の様な現象に見えるんだろうな。

 近くでカミナリが何度も落ちているけれど、アンゲイア司令官とウールは俺の説明で安心したらしい。


 更に何度も何度も、空気を切り裂く様な衝撃と同時に、巨大なカミナリが落ちて大地を揺さぶる様な衝撃が起きている。

 しかし2人は完全に俺を信じて安心しきったみたいで、避雷針に落ちるカミナリを感心する様に眺めている。


 蜘蛛の子を散らした様に四方に散っていた味方が1人、又1人と避雷針の周りに集まり始めた。

 最初はパニックになっていたのに、今では物珍しそうに遠巻きにして、避雷針に落ちるカミナリを不思議な物でも見るように眺めている。


 口をポカーンと開けて呆気に囚われている人達もいるし、まだ少し怖いのか人の陰に隠れながら近寄って来る人も居た。


「こ、これって、トルムル王の奇跡だよな?」


「カミナリが一箇所にしか落ちないなんて、目の前で見ていても信じられない……」


「これを、故郷の人達に言っても信じてもらえないだろうな……」


 積乱雲をよく見ると、カミナリが落ちる毎に急速に小さくなって行く。

 1回のカミナリは最大級の威力があるのだけれどその分、積乱雲が小さくなっているみたい。


 ガルドール王の方に意識を向けると、増悪と困惑の感情が入れ乱れて伝わって来る。

 自分の攻撃が全く当たらないので困惑しているみたい。


 ピカァーーーーーーーーーーーー!

 ピカァーーーーーーーーーーーー!


 ドッガァーーーーーーーーーーーン!

 ドッガァーーーーーーーーーーーン!


 今までのカミナリより数段上で、空気を切り裂く様な衝撃と同時に、超〜〜巨大なカミナリが落ちて大地を大きく揺さぶる衝撃が伝わって来た!

 しかし以前と同じ様に、細い針金を伝わって地上に落雷しただけだった。


 上空を見上げると積乱雲は綺麗に無くなり、青空が広がっている。


「「「「「「「「「ワァーーーーーーーーオォ!!!!」」」」」」」」」


 それを見た部隊からは、再び大歓声が起こった。


「こんな奇跡、2度と見れないわ!」


「トルムル王って、凄すぎ!」


「巨大なカミナリが近くで落ちてもトルムル王が一歩も動かなかったので、とっても感激したわ!」


 動かなかった事に感激されるなんて……。

 ま、動く必要が無かったからだけどね。


 横に居たウールは、再び満面の笑みを俺に向けている。

 それと同時に、尊敬とも取れる感情が王女から伝わって来て、思わず俺も微笑み返した。


 ガルドール王の気配を探ると増悪が更に増して、王の魔法力マジックパワーが近くある湖に注がれるのを感じる。


 その直後、湖の方から地鳴りがしてきた。


 ゴォァァァーーーーーーーーー!


 音の方をよく見ると、白い帯状の物が徐々に高くなりながらこちらに急速に近付いて来る。


 これって……、もしかして……、ツナミ……?


 ツナミと城塞都市に挟まれて、窮地に立たされたみたいだけれど、これってチャンス到来だよな。

 このチャンスをどの様に利用するか、俺は精神を集中していった。


読んでくれてありがとうございます。


今度はツナミが襲ってくるのですが、トルムルは秘策があるみたいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 乗るしかないこのビッグウェーブに!!。(違う)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ