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ヘビのニッキ

 真夜中、俺が泊まっている部屋に何者かが入ってくる気配がして起こされる。


「誰だ!」


 俺はドスの効いた声で言ったのだけれど、2才児なので可愛い声になっている……。

 早く、声変わりしないかな〜〜。


 って、今は侵入者を確認しないと、魔王からの暗殺者だったら殺される!

 でも、部屋に入って来たのは小さな生き物みたいで、以前あった事がある気配がしているのだけれど……。


「ニッキだよ、トルムル王。

 へーー、ここに通じているんだな、この穴は」


 え……?

 メデゥーサの頭の上にいるヘビのニッキ……?


 ロウソクに魔法で火をつけると部屋が明るくなり、気配のする方を見ると間違いなくニッキだ!

 でも、メデゥーサのヘビって単独行動ができるの……?


「ネズミを狩るために城中の穴に皆んなで入っているんだけれど、まさかここに出るとは驚きだね。

 寝ているところを起こして悪かったよ、トルムル王」


 驚きだねってニッキは言ったけれど、俺の方が驚いたよ。

 そもそも、メデゥーサのヘビって頭から離れないと思っていたからな……。


 とすると……、今のメデゥーサはハゲ頭って事なの……?


 か、考えないようにしよう。

 考えるだけで、石になりそう……。


「部屋の隅で寝ているヒドラの妖精は、もしかして噂のモージル妖精女王なのかい?」


 え……?


「ニッキには、妖精が見えるんですか?」


「見えるよ。

 俺たちメデゥーサのヘビ達は、神々の系譜に繋がる由緒ある血統の髪の毛だからね、見えないものはないね。


 それに、妖精達を石に変える事も出来るし。

 この世に動いている生物なら何でも石にできるよ。


 この間、リトゥルを石にしたのは悪かったな。

 でもさ、メデゥーサはご存知のように引きこもりで、男性に免疫がないからさ、俺達が彼女を守ってあげないといけないんだ」


 メデゥーサがひこもりで、男に免疫が無いのは知っていたけれど、ヘビ達が彼女を守っているのは知らなかったよ。

 リトゥルに関しては、自業自得の面が強い。


「リトゥルに関しては感謝しています。

 あれが最善の罰だと思うので」


「そうか?

 それを聞いて安心したよ。


 他に何か俺でも出来ることがあったら言ってくれ。

 メデゥーサを魔王の呪縛から目醒めさせてくれたトルムル王には、感謝しても感謝しくれないぐらいの恩があるからな」


 ヘビのニッキに出来る事ていったら、動いている生き物を石に変える事だよな……。


 そうだ!


 魔王の大陸から来た向こうの妖精達を石に変えられれば、モージル王女の心配が無くなるし、俺たちも向こう側の妖精達の守護が無くなるので戦いやすい。


「ニッキだけ、メデゥーサから借りる事ができますか?

 魔王の大陸にいた妖精達がこちらの来ているので、無力化する為に彼等を石にしたいのです。


 戦争が終わって、平和になったら元の大陸に戻してあげたいと思っています」


 ニッキの目が細くなり、高速に何かを考えている。


「多分大丈夫だと思うよ。

 でも、俺が抜けるとメデゥーサの髪の毛の一部が無くなるんだよな……。


 つまり丸いハゲが頭にできて、メデゥーサが可愛そう……。

 それさえ解決してくれれば、俺も心置きなく彼女から離れられるよ」


 丸いハゲって、500円玉ぐらいのハゲが出来るって事……?

 あの、メデゥーサに……?


 想像出来るけれど、やはり……、と、止めておこう。


「そちらの方は僕が魔法で髪の毛を作るので、もんだいないと思いますよ」


 ニッキは二枚舌を活発に動かして喜んでいる……、のかな?


「俺も長く生きてきたけれど、メデゥーサから長く離れた事がなかったので、新たな冒険が楽しみだよ。

 それで俺は、他の人間に怪しまれない様にトルムル王の髪の毛に変身すればいいか?


 俺が単独で動くと、普通のヘビと間違われて人間に殺されるからな。

 それに、ヘビが大っ嫌いな人間もいるのも知っているし」


 ヤールンサクサ王女がニッキ達を見て気絶したのは数日前。

 彼の言う通りヘビが嫌いな人達が居るのは事実だし、近くでヘビを見ると王女みたいに気絶する子供もいるのは否定できない……。


 それに……、俺の髪の毛は以前よりも増えてきてはいるけれど、理想からはまだ量が足らない。

 ニッキが俺の髪の毛になると、毛の量が増えるのかな……?


 でも、メデゥーサの髪の毛の色と俺とは随分違うんだけれど、……。


「僕の頭にニッキがいる時、髪の毛が増えているように見えるのですか?

 それに、メデゥーサの毛の色と僕の毛の色が随分と違うのですが……」


 またニッキが活発に二枚舌を動かしている。

 どうやら楽しい時や、面白がっている時に二枚舌が活発になるみたいだ。


「トルムル王、俺を見くびってはいけないよ。

 俺は、神々の系譜に繋がる由緒ある血統の髪の毛だよ。


 どんな髪の毛の色にも変身できるから安心してくれよ。

 それに俺が王の髪の毛に一部になると、劇的に量が増えて見えるけれど……、いいよな?


 俺の体全部が髪の毛になるんでね」


 髪の毛が増えて見えるのは嬉しいけれど、突然髪の毛が増えると皆んなビックリするよな……。



 そうだ!

 カツラを開発中って事にすると辻褄が合うよ。


 この世界でも、頭の毛が薄い人達がいるのでカツラの需要があるはず。

 散髪屋さんから髪の毛を無料でもらえるので、材料にも困らない。


 新たな商売で、困っている人達も助けられるし。


「カツラを試作中と皆んなには言っておきますよ」


 俺がそう言うと、ニッキは頭を斜めに曲げる。


「カツラってなんなの、トルムル王?」


 おっと……、話が飛躍しすぎたかな。


「ニッキから髪の毛が増えると言ったので、新しいしょうひんを考えたのです。

 髪の毛の薄い人達に、散髪屋さんで捨てる髪の毛をさいりようして、カツラと言う物を頭に被せるんです。


 こうすると、頭に毛が生えたように見えますから」


 ニッキはまたしても、二枚舌を活発に動かしている。


「流石トルムル王だよなぁ、あっという間に新商品を考えつくんだもの。

 しかも、捨てる髪の毛を再利用するなんて誰も考え付かないしさ」


 これで魔王の大陸から来た妖精達をどうするか決まったので一安心。

 しかし、妖精が見える姉ちゃん達が妊娠しているので、広範囲に探すのに苦労しそう。


 幸いな事に、ウール王女も妖精が見えるので2人でペガサスに乗って探せばいいかな?

 それに、王女はヘビを怖がらないしニッキを見ても大丈夫。


 しかも、超〜〜可愛いウール王女と一緒に長い時間を過ごせるので楽しみが増える。

 でも……、気絶した時のヤールンサクサ王女の超〜〜可愛い顔が、今でも脳裏に焼き付いて頭から消えない……。


 そう考えると俺って……、2人の女性に恋をしているの……?


読んでくれてありがとうございます。


今回の話を娘に読んでもらったら大受けでした。

メデゥーサが禿げるのが面白かったみたいです……。

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― 新着の感想 ―
[一言] >2人の女性に恋をしているの……? トルムル君の事をその2人も恋をしていると思うよ?。 二人を大切に、そして仲良くしようね。(´∀`*)ウフフ
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