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奇襲作戦

「モージル、もう食べるのやめてほしいんだけれど?」


気持ち悪そうに言ったのは、モージル妖精女王の頭の1つであるドゥーヴル。


『こんな食べ物初めて!

どら焼きってモグモグ、どうしてこんなにもモグモグ、美味しいのモグモグ?』


ヤールンサクサ王女の国から南に位置するデルバード国にモージル妖精女王達に偵察に行ってもらって、報告を聞く前にどら焼きを出したら夢中で食べている……。

早く報告を聞きたいのだけれど……?


「ドゥーヴル、ガルドール国のほうこくをお願いできますか?

モージル王女は食べるのに夢中なので」


『モージルが食べ過ぎて気持ち悪いけれどウップ、頑張って報告するよ。

ヤールンサクサ王女の国から南はウップ、ご存知のように砂漠地帯が広がっていて赤道にウップ、近いので猛烈な暑さだったよ。


そこを通り抜けると海岸地帯に出るんだけれど、港には見慣れない船がウップ、沢山停泊していた。


乗組員はトルムル王の予測通りウップ、魔物達だったよ。

妖精達が大陸の西と東海岸で魔物の襲撃が来ないか見張っていたのだけれど、まさかウップ、南に魔物達が既に上陸しているとは正直言ってウップ、驚いた。


しかもウップ、向こうの妖精達が守護をしているので、尚更俺達では分からなかった。

まさかウップ、お互いの領域を超えて妖精が来るなんて、前代未聞ウップ、だよ』


え……?

む、向こうの妖精って……?


別の妖精達の集団が存在しているって事……?


そういえば、魔王の住んでいる大陸の話をモージル妖精女王から聞いたことがない。

つまり大陸が離れているから、別の進化をたどってきたので、全く違う生物と妖精達が居るってことだよな……?


それも後で考えるとして……。

後で考えることが、最近増えてきた気がする……。


えーと、悪い予測通り魔物達が既にこの大陸に上陸していたと。

しかも、俺が賢者のおさになるのを反対したガルドール王の国。


人間であるガルドール王は、魂を魔王に売ったみたいだ。

もしかしたら、使い魔に操られているのかもしれないけれど……?


どちらにしても、ガルドール王は敵になったのは間違いない。

人間を敵に回すって、人間同士で殺し合いをするって事だよな……。


でも……、人間の世界を魔王から守るには敵が人間でも、殺さないとこちらが殺される。或いは、奴隷として生きるしか道がない。

今回はしっかりとした信念を俺が持たないと兵士達に伝わるから、1ミリも動かない毅然とした態度で臨まないとな。


「それでドゥーヴル、船はどの様に、けいりゅうされていましたか?」


『ウップ……。

モージル……、吐き気が限界にきていて、トルムル王に報告しなくてはいけないんだけれど、止めてくれないか?』


『あとモグモグ、1個だけだからモグモグ』


モージル王女の為に、アトラ姉ちゃんが作った小さめのどら焼きを既に9個食べている……。

小さいと言っても、モージル王女の顔と同じぐらいの大きさなんだけれど……。


『ウップ……、えーと。

この季節はウップ、大陸の南側は風が強くなるのでウップ、集団で港に係留ウップ、していたよ。


船の出入りも多少はあったウップ、けれど、大型の外洋船はここの港しか入れないのでウップ。

船同士がぶつからない様に、太い縄で繋がれていたウップ、のが見えたよ』


風が強くて……、船同士が繋がれていた……。

この2つ、何か重要な関連がある気がするんですけれど、なんだろう……?


こちらにとって、とても有益な情報……。


あ〜〜〜〜!


これって、奇襲作戦にもってこいの条件だよ。

俺が単独で侵入して行けば、間違いなく成功する……、と思う。


こちら側の軍が大陸の両海岸から既に出発しているとはいえ、到着するにはまだ日数が掛かる。

先制攻撃で物理的、そして精神的にダメージを与えられれば初戦は大成功。


でも、敵陣深く単独で入るので、姉ちゃん達に言うと反対されそう……。

味方の誰に言っても、間違いなく反対されるのは間違いない。


ペガサスだけには言って、隠密に行動した方が無難かな。

あと……、アリバイが必要になるな。


俺が居ない時に、デルバード国の港で大火災が発生したら、犯人が俺だって姉ちゃんや味方に分かってしまう。

何か手は無いのかな……?


時間をずらす攻撃方法は、時限爆弾が前の世界では有名。

だけれど、この世界には時限装置が無いので出来ない……。


ん……?

待てよ!


魔石を使って、時限装置が出来そうな気がする。

時間が来たら、火炎魔法を発動するようにすれば完璧なアリバイになるな。


我ながら良いアイデア。


「ドゥーヴル。ほうこく、ありがとう。

長旅だったので、ゆっくり休んで下さい」


『吐き気がしてウップ、ゆっくり休めそうにウップ、無いけど、トルムル王の役に立ててウップ、良かったよ』


ドゥーヴルがそう言うと執務室から消えた。

俺はアトラ姉ちゃんに命力絆ライフフォースボンドを使って連絡する。


『こんや、ヤールンサクサ王女の城にペガサスに乗って旅たちます。

後の事はよろしくお願いします』


『ちょうど良かったよトルムル。

マニュキュアの試作品がさっき出来たんだよ。


ウール王女と、ヤールンサクサ王女に持って行ってくれないか?

使った感想を聞きたいんだ』


え、もう出来たの!?


姉ちゃんはマニュキュアに命を賭けるって言ったけれど、有言実行しているよ〜〜!

姉ちゃんって、商売の才能もあったんだ。


でも……、なんて言って2人に渡そうか……?



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