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とんぼ返り

「ペガサスだわ」


 隊員の誰かがそう言ったので空を見上げると、ペガサスがこちらに降りてきている。

 背中には何かを取り付けているみたいで、これから旅にでる雰囲気だ。


 でも、どこへ?

 ペガサスが降りて来ると、エイル姉ちゃんの前に行って言う。


「エイル様、合図があったのでこちらに来たのですが?」


 エイル姉ちゃんは頷くと、俺に向かって真剣な顔に。


「トルムル、よく聞いて!

 これから西の国に行ってもらいます。


 トルムルが王様になる為の儀式を執り行う為で、セイレーンの対抗策ができたので行けるようになったから」


 エェ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!


 こ、これからですか!?


 王様になる一連の儀式は2日後だけれど、俺が大陸の東にいるので形だけの儀式をする筈では?

 それに、ペガサスに乗って行けば間に合うかもしれないけれど、丸2日もペガサスは空を駆けて行けないはず……?


「トルムルのその顔だと、ペガサスが丸2日も空を駆けて行けないと思っているでしょう?

 でも安心して。途中、ユックリとペガサスは休みながら西に行けるから。


 とにかく詳しい話はペガサスに乗ってから話すわ。

 今は時間が無いので出発して。


 旅に必要な物は全て揃えて、ペガサスの背中に乗っているから」


 ペガサスが休みながら西に移動できる……?

 とにかく、詳しい話は命力絆ライフフォースボンドで聞くとしよう。


 俺はペガサスに乗って西の国に出発する。

 すると、アトラ姉ちゃんから命力絆ライフフォースボンドを使って連絡がきた。


『間に合って良かったよトルムル。

 セイレーンの対抗策が最優先だったけれど、それが完成した今は、トルムルが王様になる為の儀式が重要になってくる。


 ニーラとジズ、それにペガサス達は私達と同じ様に遠く離れていても会話が出来るのを聞いて、皆んなで話し合ったんだ。

 その結果、今日までにセイレーンの対抗策が出来れば儀式に間に合うと。

 途中ジズと合流して、ペガサスはそこで休んでもらう。


 ジズはペガサスほど早くはないけれど、巨鳥なのでかなりの速度が出せるので距離を稼げる。

 それと、父さんが街道をこちらに向かっている筈だから、ペガサスに乗せて来て欲しい。


 変装しているらしいけれど、トルムルだったら気配でわかると思う。

 父さんを宜しく』


 ジズと合流して、ペガサスがジズの背中で休めるから2日で行けるんだ。

 納得する俺。


 でも、父ちゃんが変装って……?

 不思議な気持ちだけれど、父ちゃんがどんな変装したのか、ちょっとだけ楽しみ……。


 ◇


 ペガサスに乗って1日がすぎた頃、西の空からジズが近付いて来るのを感じる。

 ジズと再会の挨拶をし、俺達の近くに来ると反転した。


 ジズの上には、干し草と小屋があって、そこで俺たちは休めるみたいだ。

 それにしても、手回しいが良いよな。


 ペガサスは何も言わずジズの上に降り立つと、夢中で干し草を食べている。

 丸一日何も食べてないので、お腹が空いたみたいだ。


 俺もお腹が空いてきた。

 ペガサスに積んでいた食料は全部食べたので、向こうに着くまで我慢するしかないのかな……?


 ジズが言う。


『トルムル様、食料は小屋の中にあります。

 ヴァール様がピザを作って、冷凍してあるそうです』


 え、ピザ……?

 俺は小屋に入って行くと、陶器の入れ物がテーブルの上に置いてあった。


 蓋を開けると、中から冷凍されたピザ……。

 オーブンが無いのに、どうやって冷凍されているピザを食べるの……?


 入れ物の中には見慣れた文字があった。

 ヴァール姉ちゃんの文字で、細かく書いてある。


 読んでいくと、ピザを食べるの方法がそこには書いてあった。


『トルムルは重力魔法と火炎魔法を同時に使えるので、ピザを宙に浮かせて、四方からじっくりと熱を加えて。


 そうすると、生地がキツネ色になる頃には食欲をそそる、とっても良い匂いがしてくるはずよ」


 なんと、ピザを宙に浮かして焼くとは思いもよらなかったよ。

 同時に2つの魔法が発動出来る俺用の調理法だよな。


 ピザを作ってもらったヴァール姉ちゃんに感謝しながら、俺は調理を開始する。

 高温で焼くとせっかくのピザが焦げて台無しになるので、最初は様子を見ながら徐々に温度を上げていった。


 生地がキツネ色なる頃には、とっても美味しそうな匂いが小屋の中に充満してくる。

 さっそく俺は一切れ……?


 ほ、包丁が見つからない。

 まさか、ピザを丸ごとかじって食べなければならないの……?


 しかも、焼き立てだから、手で持って食べるには熱すぎるし……。


 そうだ!

 鎌鼬かまいたちの魔法で切って、食べる時に冷気魔法で少しだけ冷やせばすぐに食べれるよ〜〜。


 すぐに鎌鼬かまいたちの魔法を発動して、8等分する。

 まだ熱かったので、少しだけ冷気魔法を使った。


 ピザを一切れ俺の方に重力魔法で寄せると、手で持って食べ始める。


「ん〜〜ん、おいしいや」


 独り言を言いながら、お腹が一杯になるまで食べた。

 ペガサスもお腹いっぱい食べたみたいで、小屋の中に入って来る。


「トルムル様、失礼して仮眠を取らせていただきます」


 そういった途端にペガサスは寝始めた。

 一日中空を駆けてきたので、相当疲れたみたい。


 俺は小屋の外に出ると、夕日が目に入ってきた。

 ジズの頭の方に移動して下の方を見ると、街道は人で溢れかえっていた。


 多くの人が西に向かっており、東に向かう人は殆どいないほど。

 この大勢の人達は、一体どこに行くんだろうか?


 ふと、懐かしい気配が街道からして来る。

 父ちゃんだ!


 でも……、全く別人に見えるんですけれど……?


読んでくれてありがとうございます。


次話は、いよいよトルムルが王様になる話です。

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