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2人の王女

新年明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願います。

 東の海岸にいるウール王女に、ヤールンサクサ王女の居る城に軍を率いて行くように命力絆ライフフォースボンドで要請する。


『分かりました、トルムル。

 軍の準備が整い次第、指定の城に向かいます』


 2才とは思えないほどテキパキとした言い方。

 でも、いつもと違って緊張しているような気がするんですが……?


 もしかして、ヤールンサクサ王女の居る城に行くからか。

 以前も思ったけれど、これって三角関係……?


 イヤイヤ、きっと俺の思い過ごしだ。

 俺はまだ、恋愛感情を誰にも抱いたことはないからな。


 でも、ウール王女とヤールンサクサ王女がすごく可愛いので、胸の高まりが抑えられないのは事実だけれど……。

 でもこれって、やっぱり恋愛感情って言うのかな……?


 もしそうなら、2人の女性に俺は恋している事になる。

 もっとも対象が2才児と、9才児だけれど……。


 コンコン。


 ノックの音が聴こえて来たので返事をすると、アトラ姉ちゃんとニーラ、それと宰相の娘さんであるアンゲイア。更には部隊長に就任したばかりのミーネが入って来た。


「トルムル、相談したい事があるんだけれど時間は空いているかい?」


 アトラ姉ちゃんとは思えないような控えめな言い方に、思わず姉ちゃんを凝視する。

 妊娠すると、性格が変わるのかな?


 それに時間があるかって聞かれたけれど、三角関係について考えていましたなんて言えないし……。


「アトラ姐さんだったら、いつでもかんげいします。

 それで、お話というのは何でしょうか?」


「実は……、孤児院の責任者に私がなりたいのだけれど、いいだろうか?

 分かっている、突然こんな話を持ちかけて。


 軍の統括を私がしていたのだけれど、後継者にはアンゲイアに就任してもらって福官にミーネをと思っている。

 この2人は戦闘能力と統率力が極めて高いので、私が抜けても何ら問題は無いと思っているんだ。


 しかし、アンゲイアが孤児院の責任者から抜けると、適任者がいないと宰相に言われたんだ。

 それで戦闘できない私が代わりにやりますって言ったらビックリされ、トルムル王の了承を取ってきて下されば承認しますって言われたんだよ。


 それでここに来た訳なんだけれど……。

 それとニーラに、向こうの国で生活を色々と聞いてきたのだけれど、彼女は孤児院の責任者をしていたと言ったんだよ。


 それで、私の足らないところを彼女に補ってもらえたらと思って。

 2人で力を合わせれば孤児院の運営は上手くいくと思うんだけれど……」


 お、驚くも何も……。

 姉ちゃんが妊娠した以上に驚いた〜〜!!


 姉ちゃんに赤ちゃんが生まれたら、生まれたばかりの新生児の世話をするので、大丈夫なのか心配していたのだけれど……。

 もしかして、事前に練習しようとしているのか……?


 しかし、ここは冷静になって考えないといけない。

 この国の未来がかかっているからな。


「お姉さんは赤ちゃんのオシメを、こうかんした事はありますか?」


「エイル達のオシメを交換していたよ。

 オシメの洗濯とか、子守も。


 母さんが戦闘で家を留守にしている時に、妹達の世話は私がしていたんだ。

 だから初めてやる訳でないので安心してくれ、トルムル」


 そうか!

 俺が生まれる前に、エイル姉ちゃん達の世話を既にしていたんだ。


 料理も姉ちゃん達の中では一番上手だし、俺が思っている以上に家事は出来るんだ。

 姉ちゃんの戦闘能力だけを見ていたみたいで、少し反省……。


 そういえばウールも戦闘能力が高いけれど、料理も上手だよな。

 ウールは、姉ちゃん達から母ちゃんの家庭料理を教わっていたし。


 人を見る時、目立った特徴でその人を俺は判断してしていたみたいだ。

 王様になり、賢者のおさである俺は、もっと多角的に人を見なければいけないよな。


「分かりました。

 それでしたら姉さんがこじいんの、せきにんしゃになるのは問題ないと思いますので、お任せします。


 それと、アンゲイアとミーネの件も、りょうかいしました。

 アンゲイアとミーネの2人なら、大丈夫ですから」


 それを聞いた姉ちゃんは喜びの顔に変わっていく。


「ありがとう、トルムル。

 与えられた任務、命を掛けても遂行して見せるよ」


 え……?

 孤児院の経営に命を掛ける……。


 姉ちゃん、かなりずれている気がするんだけれど?

 と、とにかく、それぐらいの覚悟でやってもらえそうなので安心だ。


 でも、アンゲイアさんに貢ぐ男の人達が居なくなるので、孤児院の経営が悪化するかもしれない。

 何か手は無いだろうか……?


 ミーネと共同開発した潤いの肌に保つ化粧品は、生産が追っつかないほど売れている。

 もしかして、化粧品関係で何か商品化できる物はないかな……?


 ふと姉ちゃんの爪を見ると綺麗に切りそろえているけれど、前の世界で見た女性達の爪と違う印象がする。

 何かが足らないような……。


 あ〜〜!

 マニュキュアだ!


 この世界でも顔に化粧はするけれど、爪にマニュキュアをしないので。

 って言うか、その習慣が無い……。


 習慣が無いのなら、作ればいいんだよ。

 我ながら良いアイデア!


 アンゲイアとミーネから就任の挨拶をもらうと、ミーネの実家はハーブなどを栽培しているので聞いてみる事に。


「ミーネの実家では、せんりょうの、元になる植物も栽培しているのですか?」


 話の流れから全く違う事を聞かれてミーネは少し驚いたけれど、すぐに言い始める。


「布を染める染料用の植物も生産しています。

 魔物との戦争が始まって需要が落ち込んではいますが、貴重な植物達なので」


「それでは、このような色も出せますか?」


 俺はそう言って、アトラ姉ちゃんの爪にはワインレッド色のマニュキュアを魔法で塗った。

 ニーラは薄いピンク色で、アンゲイアは真っ赤な色。ミーネには深みのある赤色のマニュキュアを魔法で塗ってあげた。


「皆んさんの爪を見て下さい」


 俺はそう言うと、4人が爪を見て大騒ぎになっていく。


「「「「凄くキレイ……。こんなに感動することって

 ……。マジかよ!……。これはトルムル王が……」


 4人が満面の笑みを浮かべて、魔法で塗ったマニュキュアを見てはしゃいでいる。

 予想以上に喜んでもらえたので一安心。


 ミーネが目を輝かしながら言う。


「爪に色を塗るって素晴らしいアイデアです、トルムル王。

 この色なら、染料に使う植物達から出せると思います」


 俺はそれを聞いて嬉しくなった。

 姉ちゃんの方を見て、笑顔で言う。


「ミーネは戦場に行くので、アトラ姉さんがこの話を進めて下さい。

 けしょうひんとして、これを売り出したいと思います。


 名前は、そうですね……、マニュキュアでどうでしょうか?

 マニュキュアの話は、こじいんの、けいえいの一環として組み入れて下さい」


「そこまで考えてこれを思い付いたのかい?

 いつも以上に今日は冴えているな、トルムルは。


 これだったら世界的に売れるのは間違いないよ」


 化粧にあまり興味のない姉ちゃんからお墨付きがもらえたので、大成功するのは間違いない。

 ウールとヤールンサクサ王女に、マニュキュアを贈ったら喜ぶだろうな……。


 あ……!

 やっぱりこれって、三角……?


読んでくれてありがとうございます。


今年も面白い小説を執筆しますので、宜しくお願い致します。

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― 新着の感想 ―
[一言] 作者様、謹賀新年です。 今年もトルムルと其の仲間達の物語を楽しく綴って下さい。 暫くは寒い日が続きますので、お体には気を付けて下さいね。
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