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ゴルゴーンとグライアイの姉妹達

姉ちゃん達が妊娠したので、戦力的にガタ落ちになってしまった。

甥や姪が生まれるのは凄く嬉しいのだけれど、賢者のおさの立場として考えると、姉ちゃん達の穴埋めを何とか考えないとやばい気がする。


リバタリアンとジズには、南の国に移動してもらうように要請した。

でも、それだけでは戦力が足らない気がする。


執事が入ってきて、困惑した顔で言う。


「そのう、トルムル王。

ゴルゴーン姉妹とグライアイの姉妹の方達がお話があるそうなのですが、いかかがいたしましょうか?」


え……? 何の話だろうか?

全く見当がつかないよ。


とにかく会って話を聞かないとな。

オレは執事に言って、入ってもらうように言う。


しばらくして執務室のドアが開き、綺麗なお姉さん達が入って来た。

城の中に居る人達はみんな顔を覚えているのに、今まで会ったことがないお姉さん達。


そもそも、ゴルゴーン姉妹とグライアイのお婆さん達がここに来るはずなんですけれど……?


「ほれ見ろ。

トルムル王も騙せるでないか?」


「ほんに。

これだと我らも戦闘に参加できるぞえ」


え……?

も、もしかして、ゴルゴーン姉妹とグライアイのお婆ちゃん達なの?


「あのう……、あなた達はそのう……」


「そうじゃ、わしらじゃよ。

グライアイじゃ。


トルムル王の姉御達が妊娠したと聞いて、戦力不足で悩んではいないかと老婆心ながら心配してのう。

それで若い娘に変身して、ここに来た訳じゃ。


ワシらを戦闘に参加させてはくれまいかのう。

城で何もしないのは体に毒じゃけ〜」


驚いた〜〜!

本来の気配を消して、完全に人間の若い子に変身……?


魔物だから、化けたかな……?


それは後から考えるとして……、これは強力な助っ人だよ。

姉ちゃん達が戦闘に参加できないので、その穴埋めに十分。


でも、グライアイ達が化けている若い子2人が盲目……。

しかも、歯もない……。


これで戦闘に参加しても、すぐに怪しまれるんですけれど?

一つの目と、一つの入れ歯を若い子が共有していれば、グライアイだとすぐに分かってしまう。


何か手はないのか……?


そうだ!

無い物は作って上げれば良いんだよ。


「せんとうの参加、ありがとうございます。

それで、グライアイ達の目と入れ歯が一つづつしかないので、新たに作りたいと思います」


「ほんまか!?」


「おうおう、これはすごい事じゃ!」


「これは生まれて初めて、最も興奮する事じゃ!」


グライアイ達が凄く喜んでいる。

でも……、歯がない口の内部を俺に見せているので少しキモイ……。


「ほんに、ありがたいことじゃ。

目と歯の取り合いで、生まれてから何億回も姉妹で喧嘩したことか、わかりゃせんけえ」


な、何億回もですか?

それはある意味すごい!


一体、どれだけ長く生きているのか、人間の領域を遥かに超えているよ。

神の系譜に繋がる姉妹だけあるよな。


って、感心する前にお婆ちゃん達に目と入れ歯を作ってあげないと。

グライアイ達から目と入れ歯を受け取ると、この2つは単独でも動いている。


入れ歯はカタカタと喜びを表して、目は興奮でキョロキョロと目まぐるしく動かしている。

検査魔法でこの2つを調べると、入れ歯は簡単に作れる事が分かった。


でも、目は長年に渡って蓄積されたグライアイ達のあらゆる防御魔法と攻撃魔法が詰め込まれている為、今の俺ではコピーが作れない事が分る。

でも、見るだけの機能ならば出来そうなので精神を集中し始めた。


袋から取り出した魔石に、目の機能を魔法で作り出して付与する。


シュゥーーーー。


静かな音がして、2つの魔石に目の機能が付与される。

検査魔法で調べると、思っていた通りの目が完成した。


目玉を、グライアイのおばあちゃん達に重力魔法で渡した。


「おおう。よく見える目で、これはすごい事じゃ。

これで姉妹で喧嘩する必要がなくなったわい」


今度は入れ歯を作る事に。

近くにガラスの花瓶があったので、それを溶かして入れ歯にして強化すれば機能は果たせる筈。


強化プラスチックがこの世界にはないので、これで代用するしかない。

以前、虫眼鏡を作った要領で入れ歯の形に花瓶を溶かしていく。


「なんと、花瓶が入れ歯の形になったぞ!

凄い魔力じゃ、トルムル王は!」


熱いうちに、歯茎の方は弾力を付けて、歯の方は強化させる。

最後に歯茎と歯に色を付けて、魔法の発動を止めた。


完成した歯を検査魔法で調べると、普通に使うのには問題ない事が分かってホッと一安心。


ポコッ。


何かが弾ける音がしたのでお姉さん達を見ると、頭から蛇のニッキが出ている……。


「これがグライアイの新しい入れ歯か〜」


ポコッ、ポコッ、ポコッ。

更に、ホン、クーリ、ニニが頭から出て来た。


「「「わぁーお、凄いよこれ!」」」


「これお前達! 元いた位置に戻りなさい!」


メデゥーサらしき若い子が、頭の蛇に向かって注意している。


「歴史的な場面だよ、メデゥーサ。

グライアイ達に、入れ歯と目ができたんだよ。


少しだけならいいだろう?

それに、ここにはトルムル王しかいないしさ」


最初に出てきたニッキがそう言うと、メデゥーサは諦め顔だ。


「仕方ないねお前達、今回だけだよ」


メデゥーサがそう言った途端に……。


ポコッ、ポコッ、ポコッ、ポコッ、ポコッ、ポコッ……。


メデゥーサの頭にいた全ての蛇達と、ステンノーとユリュアレーの蛇達も一斉に出てきて、できたての入れ歯を見ている。

そして159匹の蛇達が一斉に話し出す。


「「「「「「「「「ワァオーすげー……。これがそうなんだね……。魔法、半端ねーな……。これで喧嘩しなく……。さすがトルムル……。キモいよ〜……。壊れねえのか……」」」」」」」」」


……。

強力な戦闘能力を持った6人がこれで加わったけれど、これからどうなるんだろう……?


読んでくれて、ありがとうございます。


クリスマスが終わって、今年も終わってしまいますね。


皆さんのおかげで、ここまで書くことができました。本当にありがとうございます。


来年も、今年以上に面白い小説を書きたいと思っていますので、来年もお付き合い下ださるよう、お願いします。


来年になりますが、次話をお楽しみに。

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― 新着の感想 ―
[一言] 今年はこの話回で終わりなのですね。 楽しく読ませて頂きました事に感謝します。 来年もトルムル王とその家族、仲間達の楽しい物語を楽しみにしています。 大晦日までの数日と年を明けての暫くは、寒さ…
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